80【ヒストリー】

隠れたベストセラー

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Amazon で確認したら1600円でした

100円ショップで腕時計が買える今では、さほど安いとは思いませんが、こんなところで日本製品への信頼性が築かれているんですね

(^_^;)

 

カシオ F-91Wはカシオより1989年(30年以上前!)から製造・販売されているクォーツ駆動のデジタル腕時計。

この腕時計は世界で最も売れている腕時計の一つとも言われています。

今までに累計1億個以上、世界中で年間300万個以上が売れているそうです。

『カシオ F-91W』は約1000円台で買える値段も非常に安い量産型の腕時計なのですが、その性能と信頼性は非常に高く評価されていて、数多くのセレブや腕時計愛好家からも一目置かれている存在だったりします。
腕時計の基本機能をしっかり備えていて、日付・曜日表示やLEDライト、アラーム機能、ストップウオッチ機能、そして耐水性能も備えています。
電池寿命は7年とされていますが20年以上持つ人もいるそうです。

ちなみに米アマゾンではこの腕時計のレビュー数は1万6000件を超えていて、多くの人達から素晴らしい腕時計だという評価を得ているようです。ウィキペディアによると

カシオは電子計算機技術を活かして1974年からクォーツ式腕時計の市場に参入した。

デジタル腕時計の多機能性を追求し、1983年に発売した「G-SHOCK」シリーズは腕時計としては破格の耐久性を備えた製品として世界的ヒットを飛ばした一方、1980年代には並行して、廉価で薄型な実用デジタル時計を低コスト量産する技術開発をも推進し、国際的な最廉価帯の腕時計市場を席巻した。

F-91Wは、この低価格ラインで特に成功したカシオ製品の一つであり、細部の改良を受けながらも20年以上にわたり生産が続いている。

日本での2019年初頭時点での実売価格は、実店舗・通信販売とも900円から1,000円前後である。

カシオはこれまでの販売量を公表していない。

時計ジャーナリストの広田雅将は2016年に執筆したコラムで、業界関係者から聞いた、本製品が「今までに売れた数は億を越えるだろう」との推定を記述し、その普及ぶりについて

「もはや人類のインフラだ!」

と評した。

イギリスのライター、ダンカン・マースデンは2019年のネットコラムでF91Wの生産量を「年間300万個」と記述している。

デザイン・ミュージアム・ロンドン(英語版)の責任者を務める評論家スティーブン・ベイリーは、この製品のデザインについて「控えめな傑作」であると評している。

という訳で今日はそんな腕時計『カシオ F-91W』についての反応を紹介したいと思います。

米アマゾンのレビュー数は驚愕の1万6000件超え↓

CASIO F91w

https://www.amazon.com/Casio-F91W-1-Classic-Resin-Digital/dp/B000GAWSDG/ref=cm_cr_arp_d_product_top?ie=UTF8

動画

以下海外の反応↓

・正直なんでこの腕時計がそんなに人気なのか分からない・・・
これよりも素晴らしい腕時計は沢山あるのに。

・腕時計に何を求めるかによるだろう。
高級ブランド好きでファッション性を求める人には向いてないだろうね。
でも時計としての機能と性能を求める人にはによるだろう間違いなくオススメできるよ。

・この腕時計を見た人は古臭いデジタル時計と思う人もいるだろう。でもそれが良いんだよ。
この腕時計は非常に安く買えるのに、デジタル時計としての性能と使い勝手は非常に優秀だからだ。
これは電池を何年も取り替えなくて良いし、ストップウォッチ、アラーム、カレンダー、防水性という基本スペックを全て備えているんだからね。

・むしろこのデザインが良いんだよ。
このデザインを見ると80年代や90年代の素晴らしい時代を思い出すんだ

・私はデジタル腕時計にはあまり関心も興味もなかったんだけど、ここ数年でその評価はとても上がってきてる。
カシオの腕時計はコスパを考えると非常に素晴らしいと言えるだろう。

・これストレンジャーシングスのダスティンもしてた時計だよね。

(80年代の少年達の青春と恐怖を描いたドラマ、ストレンジャーシングスより↓)
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・これはもはや腕時計界のレジェンドだと思う。

・正直この腕時計は全ての男性が生涯に1度は所有するべき物だと思う。

・↑本当にそう思うよ。
この時計は一生使えるだろうからね。

・俺も持ってたなこれ。

・この腕時計は父親から買って貰った奴だわ。

・高校生の頃この腕時計をしてたよ。
これはとても頑丈だった。

・これは安い腕時計だけど決して使い捨てるような物ではない。
私はこの腕時計を自分の子供に受け継がせるつもりだ。

・日本人が何かを作る時、それは一生使えることを意味するんだよな。

・私は最近30年物のアンプを手に入れたけど、勿論それは日本製だったよ!

・この腕時計は腕時計界のトヨタだな。

・今32歳だけど2個目のカシオF-91Wを使用してるよ。
自分はオーストラリアで13歳の時からこの腕時計を使ってたんだけど、最初に使ってた奴は無くしてしまったんだよね。

・自分はカシオなら『A168』の方が好きだけどな。

(こちらも最高傑作の一つとして世界中で馬鹿売れしてます。CASIO A168WA-1 ↓)
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・トルコ人だけど、これは私が子供の頃にずっと欲しいと思っていた物だった。
それが10ドル以下の値段で売ってたから買ったんだけど、正直私が買った物は本物なのか偽物なのかも分からない。
でも子供の頃から憧れていた物が手に入って本当に嬉しいよ。
ベッドの中でバックライトをつけるだけでも楽しいんだ。

・俺はこの腕時計の偽物が出回ってるなんて思ってもいなかった(笑)

(調べてみると偽物も相当数出回っているようです。)

・正直これは今まで所有した物の中で最高の腕時計だと思ってるよ。

・父親はロレックスやオメガも持ってたけど、人生の終盤に使ってたのはこのカシオの腕時計だったよ。

・これは重くて高級な腕時計にウンザリしてる人には本当にオススメだよ。
軽くて気軽に使える最高の腕時計だからね。

・これ防水性能もあるから手を洗う時にも外す必要ないのが良いんだよ。
仕事柄汚れたり濡れたりすることもあるんだけど、そういう場所でも気にせず付けていられるのが素晴らしいよね。

・私は毎日スマートウォッチを使っていたんだけど、充電がすぐ切れることにイラついてこのカシオの時計を買ったんだ。
初めてこの時計を手にした時はその小ささに驚いたよ。
体が大きい人の場合はこの腕時計はかなり小さく感じるかも知れない。

でもこの腕時計は付け心地がとても快適で、身につけていることを忘れてしまうくらい軽いんだよ。
そしてカレンダー機能が付いてるのも良いよね。
いつも、あれ今日何日だっけ?と忘れてしまうことがあるからこれがあると非常に便利だよ。
そして腕時計の設定も簡単で、24時間モードと12時間モードを簡単に切り替えることができるのも最高だ。
バックライトは片側点灯だから夜間は若干見にくいけど、この腕時計の評価は総合的にかなり素晴らしいよ。というか値段を考えると文句など言えないよね。

・腕時計というのは使ってこその物だ。
高級な腕時計を何本もコレクションしている人達もいるけど、このカシオF-91Wは使い倒すことのできる実用性に優れたモデルなんだよ。

・ちなみにこの腕時計はあのオサマ・ビン・ラディンも使用してたんだよな。

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・この腕時計はオサマ・ビン・ラディンも使用してたし、オバマも使用してたよ。

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・この腕時計の驚くべきことは、30年以上も前からずっと売れ続けているってことだろう。

・自分が子供の頃に流行っていた腕時計が今でも売れ続けてるって凄いことだよな。

カプセル回収

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 すべてが順調すぎて気味が悪いくらいです

  日本の宇宙技術が世界的偉業を成し遂げました

 上の写真の人、ウルトラ警備隊(↓)

  みたいな服装ですね

 (^_^;)

 

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ウルトラ警備隊 アンヌ隊員

 

読書 断腸亭日乗

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永井荷風の全集は、かなり以前にヤフー・オークションで、古本を非常に安く買った

全30巻もある大全集なので、とても一時に読めるものではなく、気が向いたときに気が向いた作品を拾い読みしている状況で、まだ未読部分が多い

荷風と言えば「断腸亭日乗」(だんちょうていにちじょう)が有名で、荷風数え39歳から亡くなる直前まで書き続けた日記

全集の第21巻から第26巻までが日乗にあてられている

近現代日本の日記文学として最高峰と言われている

日乗を始めた直後に、麻布市兵衛町(現在の六本木一丁目)に「偏奇館」(ぺんきかん)という洋館を建て、自由気ままに一人暮らしの自由を楽しんだ

私が麻布に住もうと思ったのは、これの影響が大きい

以前に「濹東綺譚」(ぼくとうきたん)という映画がヒットしたが、その中には偏奇館でのエピソードが種々盛り込まれている

日乗を時々紐解いて、現在の私と同じころの年齢に、荷風が何を考え、何をしていたかを読むのは、とても楽しい

と言っても、荷風の晩年は第二次大戦と重なり、世の中の雰囲気は暗く陰鬱だ

それでも、文人である荷風にとって書斎の中は別世界で、優雅な精神世界に暮らしつつ、女遊びにも余念がなかった(荷風は金持ちで女好きだった)

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ちなみに、映画「濹東綺譚」の荷風役は津川雅彦

実にハマリ役で、スケベなインテリ中年を演じさせたら、この人の右に出る者はいない

秋吉久美子と共演した映画「ひとひらの雪」(→、渡辺淳一原作)も良かったなぁ

荷風数え67歳、昭和20年3月9日の東京大空襲で偏奇館は焼亡、書斎も蔵書も灰燼に帰し、荷風は日乗をカバンに収めて、火の中を逃げ回る

空襲を生き延びた荷風は、79歳まで生きて日乗を書き続けたので、まだ当分は楽しめそうだ

(^_^;)

 

「断腸亭日乗」昭和20年3月9日

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映画「濹東綺譚」

ファイルサイズが大きいので、スマホの場合、WIFI利用をオススメします (^_^;)

 

読書 実践快老生活

実践・快老生活 知的で幸福な生活へのレポート★2012 _01

著者である渡部昇一氏は、昭和5年(1930)生まれで、この本は著者85~86歳のころに書かれた

3年前に86歳で亡くなられているから、その直前に書かれた本ということになる

著者が40年前に著した「知的生活の方法」は当時の大ベストセラーになり、私も大学生のころに読んで、人生が変わるような決定的影響を受けた

すっかりお気に入りの著者の一人になり、いま手元にはその著書が30冊近くある

まだ未読もあるが、少なくとも十数冊は読んでおり、これまでの人生の折々で、貴重な刺激を受けてきた

そんな渡部昇一氏が、85歳という高齢になるということはどういうことなのか、自らの実体験として率直に語っている

若い頃に「知的生活の方法」を、興奮を覚えながら読んだ時の気持ちが蘇って来るようで、とても懐かしかった

歯に衣着せぬ保守系論客だったので、左翼系文化人からの非難も多かったが、そんなイデオロギーの違いなどを超えた、一人の人間として素晴らしい生き方をした人だったと思う

(^_^;)

 

読書 つげ忠男選集

つげ忠男アウトロー選集1~どぶ街~_01

つげ義春は大好きな漫画家の一人で、彼の作品はほとんど、何度も読んだ

そのつげ義春の弟が、本書の作者のつげ忠男

その作品選集10冊を、一気に読んだ

つげ忠男アウトロー選集1~どぶ街~

つげ忠男アウトロー選集2~無頼の街~

つげ忠男アウトロー選集3~無頼平野~

つげ忠男アウトロー選集4~狼の伝説~

つげ忠男アウトロー選集5~流れ者たち~

つげ忠男昭和選集1~きなこ屋のばあさん~

つげ忠男昭和選集2~雨季~

つげ忠男昭和選集3~夜よゆるやかに~

つげ忠男昭和選集4~遠い夏の風景~

つげ忠男昭和選集5~ある予感~

絵のタッチは兄義春と似ているが、雰囲気は兄より暗く鬱屈して乾いている

忠男は一時、血液銀行で働き、その経験が作品の中に何度も登場する

血液銀行は、今は無くなったが、「売血所」とも呼ばれ、輸血用や血液製剤の原料として血液を買い取る場所で、社会の底辺の人間がその日の食費やギャンブル代のために、自分の血液を売りに集まった

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兄義春(←、左)も相当に暗いのだが、そこにはある種の温かみもある

弟忠男(←、右)はそれよるはるかに暗く、冷たく、乾いていて、何とも救いが無い雰囲気が漂っている

第二次大戦の敗戦からすぐというこの時代の日本は、社会全体が暗くて貧しかったし、それはこの選集の中にも濃厚に表現されている

兄弟が育ったのは、昭和20年代、高度成長前の貧しい時代の東京下町、そのまた特に貧しいエリア

将来に希望を持てない鬱屈した時代精神が感じられる

つげ義春のマンガにも出てくるが、この兄弟の父親は早くに亡くなっている

母親の再婚相手である病気がちの義父は残酷な性格の男で、つげ兄弟はひどい児童虐待を受けて育った

正式な美術教育はおろか、家庭の貧しさから義務教育にすら満足に通えなかった兄弟が、二人ともプロの漫画家になっているのは、まさに兄弟共通の才能の成せるところなのだろう

今回も一気に10冊、まったく退屈せずに読めたということは、漫画家としての非凡な才能を感じる

特にアウトロー選集は、社会の掃きだめのような貧しくて暗い街が主な背景になっていて、日常的に暴力と退廃と背徳が横行するハードボイルド的な作品集

全体に、夢と現実が織り交ざったようなシュールな話が多い

兄つげ義春は、睡眠中にみた夢を漫画化したが、その影響は弟忠男と蛭子能収に及んでいる

(^_^;)

 

三菱創業150周年

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 上の写真の一番右のおじさんの

  首がやたら長いのが気になります

 三菱銀行のエラい人らしいです

  (^_^;)

 

2020年は、三菱が創業してから150周年の節目の年に当たる。

創業者であり、初代の社長に就いたのは岩崎彌太郎その人である。

大転換期の日本の世で、岩崎彌太郎は、どのように起業し、発展させたのか。

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 * * * * * * *

岩崎彌太郎(いわさき・やたろう)→

1835~85年(天保5~明治18年)。

三菱の創業者であり、初代社長

幕末から明治維新へ。激動の時代を生き抜き、三菱の礎を築いた。

1835(天保5)年、土佐井ノ口村(現・高知県安芸市)に生まれる。

指がやたら長いのが気になる→

 (^_^;)

『岩崎彌太郎傳』によると、幼少期の彌太郎は、

《気性は激しく、負けることが嫌いである。同じ年頃の子どもを集めて大将を気取り、敏捷で頭の回転が早い》(現代語訳)

とある。

今風に言えば“やんちゃ”だったのである。

一方で、学問に興味を持つのも早かった。

「彌太郎は15歳で、伯母の嫁ぎ先である儒学者の岡本寧浦(おかもとねいほ)の塾に入り、懸命に学びます」

と解説するのは、「公益財団法人 三菱経済研究所」の常務理事・村橋俊樹さんである。

54(安政元)年、彌太郎19歳のときにチャンスが巡ってくる。

江戸詰めに決まった儒学者の奥宮慥斎(おくのみやぞうさい)の従者として、随行が認められたのである。

「その江戸で、岡本寧浦と親交のあった安積艮斎(あさかごんさい)の見山(けんざん)塾に入り、一層、勉学に打ち込みます。ところが、折あしく郷里で父親の彌次郎がトラブルに見舞われ、重傷を負ったという知らせが届きます。彌太郎はやむなく帰郷。江戸遊学は1年足らずで終わりました」

この時、彌太郎は江戸から土佐までの約800kmを16日間で走破している。

当時、土佐藩の早馬飛脚でも14日間かかるというから、彌太郎は並外れた健脚の持ち主でもあった。

帰郷後、彌太郎は父親のトラブルの遠因で投獄される。

約7カ月の入獄の末、出獄するが、傷心の日々。

そんな中、土佐藩開明派の指導者・吉田東洋の少林塾に入り、後藤象二郎(しょうじろう)などの知遇を得る。

詳細はここをクリック

 

読書 偶然からモノを見つけ出す能力

偶然からモノを見つけ出す能力 -「セレンディピティ」の活かし方 (角川oneテーマ21)_01

著者は三菱電機の海外プラント部門にいた人で、大学の講師もしている

セレンディピティとは何か?に関するエッセイ集、といった感じの本

発明や発見の背後に「偶然」が存在し、その偶然に出会ってその意味するところを察知した「察知力」を絡めて、セレンディピティを「偶察力」と和訳している

ルネサンスの頃の逸話から、セレンディピティという語が生まれ、発明発見やイノベーション、パラダイムシフトに大きな関連を持つと認識されてゆく歴史をたどっている

日常の生活や社会を維持してゆくには「常識」が大きな役割を果たしている

しかし、この常識が進歩の妨げになることも少なくない

そのとき、常識を打破するきっかけになるのが偶然であるので、偶然とは「神からの贈り物」であるとする

かつて空を飛ぶためには、「はばたかなければならない」というのが常識だった

しかし、鳥が羽根を動かさずに空を滑空しているのを偶然に目撃し、固定翼でも空を飛べるのではないかと察知し、固定翼飛行機の開発を考えた日本人がいた

このとき日本陸軍は頭が固くて(セレンディピティが乏しくて)開発費用を出し惜しみ、そのせいで固定翼飛行機の実用化では、ライト兄弟が世界初の椅子に座ることになった

セレンディピティの有無は、個人の運命だけでなく、国家の盛衰をも左右する

(^_^;)

 

読書 新・クトゥルフ神話完全ガイド

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ラブクラフトが開拓したクトゥルフ神話の世界を大雑把に概観するためのガイドブック

特にイラストが素晴らしい

ラブクラフトは、1890年に生まれ、1937年に46歳で亡くなっているが、没後1世紀近くのクトゥルフ神話世界の展開もたどっている

特にクトゥルフ神話に参加したり関わったりした日本人の説明が楽しい

水木しげる、魔夜峰央、諸星大二郎など、私の大好きな漫画家さんたちも登場する

「冬彦さん」佐野史郎の、ラブクラフトへの傾倒ぶりは徹底している

(^_^;)

 

読書 魔犬

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ラブクラフトのコミカライズはPHP版が多いのだが、これは角川版

表題作の「魔犬」は、世間の退屈さに飽きた二人の若い男の奇怪な体験ストーリー

二人は友人で、おそらく貴族の生まれで、遊びにも恋愛にも、学問にも芸術にも、そして冒険にも飽きていた

二人が最後にたどりついた楽しみは、何と墓場荒らしという背徳の世界だった

ヨーロッパ各地の数世紀前からある墓地を研究探索し、歴史に名を遺す人物の墓を暴いて、遺品を収集してコレクションを作っていた

遺跡発掘の私的な真似事(お遊び)のようなもの

そしてオランダのある古い墓で見つけた遺品から、二人はとんでもない運命に巻き込まれていく

人間が欲望を満足され過ぎると、次には強烈な退屈に襲われるというのは、歴史が証明している

典型的にはローマ帝国の「パンとサーカス」だが、ヨーロッパの社交界も、サーカスの代用品かもしれない

いま世界の先進国では、ミニマムインカムと称して、働かなくても食える社会を目指しているが、その先に来るのがどんな社会かを、いまのうちに真剣にイメージしておく必要を感じる

本書には「魔犬」のほかに「神殿」「名もなき都(無名都市)」が収められている

後2作はPHP版にも別な漫画家さんで収録されていて、比較の楽しみもあった

本書を描いた田辺剛氏の画力は素晴らしいと思う

(^_^;)

 

読書 闇にささやく者

闇にささやく者 クトゥルフ神話の宇宙怪物 クラシックCOMIC_01

コズミックホラー(宇宙的恐怖)と呼ばれているラブクラフト作品群の中でも、特に宇宙をテーマとする色彩が強い作品

地球防衛軍こそ登場しませんが、宇宙人が地球を侵略するというストーリーで、SF小説の先駆けです

人間の脳だけを取り出して宇宙旅行をするという作中のアイデアは、1世紀前の作品としては斬新です

人類は半世紀前(1969)に月面上に降り立ちました

当時、次は火星だ太陽系外だとか騒いだけれども、その後に月以外の星に人類が行くことは無かったし、月にすら行かなくなった

過酷な宇宙環境と宇宙の広大さに対して、人間の肉体は余りにも脆くて弱く、寿命は短い

日本の小惑星探査機「はやぶさ」のように、高性能の観測機器を遠い宇宙に飛ばし、収集したデータや試料を回収するのが、地球周回以外の宇宙開発の主流になっている

脳だけ取り出す技術は現在医学でも無理だが、人間の感覚機能を代行する観測機器を宇宙に飛ばすというのは、それに近い方法と言えそうだ

さらに話は飛ぶが、人間が毎日のように睡眠中に見ているは、時空間を超越しているので、脳だけが宇宙旅行をしたり、タイムマシンに乗ったりしているようなものかもしれない

(^_^;)