41【映画舞台】

漫画訳・雨月物語「白峰」

「漫画訳・雨月物語」という本を読みました

元になっている「雨月物語」は、江戸時代の作家、上田秋成の作品で、日本の中世を背景にしたホラー(怪談)話を9話ほど集めています

私は映画でも小説でも、ホラー系ダイスキ!なので、ついつい引き込まれます

つい最近も、春日武彦という精神科医の書いたホラー系の本にのめりこんだばかり

「雨月物語」は、石川淳が現代語に訳してますし、映画にもなってるので、その名前をご存じの方も多いかと思います

マンガですからスグ読めたんですが、その9つあるホラー話の冒頭に「白峯」という話があり、崇徳院と歌人の西行が、あの世とこの世の壁を越えて語り合うというオカルトっぽい内容です

崇徳院は、日本の三大怨霊(おんりょう)として有名な崇徳(すとく)天皇で、歴代の天皇の中でも最も不幸な死に方をした人

この世に未練と恨みを残して死んだために成仏できず、いろいろと厄介な「祟り(たたり)」を巻き起こして生者を苦しめる、と信じられてきました

能の「松山天狗」も、これを題材にしています

この祟りという考え方は、日本人の心性の非常に深いところにあって、日本の歴史に大きな影響を与えているだけでなく、実は我々現代日本人のメンタリティにも大きな影響を及ぼしています

祟りと似たようなものに「言霊(ことだま)」があり、

何かの悪い言葉を口にすると、それが現実化する

という一種の信仰

今でも、誰かが悪い(ネガティブな)言葉を発すると

「そんな縁起でもないこと言うな!」

などとたしなめる人がよくいますよね

自己啓発系の成功哲学には

「常に前向き、建設的な言葉を発していれば

 それはいずれ現実化して成功できる!」

というプラス思考(ポジティブ・シンキング)の考え方がありますが、それのネガティブ・バージョンでしょうか?

日本人が幕末明治以降、西欧文明に接してほぼ2世紀

表面的には「自由」「権利」「進歩」みたいな西欧型の合理的概念に慣れています

でも日本人の心の深いところには、祟りや怨霊、言霊のような心性を脈々と残している

それは時には、スピリチュアルなものに引き込まれる動機にもなったりして(若い女性に多い)、メンタル面を重視した企業のマーケティング戦略にも影響を及ぼしたりする

崇徳院はこの世に恨みを残して死にますが、その元になった政治的事件が保元の乱

日本史上の有名な事件で、大学受験の受験科目に日本史を選んだ方はよくご存じだと思いますが、私は理系だったので今回改めて保元の乱について調べました

この事件(乱)は、天皇家の跡継ぎ問題から始まっていて、現代の愛子さまと秋篠宮の関係を思い起こしてしまいます

結局、後白河天皇方が勝ち、崇徳上皇(崇徳院)は破れて讃岐(現代の香川県)へ流され、二度と京(みやこ)を見ることなく亡くなります

このとき、両軍の戦略立案を担ったのが

後白河方の藤原頼長(敗者)

崇徳方の藤原通憲(信西)(勝者)

両者ともスゴい切れ者で、現代の官僚なんかによくいる秀才タイプ

ただし、頼長は藤原氏の中でも主流派(嫡流)に生まれたエートコのボンボン

信西はそうではなかったので、自分も藤原氏でありながら藤原氏主流派に恨みを持ち、保元の乱に勝利すると着々と藤原氏つぶしを始めます

その信西も、数年後の平治の乱に破れて死に、首はさらしものに

保元の乱は後白河天皇方が勝ったとは言いながら、実は本当の勝者は武士でした

乱の勝敗を決したのは武士の軍事力だったので、当然と言えば当然です

この事件からのち、政治の実権は徐々に武士へ移り、天皇家と摂関家(藤原氏主流)はパワーを失って「飾り物」になっていきます

その意味で保元の乱は、時代が古代から中世へ移り変わる画期的な事件でした

少し大ざっぱな言い方をすると、世界に多くの国家や民族がある中で、歴史的に中世という時代をきちんと経ているのは西欧と日本だけで、ほぼ現代の先進国と一致します

これを偶然と見るか、歴史の必然と見るか、なかなか面白いところです

(^_^;)~♪

「漫画訳・雨月物語」白峰へ(PDF・19MB)

映画 海辺のポーリーヌ~♫

この映画音楽がすごくいい

昨日の「最強のふたり」につづき、今日もまた超ステキなフランス映画を観ました

「最強のふたり」は少しアメリカ映画っぽかったけど、この「海辺のポーリーヌ」は、まさにフランス映画ど真ん中という感じ

モンサンミッシェルに近いビーチに、15歳のポーリーヌ♀と25歳くらいのマリアン♀(二人はいとこ)がパリからバカンスにやって来る

マリアンはこのビーチが初めてじゃなくて、現地に昔の恋人もいて、男女数人が入り乱れてビーチで短い夏を過ごします

ストーリーだけ見るとドタバタ痴話げんかっぽいんだけど、それがさすがフランス人で、オシャレ、セクシー、哲学的なんだよね

ストーリーは単純で、雰囲気(ムード)を楽しむ映画です

こんなムードは、フランス映画じゃないと味わえないなぁ

中のひとり、アタマが少しハゲかかった中年男(と言っても40歳くらいかな)のアンリは、いい女とみると見境がなくて、次々に引っかけようとする浮気性の強い奴なんだけど、これがけっこうモテるんだ

欧米では「ハゲの男はモテる」って聞くけど、こんな感じなのかな?

マリアンは、まさにフランス女って感じで、コケティッシュな魅力を思い切り振りまいている

中年男アンリはマリアンと関係しながらも、「彼女は完璧すぎる」とかなんとか難癖を付けている(たぶん、浮気の言い訳)

映画の題名にもなってるポーリーヌは、まだ15歳で子供っぽいんだけど、周囲の大人たちの恋愛に混じりながらボーイフレンドを作ったりして、しかも自分なりの恋愛観を持って毅然としてるのはかっこいい

マリアンがポーリーヌを預かって二人でビーチに来たという設定だから、ポーリーヌの母親とかが出て来ないのもいいんだろうね

フランスの女の子って、こうやって「大人の女」になっていくのかなぁって感じ

フランスには女性の年代層の中に、しっかり「大人の女」という区分があって、これが質量ともに存在感がスゴいなぁと思う(主にフランス映画からの印象だけどね)

日本では下手をすると、「少女」「若い女」からいきなり「主婦」とか「中年女」に跳んでしまって、「大人の女」の幅や存在感が薄いような気がする

「大人の女」という存在が、「主婦」や「中年女」と何が違うのか、と問われたら、まず「恋愛の現役感」でしょうかねぇ

フランス映画の強みを3つ選ぶとしたら(日本人の男である私の目から見て)

フランス女 フランスの風景(特にパリ) フランス語

かなぁと思う

イタリア人もそうだけど、ラテン系の女はカワイイし、自由奔放で魅力的だ

フランスは階級社会だから、上流と下流では違うだろうけどね

同じ白人でも、ゲルマン系は生真面目で固い感じがするし、デカくてゴツい

パリの街並みを背景にして映画を撮れば、下手な監督でもいい映画を撮れそう

恋愛映画でフランス語の話し言葉としての上品さは強力で、英語やドイツ語はかなり不利だ

フランス語:愛をささやく言葉

英語:部下に用事を言いつける言葉

ドイツ語:家畜をののしる言葉

そして、愛をささやきながら、哲学っぽい会話をする

フランスの高校卒業試験であるバカロレアでは、「哲学」が必須科目で、非常に重みのある科目だ

日本の高校の「国語」に近いんだけど、日本の国語の教科書には情感(ハート)に比重のある文学作品が多いのに対して、フランスの「哲学」は徹頭徹尾、自分のアタマで考え抜く論理(ブレイン)の世界

結局、フランス人をフランス人たらしめているのは、この高校時代にたたき込まれる「哲学」なのではないかと思う

私は基本的に外国映画は、字幕を読むのがメンドウなので吹替で観るのが好きだけど、フランス映画は字幕もいいなぁと思います

とにかく「海辺のポーリーヌ」、各シーンが長く記憶に残りそうで、何年も経って再び観ると懐かしさを感じそうな映画

1983年の映画だから、もう40年以上も前なんだけど、まったく古さを感じない

むしろ、最近のフランスは移民が増えすぎて荒廃しちゃってるから、古き良き時代のフランスが描かれたステキな映画と言えそう

パリ五輪の演出は、世界中から叩かれて「フランスも落ちたもんだ」と言われたし、フランス人はプライドが高くて周辺国を見下してるから、何かと嫌われがち(日本で言えば京都に似ている)

だけど過去には、いい映画をいっぱいつくってますね

(^_^;)~♪

 

映画 最強のふたり

久しぶりにいい映画だったので、感想を少し書きますね

映画評で評価の高い映画を観ると、期待が高くなる分がっかりすることもあるんだけど、本作は期待を裏切らなかった

ハングライダーの事故で、首から下がマヒした富豪の中年フィリップ

貧しいスラム街の出身だが陽気な黒人の若者ドリス

フィリップは、住み込みで身の回りの世話をする人を募集し、採用面接に多くの人が並ぶ

真面目そうな応募者が多い中で、気むずかしいフィリップは、ズバズバものを言うドリスが気に入る

ドリスは介護役に採用され、何もかも正反対の二人に友情が芽生えていく

階級差 パリの街並み 冒険 孤独と愛 不機嫌と愉快

寝たきりや、首から下がマヒでも、人生はそれなりに楽しめる

暗く湿っぽくなりがちな身体障害者の世界を、明るく愉快に描く

まあ、余り暗くならないのは、身体障害者でも大富豪だからかもしれないけどね

上流階級的な気取った世界を、痛烈に笑い飛ばしているところも痛快だ

2011年のフランス映画だから近作ではないが、この映画には実在のモデルがいて、ふたりともたぶん今も健在(もちろん一人は体が不自由)

黒人が主人公だからアメリカ映画っぽいけど、やはりフランス映画っぽさはよく出ている

(^_^;)~♪

表情芸

tiktokで大人気 澤村光彩(きらり)ちゃん

この表情芸、桂枝雀さんに通じる

(^_^;)~♪

蟹江敬三

蟹江敬三(かにえ・けいぞう)

1944年10月28日生まれ、東京都出身

2014年3月、胃がんのため69歳で死去

彼が俳優になったのは、都立新宿高校在学中に、ふとしたことで舞台に立ったことからだ

詳細はここをクリック

 

映画「君たちはどう生きるか」

719dk+u3MyL._SL1500_

tokusatsu_kaiju_red

 

今週の 米国 映画収益ランキングで、

1位:「君たちはどう生きるか」

3位:「ゴジラ-1.0」

トップ3に日本映画2本は、ちょっとした快挙かな?

私はまだどちらも見てないので、内容についてどうこう言えません

35262443

「君たちはどう生きるか」(↑)は、吉野源三郎が1937年に出した哲学的な小説

1937年(昭和12年)は、盧溝橋事件が起きて日中が全面戦争に突入し、日米関係が緊迫の度を高めていたころです

そんな86年も前の本を、いまアニメ化しようと考えた宮崎駿監督(→)

よほど思い入れのある本なんでしょうかね?

著者の吉野源三郎という人は、東大哲学科を出て、何を思ったか26歳で陸軍に入り、2年後に辞めてからは反戦活動を始める

戦前に元陸軍将校が反戦活動をするのだから、軍や政府の上層部からにらまれるよね

35262441

もう少し後になって第二次大戦末期、時の首相の東條英機(→)は、気に入らない奴(特に左翼=共産主義者)を片っ端から徴兵して、危険な最前線に送るという手段を使った

その結果、若い人はもちろん、かなりの年配者でも最前線で亡くなったり、死ぬような苦労をした

私が東條英機を好きになれない最大の理由がこれだ

自分の周りにゴマすりイエスマンばかり集めて出世させ、優秀な人材を煙たがって左遷したのもこいつ

人間のちっぽけさ丸出しで、とても一国の首相とは思えない

今でもこんなトップのいる組織は、方向性や活力を失ってダメになりやすい

35262442

出陣学徒壮行会で「天皇陛下バンザイ」を叫んだのもこいつ(→)

こんな奴に送られて最前線へ出陣させられた学徒たちが気の毒だ

吉野源三郎も年齢的に最前線に送られておかしくなかったのだが(終戦時46歳)、運よくそうはならなかったようだ

もう少し若かったら、元軍人なんだから、間違いなく最前線送りだったと思う

戦前の左翼は命がけの覚悟が必要だったし、立派な人物も多かった

現在のふやけたパヨクとはまるで違う

戦後の吉野源三郎は、岩波書店で岩波新書や雑誌「世界」の創刊に携わり、当時の左翼運動の先頭に立った

戦後25年間くらいは左翼(共産主義)運動が盛んで、全学連などの学生が暴れまくり、日本も共産化しそうになったことがある

その最若年層に坂本龍一もいて、新宿高校で暴れていた

gakusei_undou

戦争に負けた日本(吉田茂内閣)は、米国中心の自由主義陣営と講和して国際社会に再デビューした

このとき吉野源三郎など左翼陣営は、ソ連や中国など共産国を含んだ講和を主張していた

この左翼陣営の主張が通っていたら、やがて左翼運動が盛り上がった1960年ころに日本が共産化して、現在の中国や北朝鮮のような暗黒独裁体制の共産主義国家になっていた可能性もあって恐ろしい

このころ、安倍ちゃんの祖父の岸信介首相が

「共産勢力に勝つためなら、何でも利用しよう!」

ということで、カルト宗教の統一教会(反共団体だった)に接近し、これが今に至る自民党と統一教会の腐れ縁になった

実際、共産革命を主張する全学連が国会を取り囲み(↓)、岸信介も命の危険を感じた

今では信じがたいが、日本が共産化するかどうか、紙一重だった

 

359313

▲国会を取り囲んだデモ隊(1960年)

 

統一教会のおかげも少しはあったのか不明だが、日本は共産化を免れた

当時の大学生の多くや坂本龍一は、共産革命の成功を本気で信じていた

その熱っぽい雰囲気は、柴田翔「されどわれらが日々」を読むと伝わってくる

Churchil-214x214

第二次大戦中の英国首相チャーチル(→)

「ヒトラーに勝つためなら、悪魔とでも手を組む!」

と言ったらしい(史実かどうか知らんけど)

まさに岸信介はそれを実行し、共産主義者に勝つために、悪魔(統一教会)と手を組んだ

チャーチルも岸信介も、相当な悪党だと思うが、東條英機よりははるかに人間が大きい

政治とは結局、力(パワー)の世界なのだから、必要とあらば猫の手でも悪魔の手でも借りるくらいの器の大きい悪党じゃなきゃいけないと思う

hototogisu_tokugawa_ieyasu

黒船に乗ってペリーが日本に来てから170年、日本という国は随分と危険な橋を渡りながら現在に至っているのだなぁと思います

それでも何とか乗り切って来れたのは、徳川時代260年の天下太平の世で培われた民度の高さがあったからかな?

「どうする家康」終わっちゃったね

(^_^;)

 

* * * * * * *

 

追伸 大河ドラマ「どうする家康」の最終回

北川景子演じる茶々が、燃え上がる大坂城と血まみれの顔で最期に掃き捨てたセリフ

つまらぬ国になるであろう」

35262445

「正々堂々と戦うこともせず、万事長きものに巻かれ

 人目ばかりを気にし、陰でのみ嫉み、あざける」

「やさしくて、卑屈な、かよわき者の国に」

まさにニーチェの言った「畜群」そのもの

器の大きい悪党のいない国ですね

(;´Д`)

 

 

▲映画「君たちはどう生きるか」予告編(2023年)

 

▲学徒出陣壮行会(明治神宮外苑、1943年)

 

▲全学連の安保闘争デモ隊(1960年)