ネット上には、「裏」「闇」「修羅場(しゅらば)」というようなキーワードに該当する情報がある
私は「ウラヤミ系」と勝手に呼んでいる
世間体を考えて乙に澄ましている「オモテの顔」の背後に、人間のドロドロした欲望が渦巻いていて、それが時々露出している場面がウラヤミ系の舞台だ
ヤクザなど反社勢力や犯罪現場が登場することも多いが、犯罪までいかなくても、不倫などの男女関係や、嫁姑対立など家族関係に関する修羅場も多い
昔は(今でもあるが)「アサヒ芸能」とか「週刊大衆」みたいなスキャンダル専門雑誌があって、芸能人や有名人の修羅場を扱っていたし、テレビのワイドショーなども似たような世界
今はネットで誰でも情報発信できるので、ごく普通の一般人の修羅場情報が、ネット上には山ほどアフレている
共和制ローマ期(紀元前1世紀)のエピクロス派の哲学者(詩人)に、ルクレティウス(→)という人がいる
彼はその著書『物の本質について』(De Rerum Natura)の中で、次のように書いている
「大海で風が波を掻き立てている嵐の時、安全な陸の上から(船に乗った)他人の苦労をながめているのは面白い。
他人が困っているのが面白い楽しみだと云うわけではなく、自分はこのような不幸にあっているのではないと自覚することが楽しいからである。
野にくりひろげられる戦争の大合戦を、自分がその危険に関与せずに見るのは楽しい。
とはいえ、何ものにも増して楽しいことは、賢者の学問(哲学)を以て築き固められた平穏な殿堂にこもって、高所から人を見下し、彼らが人生の途を求めてさまよい、あちらこちらと踏み迷っているのを眺めていられることである。
才を競い、身分の上下を争い、日夜甚だしい辛苦を尽くし、富の頂上を極めんものと、また権力を占めんものと、あくせくしているのを眺めていられることである。」
「対岸の火事」「他人の不幸は蜜の味」などと言うが、ルクレティウスはその心情を、セキララに、ぬけぬけと、哲学的な詩に書いている
大昔(紀元前1世紀)の人だが、人間のこの辺の心情は、2千年たっても変わらない
人類が自我(自意識)を持つようになった、たぶん数百万年前からずっと変わらない、人間の持つ根源的な心情の一つなのだろう
グーグルやYouTubeで「修羅場 不倫」などと入れると、その種の「対岸の火事」情報が山ほど出て来る
上の動画はその中の一つで、特に厳選したものではなく、この程度の平凡な修羅場情報ならネット上にありふれている
中には、不倫された側からの報復(復讐)が徹底していて、不倫した側を精神的にも経済的にも社会的にも、地獄の底までトコトン追い詰めていくようなスサマジイ動画もある
普段はおとなしい温厚な人でも、怒らせたら怖い人は確実に存在する
どちらかと言うと、妻に不倫された夫が、腹いせや同情集め、あるいは第三者のアドバイスを求めて、2チャンネルなどのネット掲示板に不倫の経緯を投稿(カキコ)するケースが多い
どう考えても不倫妻より不倫夫の方が多いと思うのだが、夫に不倫された妻からの情報が少ないのは、ネット掲示板の利用者に男が多いからだろう
それらの掲示板情報を整理して動画化したのが、修羅場 YouTube
投稿者は最初に「スペック」といって、自分や配偶者(汚嫁)、不倫相手(間男)などのプロフィール(子の有無、美人やイケメンかどうか、職業、年収、性格、愛情や打算の有無など)を紹介する
この種の投稿が多いせいか、この辺の書き方のスタイルは確立されている感じがする
それから不倫発覚の経緯とその後の動き(興信所や弁護士が登場する場合が多い)や報復(復讐)について説明していく流れだ
「今日、不倫現場に踏み込んだ」(→)とか、現在進行形の生々しい情報が多くて臨場感がある
その都度、掲示板を閲覧している第三者からの意見や質問、アドバイス、ツッコミが入る
最初はこんなの閲覧数かせぎの作り話ばかりだろうと思っていたのだが、非常にリアリティの高い描写が多いので、最近は実話の方が多いのではないかと思い始めている
(^_^;)