慢性疾患を予防する目的でマルチビタミンなどのサプリメントを摂取するのはお金の無駄――。
米ジョンズ・ホプキンス大学などの研究者が米内科学会誌にそんな論説を寄稿した。
論説は「もう十分。ビタミンとミネラルのサプリメントへの浪費はやめよう」というタイトル。共著者でジョンズ・ホプキンス大学教授のエドガー・ミ ラー氏は、「(ビタミンやサプリメントの)業界は、『これを飲んだら具合が良くなった』と語る人々の事例に基礎を置いている」「しかし実際に調べてみる と、長期的な恩恵を裏付ける証拠は存在しない。脳卒中や心臓発作を予防する効果もない」と言い切った。
同氏の論説では、マルチビタミンに心臓発作やがんを防いだり、65歳以上の男性の認知機能を改善する効果があるかどうかを調べた複数の研究結果を総括している。
このうち計45万人を対象とした27件の研究の取りまとめ調査では、マルチビタミンに循環器疾患やがんを予防する効果はないと結論付けた。さらに、喫煙者がベータカロチンサプリメントのみ服用している場合は肺がんのリスクが高まることも分かったとしている。
もう1つの調査は65歳以上の男性約6000人を被験者として、一方のグループにはマルチビタミンを、残りのグループには偽薬を12年間にわたって服用してもらった。しかし認知機能を検査した結果、両グループの間に差異はなかったという。
この論説に対してカリフォルニア大学バークリー校のグレディス・ブロック教授は、米国人の多くが不健康な食生活を送っていて十分な栄養が摂取できていないことを理由に、ミラー氏らの結論に疑問を投げかけている。
自然食品業界団体幹部のカラ・ウェルチ氏も、「我々の多くは必ずしもバランスの取れた食生活を送っていない。バランスが取れていたとしても栄養が不足することもあり、マルチビタミンでそれに対応できる」と反論する。
ミラー氏も、骨を強くするといわれるビタミンDや、DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸の効能についてはまだ結論が出ていないと指摘した。
ただ、健康的なライフスタイルを維持する鍵は、野菜や果物を食べ、運動を心がけることにあるとの意見では、ミラー、ブロックの両氏とも一致している。
「有毒」と証明されない限り
飲んだ方が安心かもね (^_^;)