43【文学読書】

読書 つげ忠男選集

つげ忠男アウトロー選集1~どぶ街~_01

つげ義春は大好きな漫画家の一人で、彼の作品はほとんど、何度も読んだ

そのつげ義春の弟が、本書の作者のつげ忠男

その作品選集10冊を、一気に読んだ

つげ忠男アウトロー選集1~どぶ街~

つげ忠男アウトロー選集2~無頼の街~

つげ忠男アウトロー選集3~無頼平野~

つげ忠男アウトロー選集4~狼の伝説~

つげ忠男アウトロー選集5~流れ者たち~

つげ忠男昭和選集1~きなこ屋のばあさん~

つげ忠男昭和選集2~雨季~

つげ忠男昭和選集3~夜よゆるやかに~

つげ忠男昭和選集4~遠い夏の風景~

つげ忠男昭和選集5~ある予感~

絵のタッチは兄義春と似ているが、雰囲気は兄より暗く鬱屈して乾いている

忠男は一時、血液銀行で働き、その経験が作品の中に何度も登場する

血液銀行は、今は無くなったが、「売血所」とも呼ばれ、輸血用や血液製剤の原料として血液を買い取る場所で、社会の底辺の人間がその日の食費やギャンブル代のために、自分の血液を売りに集まった

20151005102417

兄義春(←、左)も相当に暗いのだが、そこにはある種の温かみもある

弟忠男(←、右)はそれよるはるかに暗く、冷たく、乾いていて、何とも救いが無い雰囲気が漂っている

第二次大戦の敗戦からすぐというこの時代の日本は、社会全体が暗くて貧しかったし、それはこの選集の中にも濃厚に表現されている

兄弟が育ったのは、昭和20年代、高度成長前の貧しい時代の東京下町、そのまた特に貧しいエリア

将来に希望を持てない鬱屈した時代精神が感じられる

つげ義春のマンガにも出てくるが、この兄弟の父親は早くに亡くなっている

母親の再婚相手である病気がちの義父は残酷な性格の男で、つげ兄弟はひどい児童虐待を受けて育った

正式な美術教育はおろか、家庭の貧しさから義務教育にすら満足に通えなかった兄弟が、二人ともプロの漫画家になっているのは、まさに兄弟共通の才能の成せるところなのだろう

今回も一気に10冊、まったく退屈せずに読めたということは、漫画家としての非凡な才能を感じる

特にアウトロー選集は、社会の掃きだめのような貧しくて暗い街が主な背景になっていて、日常的に暴力と退廃と背徳が横行するハードボイルド的な作品集

全体に、夢と現実が織り交ざったようなシュールな話が多い

兄つげ義春は、睡眠中にみた夢を漫画化したが、その影響は弟忠男と蛭子能収に及んでいる

(^_^;)

 

読書 ゼロからはじめる!YouTube「入門書」

ゼロからはじめる!YouTube「入門書」_01

YouTube動画を閲覧する側ではなく、YouTubeに動画をアップする側(クリエイター)が、自分の作った動画へのアクセスを収益化(マネタイズ)するための入門書

まさに文字通りの「入門書」であって、ごく基本的なことしか書いてない

この本はアマゾンのキンドルから個人出版した本のようで、誤字が非常に多い

普通の出版社経由なら、まず編集者が読んで、さらに校正者が誤字チェックするんだけど、個人出版ではそのプロセスが無いからね

まあ、意味を取り違えるほどの致命的な誤字でなければ、どうでもいいんだけどさ

(^_^;)

小林麻耶の「心の闇」

いま芸能ニュースで話題の人ですね

イジメが有ったとか無いとかの事実関係は、よく知りません

でも何か「心の闇(やみ)」を感じます

上の動画はちょっと極端ですけど、「無理して明るく振舞ってるなぁ」という印象は以前からありました

妹の小林麻央の看病で、たびたびマスコミに登場していた頃から「何か不自然なもの」を感じた

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小林麻央と市川海老蔵の子どもたちになつかれていて、麻耶も海老蔵が大好きと広言していたので、いずれは海老蔵の後添えになるのかなと思った人も多かったはず

でも何となく、海老蔵は麻耶に距離を置いていたような印象を受けた

きっと海老蔵も麻耶に、「何か不自然なもの」を感じていたんじゃないのかな?

性差心理学で、女性は男性よりも「共感力」が高いとされているようです

これは子育てや看病など、弱い者の世話をする時には長所になります

でも共感力は同時に、相手からの影響の受けやすさにも通じるので、ある特定の人物を信頼すると、全面的にその人の影響を受けてしまって、いわゆる「洗脳」という状態になり易い

もちろん男性でも、洗脳されやすい人っていますけどね

((((;゚д゚))))

 

読書 Googleドライブ for Windows

Googleドライブ for Windows_01

クラウドのGoogleドライブには日頃お世話になっているのだが、真面目にマニュアルを読まずに使っていたので、入門書を読んでみた

まあ大体、知っていることがほどんどだった

Googleドライブで「Googleフォト」が始まったとき、動画と写真に限って「容量無制限で無料」という驚くようなサービスに超ビックリした

いくらGoogleが儲かっているとはいえ、世界中から押し寄せるばく大な動画や写真を全て受け止めて、無料でファイルを圧縮して保管してくれるというのは、ずいぶん太っ腹な大盤振る舞いだなぁと思った

おかげで手元のPCに保管してある動画や写真をバックアップするためのハードディスクが不要になり、非常に助かった

でも、こんな大赤字垂れ流しのサービスがいつまでも続くはずあるまいと思っていたら、案の定、無制限無料のサービスを来年6月で停止すると発表があった

ただし、来年6月までにアップロードしたファイルは、そのまま無料で保管し続けてくれるそうなので、手元の動画や写真を保管するなら今のうちです

きっと駆け込みアップロードが殺到してると思いますけど

(^_^;)

 

読書 偶然からモノを見つけ出す能力

偶然からモノを見つけ出す能力 -「セレンディピティ」の活かし方 (角川oneテーマ21)_01

著者は三菱電機の海外プラント部門にいた人で、大学の講師もしている

セレンディピティとは何か?に関するエッセイ集、といった感じの本

発明や発見の背後に「偶然」が存在し、その偶然に出会ってその意味するところを察知した「察知力」を絡めて、セレンディピティを「偶察力」と和訳している

ルネサンスの頃の逸話から、セレンディピティという語が生まれ、発明発見やイノベーション、パラダイムシフトに大きな関連を持つと認識されてゆく歴史をたどっている

日常の生活や社会を維持してゆくには「常識」が大きな役割を果たしている

しかし、この常識が進歩の妨げになることも少なくない

そのとき、常識を打破するきっかけになるのが偶然であるので、偶然とは「神からの贈り物」であるとする

かつて空を飛ぶためには、「はばたかなければならない」というのが常識だった

しかし、鳥が羽根を動かさずに空を滑空しているのを偶然に目撃し、固定翼でも空を飛べるのではないかと察知し、固定翼飛行機の開発を考えた日本人がいた

このとき日本陸軍は頭が固くて(セレンディピティが乏しくて)開発費用を出し惜しみ、そのせいで固定翼飛行機の実用化では、ライト兄弟が世界初の椅子に座ることになった

セレンディピティの有無は、個人の運命だけでなく、国家の盛衰をも左右する

(^_^;)

 

読書 新・クトゥルフ神話完全ガイド

新・クトゥルフ神話完全ガイド (コスミックムック)_01

ラブクラフトが開拓したクトゥルフ神話の世界を大雑把に概観するためのガイドブック

特にイラストが素晴らしい

ラブクラフトは、1890年に生まれ、1937年に46歳で亡くなっているが、没後1世紀近くのクトゥルフ神話世界の展開もたどっている

特にクトゥルフ神話に参加したり関わったりした日本人の説明が楽しい

水木しげる、魔夜峰央、諸星大二郎など、私の大好きな漫画家さんたちも登場する

「冬彦さん」佐野史郎の、ラブクラフトへの傾倒ぶりは徹底している

(^_^;)

 

読書 未知なるカダスを夢に求めて

未知なるカダスを夢に求めて★2011 クトゥルフ神話の幻夢境 (クラシックCOMIC)_01

ひとつ前に読んだ「銀の鍵」は、断片的な夢をそのまま作品化したものだったが、本書は夢の世界を再構成して、夢幻境をめぐる長編の冒険活劇に仕立てている

ラブクラフトには珍しく、ホラー的な要素の乏しい、ファンタジー作品

三蔵法師と孫悟空たちが、異形の怪物たちと戦いながら天竺をめざす「西遊記」を連想させる

作者自身はこの作品を手慰みの習作として扱い、生前は公表しなかった

左の表紙にある奇妙な像が、縄文時代の遮光器土偶に似ているのは、漫画家さんのお遊びだろうか

(^_^;)

読書 銀の鍵

銀の鍵★2011 クトゥルフの神秘 クラシックCOMIC_01

本書に収められた5つの短編は、ラブクラフトが夢に見た内容を、ほぼそのまま作品にしている

作中には、ラブクラフトの分身であるランドルフ・カーターが、夢の中の主人公として登場する

私はまだ体験したことが無いのだが、世の中には明晰夢というものがあるらしい

明晰夢とは、睡眠中にみる夢のうち、自分で夢であると自覚しながら見ている夢のこと

明晰夢の経験者はしばしば、夢の状況を自分の思い通りに変化させられると語っている

そんなことが可能なら、まさに「夢のような世界」を自由に楽しむことが可能になる訳で、人生の楽しさや奥深さが何倍にも膨らむように思う

(^_^;)

読書 魔犬

魔犬 ラヴクラフト _01

ラブクラフトのコミカライズはPHP版が多いのだが、これは角川版

表題作の「魔犬」は、世間の退屈さに飽きた二人の若い男の奇怪な体験ストーリー

二人は友人で、おそらく貴族の生まれで、遊びにも恋愛にも、学問にも芸術にも、そして冒険にも飽きていた

二人が最後にたどりついた楽しみは、何と墓場荒らしという背徳の世界だった

ヨーロッパ各地の数世紀前からある墓地を研究探索し、歴史に名を遺す人物の墓を暴いて、遺品を収集してコレクションを作っていた

遺跡発掘の私的な真似事(お遊び)のようなもの

そしてオランダのある古い墓で見つけた遺品から、二人はとんでもない運命に巻き込まれていく

人間が欲望を満足され過ぎると、次には強烈な退屈に襲われるというのは、歴史が証明している

典型的にはローマ帝国の「パンとサーカス」だが、ヨーロッパの社交界も、サーカスの代用品かもしれない

いま世界の先進国では、ミニマムインカムと称して、働かなくても食える社会を目指しているが、その先に来るのがどんな社会かを、いまのうちに真剣にイメージしておく必要を感じる

本書には「魔犬」のほかに「神殿」「名もなき都(無名都市)」が収められている

後2作はPHP版にも別な漫画家さんで収録されていて、比較の楽しみもあった

本書を描いた田辺剛氏の画力は素晴らしいと思う

(^_^;)

 

読書 闇にささやく者

闇にささやく者 クトゥルフ神話の宇宙怪物 クラシックCOMIC_01

コズミックホラー(宇宙的恐怖)と呼ばれているラブクラフト作品群の中でも、特に宇宙をテーマとする色彩が強い作品

地球防衛軍こそ登場しませんが、宇宙人が地球を侵略するというストーリーで、SF小説の先駆けです

人間の脳だけを取り出して宇宙旅行をするという作中のアイデアは、1世紀前の作品としては斬新です

人類は半世紀前(1969)に月面上に降り立ちました

当時、次は火星だ太陽系外だとか騒いだけれども、その後に月以外の星に人類が行くことは無かったし、月にすら行かなくなった

過酷な宇宙環境と宇宙の広大さに対して、人間の肉体は余りにも脆くて弱く、寿命は短い

日本の小惑星探査機「はやぶさ」のように、高性能の観測機器を遠い宇宙に飛ばし、収集したデータや試料を回収するのが、地球周回以外の宇宙開発の主流になっている

脳だけ取り出す技術は現在医学でも無理だが、人間の感覚機能を代行する観測機器を宇宙に飛ばすというのは、それに近い方法と言えそうだ

さらに話は飛ぶが、人間が毎日のように睡眠中に見ているは、時空間を超越しているので、脳だけが宇宙旅行をしたり、タイムマシンに乗ったりしているようなものかもしれない

(^_^;)