江戸城大天守の再建の事業費は350億円と試算!
-江戸城大天守を復元-
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせ、民間資金を活用して江戸城天守を再建しよう!という構想が持ち上がっています。
「NPO法人江戸城天守を再建する会」は10月25日に、江戸城天守再建構想を発表しました。
総事業費は約350億円の見込みです。
日経BP・ケンプラッツ(2013/10/29)
江戸城天守の再建なるか、事業費350億円と試算
公式HP → NPO法人江戸城天守を再建する会
技術的には、建設当時などの非常に正確な図面が残っており、極めて正確に再現することが可能だそうです。
地上5階、地下1階、高さ55m(天守台の下から)、建築面積約1,300㎡、延床面積は約4,000㎡の世界最大の木造建築となります。
事業費は、本体工事費約250億円、仮設・天守台改修などに約50億円、展示プロンプトなどに約50億円を見込んでいます。
大奥も再建して欲しい (^_^;)
● 寛永度天守
再建する会が再建を目指しているのは1638年に完成した「寛永度天守」と呼ばれる3代目の天守です。
初代は「徳川家康」が建てて1607年に完成、2代目は2代将軍「徳川秀忠」が建て替えて1622年に完成しました。それぞれ元号にちなんで「慶長度天守」、「元和度天守」と呼ばれています。
3代目の「寛永度天守」は、3代将軍「徳川家光」が建て替えたものです。しかし、1657年に起きて江戸の街が3日間燃え続けて、10万人が焼死したとも言われている「明暦の大火」で、江戸城も天守を含めて城内の多くの建物が焼失しました。
● ヒノキの調達が困難で実現は難しい?
再建には、断面が36cm四方の国産ヒノキ約1000本を含む約1万本の木材を使用します。「節なしなどにこだわらなければ安価に調達できる」ということですが、そんなに簡単にヒノキが調達できるのでしょうか?
1945年5月14日の名古屋空襲により、焼夷弾の直撃を受けて焼失した「名古屋城天守閣」も木造復元の構想があります。名古屋城の場合は、342億円の費用が必要という試算が示されています。
「名古屋城天守閣」再建の最大のネックは、国産ヒノキの調達のようです。必要な材木をすべて日本で調達することが困難だそうです。
江戸城大天守の再建も全く同じだと思います。技術的問題と金銭的問題をクリアしてもヒノキの調達が困難です。
素人の私が考えても天守閣の再建に必要な伐採可能なヒノキの大木が日本に残っているとは到底思えません。
● 現在の天守台
現在残っている「天守台」は、「明暦の大火」の後に再建したもので地上部からの高さは約10mで、地中に約2m分の石垣が埋まっています。
再建前は現在より約2m高かったそうです。竣工後、建て主である徳川家光が「高すぎた」と悔やんだことから、再建時に約2m(1間)下げたそうです。
● 石垣の焼け跡
天守台の石垣に焼け跡があります。1657年の「明暦の大火」の焼け跡かと思っていましたが、調べると違うようです。
1657年の大火で、焼けた天守台石垣の石材は、火で表面が傷んでしまったので、全部取り替え、土中に埋める基礎の部分に使用するか、あるいは他の石垣工事に転用したそうです。
この石垣の焼け跡は、1859年10月の大奥が炎上した「安政の大火」で焼けたもので、「明暦の大火」によるものではないそうです。