新宿高校 校長 戸田 弘美
早いもので、一昨年4月1日に着任して2年がたちました。
今年も、4月からの新宿高校における学校行事や、心に残った事柄などについて、生徒の教育活動の報告と共に、「新宿折々」として記します。
○4月7日(土)入学式
入学式当日は快晴で、明るい日差しが降り注いでいました。入学式では、東京都教育委員会の竹花豊委員より、ご挨拶をいただきました。新入生への祝辞をいただくとともに、本校の教育活動にエールを送っていただきました。心から、感謝申し上げます。
それでは例年どおり、当日の校長式辞を紹介させていただきます(冒頭の挨拶部分はここでは割愛いたします)。
さて、ただいま入学を許可いたしました、321名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの元気な姿を、まの当たりにし、保護者の皆様の愛情とご苦労に、深い敬意を払う次第でございます。
わが新宿高等学校は、大正11年に東京府立第六中学校として創立した、歴史と伝統ある都立高校です。昨年度9月29日には、この体育館を会場とし、創立90周年記念式典を盛大に挙行することができました。
まず、新入生の皆さんに現在の学校の様子を紹介したいと思います。本校は進学指導特別推進校として、今年も目覚しい大学進学実績をあげました。新2,3年生もこれに続いており、学校全体に勢いがあります。
も ちろん、大学進学だけが人生の選択肢ではありません。皆さんには一人一人、将来への夢があるはずです。自分の人生、どう生きるのか、何を目指すのか、ま ず、しっかりと調べたり考えたりすることから始めて下さい。本校では計画的なキャリア教育を行い、皆さんを支援しています。
一 つ取り上げますと、先月は例年通り、大学進学が決まった卒業生を集めて合格速報会と題し、先輩の話を1,2年生が聞く会を行いました。その中で、ある卒業 生が言った言葉をここで紹介します。卒業生の一人は、「環境と自然について興味があり、建築に進みたいと思って大学を選んだ。部活動は運動部で、3年で引 退するまで続けて、勉強との両立をやり遂げた」と話していました。将来の夢があるから、つらくても頑張れたこと、そして、部活動練習後の時間に集中して勉 強に取り組んだ工夫と努力、達成感を語ってくれました。
本校では「毎日が文武両道」を合言葉にしています。学習だけではなく、運動会、文化祭といった学校行事や部活動に、全力投球してください。自分自身を精一杯鍛え、これからの三年間で大きく成長してくれることを期待しています。
さて、本校の校是は初代校長が唱えた「全員指導者たれ」です。校是のもとで、リーダーの資質として大切な「自主・自律・人間尊重」の精神を養うことを教育目標にしています。今日は、入学式を迎えた皆さんに、この「自主自律」にちなんだ話をしたいと思います。
ア メリカ、ニュージャージー州にあるプリンストン大学では、学部生や大学院生が学内試験を受ける際にオナーコードというシステムがあります。試験は驚くべき ことですが、監督する試験官なしで行います。学生は試験を受けるとき、解答用紙に「不正をしないことを誓います」という文を書いて提出し、試験に臨むので す。この話を私は最近、話題になっている新書で読んだのですが、実は昨年、この話と同じ話を90周年事業のため、昔の本校に関係する記録を紐解いている 際、目にしました。それは、今から約50年前に書かれた文章でした。当時、本校の国語科教師が、その時すでにプリンストン大学で行われていたオナーシステ ムの様子と、この制度が学生の自主管理によって行われていることを取り上げて紹介していました。時代を超えて生き続けている、「自主」の素晴らしさを感じ るとともに、今から50年前に、この話題を引用して、その当時の新宿高校の生徒や同窓生に、自主性の大切さを説いていた本校教師の高い見識に、感服いたし ました。
そして今、現在 の本校を顧みるとき、この自主自律の精神は、運動会、文化祭を実行委員会の生徒がリーダーとなって自主的に運営することや、生徒の日常生活の思考、行動の 様々な場面で、脈々と息づいていることが分かります。自主とは、自ら学び、自ら考えて行動すること、自律とは、自分で目標を立てて、達成するよう努力する こと、と、私は生徒の皆さんにいつも言っています。新入生の皆さんにとっての自主自律とは何でしょうか。ぜひ、よく考えてください。そして、これからの高 校生活で実践してください。
皆さんは今日から新宿高校の一員です。教職員一同、皆さんと過ごすこれからの三年間を楽しみにしております。(最後の挨拶は、ここでは省略いたします。式辞は以上です)
新 入生代表による生徒宣誓は自分の言葉で語り、堂々として頼もしく見えました。入退場時の管弦学部の演奏により、重厚な格調高い入学式となりました。また、 音楽部の済み切った歌声に、心洗われました。式の最後に、アカペラによる校歌紹介を近くで聞き、少しリラックスしたのか、嬉しそうに微笑んでいた新入生た ちの顔が印象的でした。