70【浮き世】

多摩ファミ定期演奏会


当日の写真 録音 動画 歴史
 

▲コンサート終了後、八王子JCOMホールのロビーにて

クリックすると当日の写真へ移動します

 

多摩ファミに親しむようになって7年くらい

こんなに大応援団になったのは初めてかもしれません

井野先生(写真右端)と二人だけ

コンサート後の飲み会をしたこともあったなぁ

(^_^;)

 

土屋さん ホルンを持つ山潤さん F組の柴田さん

コンサート終了後の飲み会にて

 

土屋さんは、日本ヘンデル協会の会員です

ちなみに、日本メンデル協会ではありません

日本メンデルスゾーン協会というのもありますね

(^_^;)

 

* * * * * * *

 

山潤さんが参加している多摩ファミのコンサート

私が親しむようになって、もう7年くらい

例年は数名でしたが、今回は十数名の大応援団!

会場も大きく、音響効果も良かったようで、多摩ファミの歴史の中でも画期的な定期演奏会のようです

その直前には、調布稲門会(萩原会長)が出店している福祉バザーも見学させていただきました

当日の写真をアップしましたので、ご高覧いただければ幸いです

写真の削除修正などのご要望あれば、小杉までどうぞ (^_^;)

当日の写真へ 当日の録音へ 当日の動画へ これまでの多摩ファミの歴史へ

 

▼当日に会場で配布されたパンフレット(クリックすると拡大します)

 

ベト7は、こんな曲です

大野さんの大のお気に入りで、1000回聴いたとか(ホンマかいな)

 


当日の写真 録音 動画 歴史
 

セイコーマートの290円のクリスマスケーキ

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全国的に師走となり、街にはクリスマスソングが流れ、何となく慌ただしい季節です

コンビニ「セイコーマートの店頭に、290円のクリスマスケーキが登場しました

「まだ早すぎる」「小さすぎる」などと思ったら、実はこれ「試食用」のケーキ

本番のクリスマスケーキは、一家でそろって食べる「儀式用」なので、サイズも大きいし結構な値段がする

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そんなケーキを12/24に一口食べたら、期待していた味と違ったりして

「あぁー、これ失敗じゃん!」

とガックリ経験をした人も少なくないはず

楽しいはずのクリスマスが台無しになりかねない

そこでセイコーマートが「試食用」ケーキを発売したら

「こーゆーのが欲しかったんだよ!」・・・(*)

と、ヒット商品になったそうです

試食用ケーキを買って味に安心できたお客さんの多くは、本番12/24にも同じ味のセイコーマートのケーキを買うでしょうから、顧客囲い込み戦略としても大成功!

まさに「天才の発明」です

マーケティングの世界には、「潜在ニーズ」という概念があって、顧客もまだ気付いていないニーズを発見して提供すると、(*)のような反応があって大歓迎されます

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もちろん、潜在ニーズだと思って勝負したら大ハズレというケースもあるけどね

セイコーマートの試食用ケーキには、

「バタークリームデコレーション」

を筆頭に、

「ショコラピスターシュ」

「キャラメルポム」

「モンブラン」

「ショコラブラン」

「抹茶デコレーション」

など、おもわずヨダレが出てくる豪華ラインナップがズラリと並んでいます

同じくマーケティングの世界には

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ホイラーの法則:ステーキを売るな、シズルを売れ!

というのもあって、「シズル」というのは、ステーキがジュージュー焼けるような音

何かを売りたければ「おもわずヨダレが出てくる」ように、商品のセールスポイントを最前面に押し出したマーケティングが重要とされています

結局、ビジネスとか経済って、心理学なんですよねー

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コンビニ「セイコーマート」(→)は、東京では余り見ないんですけど、北海道ではそこらじゅう、セブンイレブンに負けないほど沢山あります

以前、北海道をドライブ旅したとき、その品揃え(特に食品)が素晴らしくて感動し、北海道以外にももっと進出して欲しいなぁと感じました

さすが北海道、日本最大の食品産地(特に乳製品)だけのことはありますよ

(^_^;)

詳細はここをクリック

 

創楽と受楽 人生の楽しみと「仕事一筋」

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ホンダの創業者、本田宗一郎は65歳で引退した

この引退にもいろいろドラマがあるのだが、それは置いて、引退後のエピソード

本田宗一郎は「仕事一筋」で生きてきた人なので、引退して家にいてもすることが無い

まだ65歳だから元気はある

人に勧められて、世間でいわゆる「趣味」と呼ばれるものをいろいろ始めてみたのだが、どれもイマイチ退屈で飽きてしまい困ったそうだ

逸話として聴いた(読んだ)話なので、どこまで事実なのか、困ってからどうしたのか、その辺の詳しいことは知らない

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ただ本田宗一郎にとって、

仕事一筋」(新しいものを創造する楽しさ)

の世界は、

趣味」(出来上がった作品を味わう楽しさ)

の世界に比べると、次元が異なるほど底抜けに楽しかったのではないかと思う

趣味にも創造的な要素はあるが、やはり仕事のそれとは次元が違うのだろう

仕事からそのような底抜けの楽しさを感じ取れる人は、おそらく少数派だ

だが優秀なエンジニア、ビジネスマン、創業者、研究者、芸術家などには、そんな人が少なくないように思われる

仕事を通じて自分で何かを創り出し、それを見たり感じ取ったり出来る人は幸せだ

工場の流れ作業のような単純作業がツライのは、それを感じ取ることが難しいからだ

 

* * * * * * *

 

画像②

文豪の永井荷風(→)「人生に三楽あり」と言った

読書と酒と女だそうだ

彼はかなり自分勝手な人間で、他人の都合など構わず、人生の楽しみを味わい尽くしたような感じの人だ

そんな人の言葉なので、それなりに真実味がある

だが荷風が本当に楽しかったのは、文章を書くことだったと思う

読書と酒と女というのは、その合間の、やや息抜きのような楽しみ

どんなに楽しいことでも、そればかりずっと続けていると集中力が持たなくなったり、一時的に飽きてきたりするので、息抜きというのは必要だ

私は、人生の知的な楽しみには2種類あると思っている

創楽(そうらく):自分で何かを創り出す楽しみ

受楽(じゅらく):他人が創り出したものを味わう楽しみ

創造には苦しみの側面もあると思うが、それでも創楽の真髄に触れると、受楽など詰まらなく感じて、せいぜい息抜き程度になるのかもしれない

天才は創楽を味わう、と言うより、創楽を味わって「仕事一筋」に生きたから、結果として世間から「天才」と呼ばれるようになったようにも思える

「仕事一筋」などと聞くと、世間の平凡な人は「無趣味の詰まらない人間」をイメージすることが多いだろうし、確かにそんな人間もいると思う

だが実は「仕事一筋」の人の中に、「人生の本当の楽しみを味わい尽くしている人」がいるのではあるまいか?

何かに挑戦して失敗した人を見て、批判したりあざ笑ったりする人がいるが、そんなあざ笑う人こそ「人生の本当の楽しみ」から最も遠いところにいるように思える

(^_^;)

 

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新宿を歩く(3)二の酉

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▲「よぉ~、シャンシャンシャン!」

詳細はここをクリック

 

下は、花園神社で熊手が売れて、「よぉ~、シャンシャンシャン!」している動画です

下をクリックしてから表示されて動き出すまで、少し時間がかかる場合があります

モバイル接続の場合、ギガをそれなりに消費します

受信環境によっては、まれに動画を見れない場合もあります

(^_^;)

シャンシャン動画1(56MB)  シャンシャン動画2(64MB)

 

Gメール・アドレスへのメール送達不能問題

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今年の夏あたりから、

Gメールのメルアドにあてた

私からのメールが送達不能になる

という問題が発生していました

仕方ないので、LINEをしている人へはLINEで連絡したりして何とかしのいでいましたが、LINEをしていない人へは、ほとんどコミュニケーションが不可能な状態に陥っていました

昨日ネットでいろいろ調べたら、

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この不具合(送達不能)が

世の中で広く発生している

ことが分かりました

特にPCメールソフトにサンダーバード(Mozilla Thunderbird)を使っていると、不具合になることが多いようです

私もメールソフトにサンダーバードを使っています

直接の原因は、Googleがセキュリティを高めるために、今年の夏あたりからGメールの機能変更をしたことにあるようです

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さらにその原因には、セールスメールを何十万通も大量に送信するような悪質なスパム業者などがいて、Googleなどネットインフラの側でも、やむをえずセキュリティ機能を高めている事情があるようです

ただそのせいで多くのユーザーにとって、

メールがどんどん使いにくくなっている

のも事実

メールを使うための設定などがセキュリティ対応でドンドン複雑化して、多くのユーザーの手に余る状態になり、結果として

ネット・コミュニケーションの主流が、メールから

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SNS(LINEなど)へと移りつつある

ようにも見えます

LINEなどのSNS業者が、メールを敵視して、メールを使いにくくさせるために、スパムをバラまいているんじゃないかと邪推したくもなります

 

* * * * * * *

 

■現在発生している問題と取り得る対応:

(Gメール以外のアドレス&サンダーバード)→(Gメールアドレス)

送信側がGメール以外のアドレスから、メールソフトのサンダーバードを使って、受信側のGメールアドレスにあててメール送信すると、送達不能になる

A)メール送信側が取り得る対応:

(A-1)メールソフトにサンダーバード以外を使って送信する

(A-2)Gメールアドレスを使って送信する

B)メール受信側が取り得る対応:

(B-1)Gメール以外のメールアドレスを使う

(B-2)SNS(LINEなど)を使う

受信側としては、必ず対応しなければならない状況ではありません

ただ、気が付かないうちに、一部の送信者からのメールが届かなくなっている可能性はあります

送達不能の場合、送信側には送達不能連絡がありますが、受信側には何の連絡もありませんからね(送達不能だから当然だけど)

 

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■メール送信側としての私の対応:

(A-1)はいろいろ大変なので、とりあえず(A-2)で、

今までのメルアドから送達不能になった人には、

Gメールアドレスを使って再送信する

ことにしました

Gメール以外のアドレスと同じように、Gメールアドレスを使って、サンダーバードから送受信することは可能です

Gメールは非常に多機能ですし、他のGoogleサービスを使うにはGメールアドレスを取得する必要があるので、私もGメールアドレスを持っていますが、

Gメールは非常に多機能すぎて少々使い勝手が悪い

ところもあり、今のところ私はGメールアドレスをメインのメルアドにするのを躊躇(ちゅうちょ)しています

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ただ今回のようなことがあったので、もしかすると今後は、メインのメルアドをGメールアドレスに変えるかもしれません

(Googleの策略に、まんまと乗せられているような気もしますが・・・)

(^_^;)

 

東工大学長が女性アワード「HeForShe賞」受賞

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▲東工大 大岡山キャンパス 本館

 

東工大の入試で女性枠を設けることについて、男女差別とかの批判もあるようですが、私は良い取り組みだと思います

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研究開発の世界では

異種交配が創造力をかき立てる!」

と言われていますが、世の中の究極の異種交配が女と男であることは間違いありません

私が大学生のころ学科の教授が、

「今年の学部生は雰囲気が違うなぁ」

と言ったのを覚えています

いつもの学年は男子学生ばかりだった学科に、その年は女子学生が一人含まれていたことを意識しての発言だったようです

日本は製造現場での品質管理と効率性を通じて、世界でも有数の豊かで自由な先進文明国になることができました

これからの先進文明国に必要なのは、何よりも科学技術分野での卓越した創造性(研究開発力)です

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何か新しいことをすれば、日本の大手マスコミ(朝日→、毎日、TBS、NHK)みたいな

「自分は何もせんで、批判ばかりする連中」

というのが不可避的に必ず発生します

そんな社会のダニみたいな連中は無視して、新しい時代をドンドン切り開いてもらいたいものです

(^_^;)

 

* * * * * * *

 

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女性アワード「WOMEN AWARD 2023」

Forbes JAPAN主催で、その個人部門で

東工大学長の益一哉が「HeForShe賞」(→)

を受賞しました。

HeForShe賞は、WOMEN AWARD個人部門の中で唯一の男性への賞です。

ジェンダー平等推進を呼びかけ、行動を起こした男性に贈られます。

 

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東工大学長 益一哉(←)のあいさつ

このたびは「HeForShe賞」を賜り深く感謝申し上げます。

受賞の理由として、東工大が2024年度入学の入試から、これまでにない規模で「女子枠」というポジティブな取り組みに踏み切ったとあります。

東工大の女性学生の割合は、学部で13%程度です。

東工大は東京医歯大と統合し、2024年秋に「東京科学大学」となります。

今回の受賞を契機に、女性活躍を含む多様性をより尊重し、推進します。

皆様と共に成長し、より良い未来を築いてまいります。

 

品川駅の再開発

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▲品川駅中央通路

 

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東京の品川駅周辺が、さらに大きく変貌しつつあります

もともと品川駅の港南口には東京湾に面した倉庫が多くて、そこで働く港湾労働者や運送トラックの街、つまり肉体労働者の街でした

25年くらい前から品川インターシティなどの再開発が始まり、港南口にはソニー本社(→)、NTTデータ、キヤノン、ニコンなど、大企業のオフィスビルが次々に出来ました

今では、ちょっとした丸の内や大手町のようなオフィス街が形成されています

多くの倉庫跡地には高層マンションが林立して、現在ではタワマン街になっています

そしてごく最近、さらに大規模な再開発が品川駅周辺で進んでいます

リニア中央新幹線の始発駅建設(静岡県知事→が必死になって邪魔してますけどね)

JR品川駅と駅ビルの大改造(今までの高輪口駅ビルがショボ過ぎました)

高輪ゲートウェイ駅(↓)周辺の再開発(大型駅ビル、いくつも建設中)

高輪口の旧ホテルパシフィック跡地再開発(トヨタの東京本社などが出来ます)

京急とJRのホーム平面化工事(京急がJRと同じ1階へ下がってホームが1本増えますが、品川駅を出て横浜方面へ向かう京急線は、スグに急坂を登ることになります)

京急八ッ山橋跨線橋の掛替工事(「開かずの踏切」と言われていた京急八ッ山橋踏切が、立体交差で便利になりそう)

北品川駅周辺の再開発(★下の記事がこれです)

などが並行して進行中で、あと数年で品川駅周辺は、さらに大きく変貌します

 

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▲高輪ゲートウェイ駅

ほとんど「品川駅の中にある」と言っていいほど品川駅に近い

 

なお品川駅の南側に「北品川駅」があったり、「品川駅」なのに品川区ではなく港区にあったりとか、いろいろ歴史的な事情があって面白いですよ

下の地図にある「くら寿司」は、我が家から近いので、ときどき食べに行きます

この北品川駅の近くを旧東海道が走っていて、江戸時代を感じさせるレトロな商店街になってます

(^_^;)

 

* * * * * * *

 

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東京都品川区の「品川浦周辺地区再開発協議会」は、JR品川駅南側周辺で三つの再開発準備組合を2023年10月下旬に設立しました。

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約13ヘクタールの敷地を三つの街区に分けて、再開発ビルなどの建設を検討します。

対象区域は北品川一丁目と東品川一丁目にまたがるエリアです。

屋形船(→)や釣り船が停泊する品川浦を囲むように南、西、北の3街区に分かれ、うち西街区は京急本線の北品川駅が立地します。

北側はJR品川駅や同駅東口地区の再開発で整備した品川インターシティなどの高層ビル群が近接しています。

南街区
面積-約40,000㎡
準備組合-品川浦周辺南地区市街地再開発準備組合
準備組合設立-2023年10月28日
事業協力者-旭化成不レジデンス、東京建物、日鉄興和不動産、三菱地所グループ、五洋建設、大林組、東急不動産

北街区
面積-約60,000㎡
準備組合-品川浦周辺北地区市街地再開発準備組合
準備組合設立-2023年10月30日
事業協力者-旭化成不レジデンス、日鉄興和不動産、三菱地所グループ、清水建設、大林組、京浜急行電鉄、住友不動産、中央日本土地建物、東急不動産、長谷工不動産

西街区
面積-約35,000㎡
準備組合-品川浦周辺西地区市街地再開発準備組合
準備組合設立-2023年10月31日
事業協力者-旭化成不レジデンス、日鉄興和不動産、三菱地所グループ、五洋建設、清水建設、京浜急行電鉄

 

林芙美子の恩師 今井先生

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私は展覧会などへ行っても有料のパンフレット(その展覧会の展示内容をまとめた1000円くらいのパンフレット)はめったに買わない

でも今回の「林芙美子展」(→)のパンフレットは、内容が充実していたので買った

新宿歴史博物館のスタッフの水準は、かなり高いのかもしれない

その中に、芙美子の恩師についてのページがあった

芙美子は極貧の家庭環境で育ち、当時の常識から言えば小学校卒業と同時に女中奉公か何かで社会に出るのが普通だったと思うが、芙美子の文学的才能に気付いた小学校教師のすすめで女学校に進学した

親からの経済的援助は期待できず、昼は学校で夜は学費稼ぎのバイトという生活を送り、しかも周囲は富裕な家庭のお嬢さまばかりという、かなりキツイ女学校生活だったはず

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それなのに芙美子が女学校生活を余りツライと感じていない、むしろ良き思い出の時代らしいのは、この先生がいたことが非常に大きいのだろう

まさに「恩師」と呼ぶにふさわしい、芙美子にとってとても重要な存在で、この人が芙美子の才能を開花させたのかもしれない

性犯罪ばかり起こしている昨今の学校教師どもに比べたら別世界

さらに言えば、芙美子にとってもっと重要な人物は、いち早く芙美子の才能に気付いて進学をすすめた小学校の先生かもしれない

この人がいなければ、今井先生に出会うことも無かったのだ

(^_^;)

 

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▲女学校を卒業して2年21歳、東京での極貧生活の中から送ったはがき

下足番、女工、事務員、カフェーの女給などでギリギリの極貧生活

原稿を雑誌社・出版社に売り込んで回り、ときには拾われた

当時の原稿料は、現金書留や為替で送られてきたので

郵便配達が「林さん、書留でーす」と来ると、芙美子の胸は高鳴った

このころに芙美子がつけていた日記が「放浪記」の原形

 

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▲昭和4年26歳、今井先生へのはがき

前年(昭和3年)に雑誌「女人芸術」掲載の「放浪記」が好評

翌年(昭和5年)に「放浪記」の単行本が出てベストセラー化

芙美子は超売れっ子作家になった

 

林芙美子「放浪記」を読む

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林芙美子(→)の代表作放浪記を読んだ

新潮文庫で576ページという、やや長い作品で、第一部、第二部、第三部に分かれている

第一部を読み始めると、話があちこち飛んで時系列が混乱しているような、ストーリー性が弱いような印象があって、はっきり言って読みにくい

これが原因で、途中で読むのを断念する人も多いらしい

話の途中に沢山の詩が入っているので、自伝的作品でありながら、詩作前後の背景解説付き詩集といった感じ

それでも何とか第一部を読み終え、一晩寝たら頭の中が少し整理されたのか、翌日に読んだ第二部以降は分かり易かったし、急に面白くなった

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自伝的作品と言っても、中心は芙美子が20代の若く貧しかった時代の話

それも半端ない貧しさで、毎日の食べものを手に入れるのに汲々としている

空腹なのにお金が無く、下宿の下の階に忍び込み、炊事場で味噌汁を盗んで飲む場面には唖然とする

その中でも読書だけは、まさに寸暇を見つけて続けており、本当に文学が大好きなのがズキズキ伝わってくる

今からちょうど120年前の、明治36年(1903年)生まれなので、私から見ると祖父祖母の時代と重なる

この時代の貧しい家庭の子どもが小学校を卒業すると、男の子は丁稚奉公、女の子は女中奉公などに出るのが普通で、小卒で社会に出るのが当たり前の時代だった

大学へ行くのが珍しくもない現在のような豊かな社会になったのは、1960年代の高度成長以降のわずか半世紀ちょっとで、日本の歴史から言ったらごくごく最近の話なのだ

芙美子は小学生のころから、親と一緒に行商をしており、今で言えば飛び込み営業のような仕事もする貧しい家庭の子どもだった

旧制中学(女の子は女学校)へ進学できるのは、富裕な家庭の子どもに限られていた

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そんな時代だったが、小学校の教師が芙美子の文学的才能を発見し、そのすすめもあって女学校に進学する

親からの支援はほとんど期待できず、

「昼は女学校で、夜はバイト」

「周囲はお金持ちのお嬢さまばかり」

という十代のキツイ4年間を過したはずなのだが、その辺の苦労話が本書には少ない

もしかすると、キツイながらも結構楽しい女学校生活を送っていたのかもしれないし、芙美子にはそんな精神的たくましさ(生命力がある

芙美子自身も、芙美子の母親も男運が悪くて、つまり非常に稼ぎの悪い男とばかりくっついて、この辺の男関係や貧困生活の苦労話が哀愁を帯びている

確かに明日をも知れぬ毎日、赤貧洗うがごとしの毎日なのだが、その割に芙美子本人は余り深く悩んだりせず、「お金が無い無い」と言いながらもあっけらかんと毎日を送っており、たくましい生命力を感じさせる

おそらく「何も無い者の強み」というのか、もうこれ以上落ちようがない境遇のもたらす不思議な安心感のようなものがあったのかもしれない

雑貨の行商のような仕事から始まって職を転々とし、カフェーの女給(今ならキャバ嬢?)もしていて、この辺の描写が森光子(→)の有名な舞台「放浪記」で詳しく演じられていたらしい

舞台を生で見ることはなかったが、舞台を記録した動画が手元にあるので、「放浪記」の映画とともに近日中に観たいと思っている

実は、私が以前に住んでいたマンションの上の方の階に森光子が住んでいて、エレベーターで時々一緒になったりしていたのだが、話しかけたりお近づきになることはなかった(少しもったいなかったかな)

もちろん大女優なのだが、すぐ近くで見ると小柄なおばあさんといった感じ

こんな人が20代のカフェーの女給の役をやるのかなと不思議に思った

カフェーの女給をテーマにした文学と言えば永井荷風なのだが、彼はカフェーのお客となる金持ちの中年男で、芙美子はカフェーで働く貧しくて若い女という、まったく正反対の立場

荷風が足繁く通った銀座のカフェー「タイガー」の名は「放浪記」にも登場するが、荷風と芙美子が同じ店内で客と女給として同席したことは、たぶん無かったようだ

本書「放浪記」全体を読んだ印象としては、21世紀の今なら何の違和感もなく普通に生きていそうな現代的感覚の女性が、たまたま運悪く1世紀前に生まれてしまったような感じがする

「エセー」を書いたモンテーニュは、「中世に生まれた近代人」などと言われているが、彼は貴族だったので経済的な苦労はしていない

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以前に瀬戸内寂聴(→)の動画を見ていたら、

「若い頃はいろいろ苦労したけど、

 だんだん時代が私に追いついてきたので、

 いまは生きるのがとても楽になりました」

というようなことを言っていた

芙美子の場合、時代が彼女に追いつくことは無かったのかもしれないが、たまたま雑誌に連載した「放浪記」(第一部)が人気となって、単行本もベストセラーになった

またたくまに文壇の寵児となり、貧困を抜け出して経済的成功も手に入れた

この辺の事情は、ギッシング「ヘンリ・ライクロフトの私記」を連想させる

19世紀の英国の売れない作家が、お金のためにしたくもない仕事をしたり、書きたくも無い雑文を書いたりして貧しく暮らしていたが、ある日遠い親戚の遺産が転がり込み、本当に書きたい作品だけを書くという恵まれた書斎生活に移行した喜びにあふれている

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ジョブズ(→)は「適度なレベルのお金」( some money )が手に入ったら、それ以上のお金は人生にとって大切ではないと言ったが、その「適度なレベルのお金」すら無いとかなり悲惨な人生になるので、運良くそれが手に入った時の喜びは非常に大きいようだ

ただ芙美子の場合、出版社に原稿を持ち込んで断られたりした貧困時代の記憶のせいか、どんな仕事でも断ることなくガツガツ引き受けるので、同時代の同業者(作家)たちからは「仕事を奪う女」として嫌われていたそうだ

およそ人間には

遠くから見ると立派な人物なのだが、近くで付き合うとイヤな奴・・・(1)

遠くから見ると悪党だが、近くで付き合うとすごくいい人・・・(2)

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の2種類がいるようだ

政治家で言えば(1)は中曽根康弘、(2)は田中角栄(→)と言われているが、どうなのだろうか

芙美子は、(2)のタイプだったのかもしれない

冒頭の新潮文庫の表紙に書かれた有名な言葉

「花のいのちはみじかくて

 苦しきことのみ多かりき」

は、芙美子の貧しくて苦しい前半生を象徴しているとされているが、作家の村岡花子に送った芙美子からの手紙に書かれた下の文章こそ、彼女の生命力を象徴している

「多かりき」と「多かれど」の違いに注目してください

 

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経済的な成功を手に入れた芙美子は、新宿区に豪邸を建て、画家の男(手塚緑敏、→)と幸せな家庭生活を送っていた

だが、どんな仕事でも断ることなくガツガツ引き受けることで無理をし過ぎたせいか、1951年(昭和26年)にわずか47歳であっけなく急逝(心臓麻痺)

みじか過ぎる花のいのちを散らしてしまった

仕事の無理もあるが、若い頃の貧困による劣悪な食生活で栄養が偏り、免疫力が低下していたのではないだろうか

芙美子が急死した場所は、食レポ(グルメ紀行文)を書くために訪れたうなぎ屋で、芙美子はすでに超人気作家になっていたのに、そんな新人ライターがするような雑仕事まで引き受けていた

それで「仕事を奪う女」として文壇からは嫌われていて、芙美子の告別式では葬儀委員長をつとめた川端康成(→)

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故人は、文学的生命を保つため、他に対して

時にはひどいこともしたのでありますが

しかし、後二、三時間もすれば

故人は灰となってしまいます。

死は一切の罪悪を消滅させますから

どうか故人を許して貰いたいと思います

と弔辞を述べて、参列していた多くの芙美子ファンの涙を誘った

芙美子が一緒に暮らした手塚緑敏は、画家としての才能は開花せず、彼女の作家収入に依存して、今で言う「主夫」として暮らしていた

今ならそんな夫婦は珍しくないが、何しろ1世紀近くも前なので、周囲からは「髪結いの亭主」とか「甲斐性なし」「ヒモ」とか言われて白い目で見られていたかもしれない

でも手塚緑敏はそんなことを気にせず、右上の写真のように芙美子と仲良く楽しく暮らしていたようで、芙美子と同様に「たまたま運悪く1世紀前に生まれてしまった」現代的感覚の持ち主だったようだ

芙美子は1903年に生まれ、その前半生は極貧の中で生き、27歳(1930年)から「放浪記」が売れに売れて極貧から脱し、多くの仕事と実直な夫(緑敏)に囲まれて、充実した後半生(約20年間)を生きた

芙美子が建てて手塚緑敏との楽しい生活を送った豪邸は、現在は林芙美子記念館として公開されている

近日中に尋ねてみたいと思っている

(^_^;)

 

映画「アメリ」

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有名なフランス映画だが、観たのは今日が初めて

変な親に育てられ、学校へも通わず、友達のいない少女アメリは、モンマルトルのカフェで働きながら、彼女独特の「空想の世界」を作って生きている

ひょんなきっかけからアメリは、

周囲にいる人たちの人生に密かに影響を与える

という不思議な趣味に入り込んでいく

そのドタバタが、ブラックユーモア的で、パリらしく少しオシャレで、ほのぼのしている

その背後にあるメッセージは、フランス映画によくある

la vie est merveilleuse(人生は素晴らしい)

で、彼女から影響を受けた周囲の人たちは、みんな少しずつ幸せになっていく

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そして彼女も不器用ながら恋人を見つけ、二人でバイクに乗ってパリの街を疾走する場面で映画は終わる

この、バイクでパリの街を疾走するシーンは印象に残る

私の大好きな映画「パリでかくれんぼ」でも似たシーンがあった(こっちは一人でバイク便の配達だが)

映画の中で歌う ENZO ENZO も印象的で、私はファンになった

映画「アメリ」は2001年の作品だが、ミュージカルになったりして、その後もいろいろ話題が尽きない作品

来月(2023年11月)には日本全国で、デジタルリマスター版が再上映らしい

この映画にも、モロッコ出身の移民(八百屋の店員)が登場して、パリの下町で貧しくひっそりと生きている

移民があふれて暴動を起こしている最近の殺伐としたパリとは別世界

日本でも埼玉県川口市で、クルド人が騒ぎを起こしたりしているから他人事ではない

(^_^;)

 

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▲映画「パリでかくれんぼ」 バイクで疾走するナタリー・リシェール

 

▲ ENZO ENZO ▼

 

▲全然関係ないけど、かわいいビダルちゃん

 

▲移民が暴動を起こしている最近の殺伐としたパリ(2023年7月)