誰しも、年齢とともに視力が次第に低下してくる。いわゆる老眼だ。
見えづらくなると老眼鏡に頼ることになるが、できることなら健康な視力を維持したいもの。
そんな願望に応える研究結果が米国から届いた。
7日間のトレーニングで老眼を回復できることが実証されたというのだ。
鍵は、脳を鍛えることにあるようだ。
掲示物の回転目視を1日750回
カルフォルニア大学とブラウン大学の研究者が、若年者16人(平均年齢22歳)と高齢者16人(同71歳)を対象にトレーニングを実施した。
トレーニング内容は、ストライプ柄の掲示物を見つめ、それが時計回り、反時計回りどちらに回転するかを見分けるというもの。
掲示物の粒子の粗さに変化を加えるなどして、1日750回、トータル3750回受けてもらった。
そしてトレーニング終了後、参加者の視力を測定したところ、高齢者に著しい視力回復が見られた。
トレーニング前、コントラストの見分け能力は若年者がはるかに優れていたが、トレーニング後では高齢者の能力が若年者並みに改善していたという。
情報処理能力を鍛えると効果あり
また、若年者、高齢者ともに、よりはっきりとものが見えるようになったことも確認された。
特に高齢者では近くのものを、若年者では遠くのものを見るときの視力の改善が大きかった。
研究チームによると、脳をトレーニングすることで目から入ってくる情報を正確に処理できるようになり、これが視力回復につながっているのだという。
残念ながら、このトレーニングは緑内障などの病気を抱えている人には有効ではないようだが、それでも多くの人がメリットを享受できることになり、早い実用化が待たれる。
研究結果は専門誌「Psychological Science」に発表された。
出典元:Improving Vision Among Older Adults – Psychological Science(3/6)