アニメ・コミック

読書 チャールズ・ウォードの奇怪な事件

チャールズ・ウォードの奇怪な事件 クトゥルフ恐怖譚 クラシックCOMIC_01

ラヴクラフトにとってプロヴィデンスは最も落ち着く場所だったようで、46年の短い生涯のほとんどをここで過ごし、独特のクトゥルフ神話の世界を紡いだ

ラヴクラフトはプロヴィデンスに住む伯母に宛てた手紙の中で

「現実世界を打ち捨てて、古びた場所に引き篭もり、読書や書き物をしたり、風変わりな場所や歴史の残る場所を訪ねたりして、静かに暮らしたい」

と書いて、過ぎ去った時代への偏愛や、異邦への憧憬を表している

日本で言えば出家隠棲のような生き方だが、彼が生きた時代のアメリカは、第一次大戦や世界大恐慌で落ち着かなく、彼は英国に似た落ち着きのあるプロヴィデンスを愛した

彼の墓には「私はプロヴィデンスである」と記されている

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▲現在のプロヴィデンスの街並み

 

読書 ダゴン

ダゴン クトゥルフ恐怖神話の源泉 クラシックCOMIC_01

ラブクラフトの初期作品

「無名都市」

「ダゴン」

「魔宴」

「神殿」

を収録している

狂える詩人アルハザードによる魔道書「ネクロノミコン」が登場します

現在のヨーロッパが世界の先進エリアの座を確実にしたのは18世紀の産業革命以降なので、それまではオリエント(エジプトやメソポタミア)の巨大帝国がヨーロッパ人にとっての恐怖の的、トラウマだった

それよりはるか昔に栄えた爬虫類的な生物の文明への恐怖が、一連の神話のテーマです

作品が書かれたのは今からほぼ1世紀前

当時の日本で発生した関東大震災(1923年)は、世界に大々的に伝えられ、文明崩壊事件として、ラブクラフトにも強い影響を与えたとされています

(^_^;)

 

読書 クトゥルフの呼び声

クトゥルフの呼び声 邪神伝説 (クラシックCOMIC)_01

今回、インスマウスダンウィッチ、そして本作と、ラブクラフトの代表作を詳しい解説文付きのマンガで読んでいるのは、以前に原作の小説(もちろん翻訳)を読んでいるからだ

あの底知れぬ「コズミック・ホラー(宇宙的恐怖)」の世界を、どのように具象化(マンガ化)しているかに興味があった

元首相の鳩山由紀夫が「日本列島は日本人だけのものではない」などと馬鹿げた発言をして、多くの日本人の憤激と失笑を買ったが、「地球は人類だけのものではない」という不安と恐怖が、コズミック・ホラーの基本テーマになっている

当然、小説は文章だから、その恐怖の対象をあいまいにボカして表現できるけれども、マンガでは明瞭な絵にしなければならないので、マンガ家は大変だ

作品とイマジネーションの比率が、小説なら3:7のところが、マンガなら7:3くらいの感じだろうか

クトゥルフの呼び声 (ZOC Pictures)_01

特に本作「クトゥルフの呼び声」は2人のマンガ家が個別に作品化しているので、読み比べる楽しみもあった

私は右脳やマズローの至高体験との関連で、コリン・ウイルソン(→)に興味があるのだが、彼もラブクラフトに並々ならぬ関心を示し、「賢者の石」などの作品を書いてクトゥルフ神話の世界に参加している

「ウルトラQ」を通じて日本の特撮界に影響を与えたラブクラフトだが、その後さらに現代のPCゲームの世界観などにも多大な影響を及ぼしているので、「大人の知的お遊びの世界」であるクトゥルフ神話は、今も拡大を続けている

(^_^;)

 

 

 

読書 ダンウィッチの怪

クトゥルフの血族 ダンウィッチの怪 クラシックCOMIC_01

インスマウスと並ぶラブクラフトの代表作

文章ではアイマイに表現できる不気味な怪物も、マンガとなると具象的に表現するしかないので、漫画家の苦労は並大抵ではない

漫画とは別にラブクラフトに関する文章説明が詳しく、ポーからスティーブン・キングに至る米国ホラーの伝統の中に、ラブクラフトを位置付けている

日本でラブクラフトを最初に紹介したのは江戸川乱歩のようだが、妖怪マンガの水木しげる、特撮映画の「ウルトラQ」との関連が興味深い

小泉八雲の「怪談」をラブクラフトが読んでいた可能性もあり、日本怪談の影響があったとすると、浮世絵が印象派に与えた影響のようで面白い

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読書 インマウスの影

原田 インスマウスの影 忌まわしきクトゥルフ神話 ラヴクラフト _01

クトゥルフ神話の創始者であるラブクラフトの紹介をしながら、彼の代表作を漫画化している

日本の怪談は、四谷怪談のお岩など、恨みを持って死んだ人物が化けて出るといった類の話が多い

化けて出るのは荒唐無稽としても、化けて出た人物は身近な良く知っている人物が多く、その意味で日常的な怪談と言える

仮にキツネやタヌキが化けたとしても、これらは微妙に擬人化されていて、異形感に乏しい

ラブクラフトの描く怪談は、これとはまったく別で、自分とはまったく異なる異種の存在が登場して、その存在に対する激しい嫌悪感のようなものが恐怖の背景にある

白人が初めて黒人を見た時など、顔かたちの違いや皮膚の色などから、これに近いごく自然な嫌悪感情が起こり、それが差別意識に転化したのではないかとも思う

ラブクラフトは1890年、米国東海岸で生まれ、無名のまま46歳で夭逝した天才作家

彼の作品から影響を受けた後世の作家群によって、その作品世界は「クトゥルフ神話」と呼ばれるようになり、多くのファンを得ている

もちろん、日本神話やギリシャ神話とは異なり、歴史的な背景を一切持たない、完全に人工的な空想世界である

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読書 蛭子能収コレクション

蛭子能収コレクション 地獄を見た男~地獄編~_01

蛭子能収コレクション第1集(全7冊)を一気に読んだ

数ページの作品が1冊に十数作品、計100作品ほど

つげ義春の「ねじ式」から影響を受け、シュールな作品ばかり

「ねじ式」のパロディ(↓)も書いている

編集者から「面白いんだけど、絵がねぇ~」と絵の下手さを指摘され、画力よりもストーリーで勝負しようと考えた

確かに余り上手な絵ではないが、独特の味があり、デビュー当時の「へたうま」ブームに乗った

ぼぉーっとしてるように見えるが、意外と機を見るに敏だ

(^_^;)

蛭子能収コレクション パチンコ屋はインテリを嫌う ~ギャンブル編~_01

蛭子能収コレクション パチンコ屋はインテリを嫌う ~ギャンブル編~_02

蛭子能収コレクション パチンコ屋はインテリを嫌う ~ギャンブル編~_03

蛭子能収コレクション パチンコ屋はインテリを嫌う ~ギャンブル編~_04

 

▼競艇と映画が大好きな、脱力系のおじさん (^_^;)

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読書 ゲゲゲのゲーテ

ゲゲゲのゲーテ (双葉新書)_01

妖怪マンガの水木しげるの愛読書がゲーテだった

カントやヘーゲル、ニーチェやショーペンハウエルも読んだが、ゲーテが一番「性に合った」らしい

「ヴィルヘルム・マイスター」や「ファウスト」より、「ゲーテとの対話」が好みだという

片腕を失った戦地にも持って行った

作品よりもゲーテの人間性や生き方が好きなのだろう

人生訓の本家のようなゲーテなので、マンガが売れなくて極貧の時代を乗り切るパワーも、ゲーテから得ていたようだ

したくもない戦争に狩り出されたので、終戦のときに本当に自由を感じたという

人生で最も大切なことは「好きなことをすること」と信じる

そして寝ることが好きだから、マンガが売れて余裕が出来てからは、毎日好きなだけ寝ているそうだ

「葉隠」の山本常朝に似ている

(^_^;)

 

読書 ブッダから親鸞へ

漫画ブッダから親鸞へ_ 加藤泰憲作品集 (響流選書)_01

あるお寺の住職が趣味でマンガを描いていて、彼が亡くなったとき、残された作品を息子がまとめて本にした

趣味といっても、マンガ雑誌に載ったこともあるようで、シロウトの域は脱している

ブッダの十大弟子、妙好人、親鸞の生涯などを扱っている

思想的に深い内容は無いが、素朴な画風にちょっと惹かれる

(^_^;)

漫画ブッダから親鸞へ_ 加藤泰憲作品集 (響流選書)_02

読書 マンガ古事記

マンガでわかるシリーズ 古事記_01

日本の古代史の原点である古事記を読もうと思うのだが、原文はもとより現代語訳でも読みにくいので、まずマンガから

世界からマンガの国と見られている日本では、多くの古典がマンガ化されている

横山光輝「三国志」全60巻などという超大作もある

古事記は江戸時代初めまでは偽書とされていた

本居宣長が慎重な考証によって偽書ではないことを論証し、日本書紀とならぶ古代史の正典となった

その神話編には荒唐無稽な話が多い

戦前は皇国史観から全て真実として教育したが、戦後はその反動で、すべてウソ話として歴史学会でも無視してきた

しかし高度成長期に日本中で道路やビルを建設し、地面を掘ってみたら古代の遺跡が次々に見つかり、それらが古代神話を微妙に反映していることが明らかになった

そんな訳で、今では何らかの史実を、神話の中に仮託していると考えられている

その「何らかの史実」を、推理小説にように探るのが、古代史最大の楽しみです

(^_^;)