なんだか シュールな光景 (^_^;)
チキンマックナゲットと言えば、誰もが知っているマクドナルドの定番メニュー。ですが、どうやって作られているのかはあまり知られていません。
考えてみれば、骨もないのにしっかりとした鶏肉の食感が楽しめるって、ちょっと不思議ですよね。
そこでチキンマックナゲットがどうやって作られているのか、そして原料や安全性はどうなっているのか、タイの製造工場へ取材に行ってみると…その実態は、想像を遥かに超えるものでした。
タイの鶏肉加工工場、カーギル・ミート・タイランド社にやって来た
空港に着いてみると…5月だというのに、この日の最高気温は37度。暑い!
今回取材する鶏肉加工工場は、2002年から日本マクドナルドのチキンマックナゲットを製造してきた、カーギル・ミート・タイランド社。
工場があるのは、サラブリーと言う郊外の町。バンコクから高速で2時間ほど移動すると、のどかで緑の多い景色が広がってきました。
こちらの工場では、養鶏場から送られて来た鶏肉を加工し、日本向けのチキンマックナゲットを製造しているそうなのですが…さてさて、一体どうやって作られているのでしょうか。
工場の中に入るには、専用のユニフォームに着替えないといけないのですが、マスク、ヘアキャップ、ゲスト用のオレンジの頭巾、ユニフォーム、長靴…って、こんなに着るの!?
全て装着すると…表に出ているのは目だけ。徹底した衛生管理が行われているとは聞いていたのですが、思っていた以上ですね…。
さらに入室前のホコリの除去、足元の消毒、再びホコリの除去に入念な手洗い…と、ものすごい徹底ぶり。
工場は複数のエリアに分かれているのですが、手洗いと消毒の設備はエリアの間に必ず設置されていて、消毒をせずに移動することができない仕組みになっているようです。
ちなみにこちらは鶏肉を切り分けるエリアなのですが…すごい人数!!
日本で消費されるチキンマックナゲットに使われる原料を1羽ずつ手間をかけて処理するのに、こんなにも人数が必要になるんですね…!
ちなみに工場内は気密性が高く、空気は空気清浄機を通して送られていて、雑菌や虫などの侵入をガッチリと防いでいるそうです。
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チキンマックナゲットの作り方
さて、ではあの柔らかくて美味しいチキンマックナゲットはどうやって作られているのか…かねてより謎に思っていた、加工工程を見せてもらいました。
最初の工程は、鶏肉の骨を取り除く、除骨作業。羽や内臓を取り除かれた丸鶏が工場に入ってくると…
何十人ものスタッフが、部位ごとに切り分け、丁寧にお肉を取り除いていきます。
こちらはモモ肉(レッグ)の骨を取り除く工程。熟練スタッフによる、鮮やかに骨を取り除く技術が凄い…!
切り分けられた鶏肉は、部位ごとに皮をはがされ、余分な筋や脂が除去されるのですが、 美味しいお肉の部位だけを残して、ばっさばっさと容赦なく脂身や筋が取り除かれていきます。
こんな贅沢なカット肉、お肉屋さんやスーパーではまずありえない…!
こちらはカットが終わったムネ肉を検査している工程なのですが、見てください!鮮度の証であるツヤツヤのムネ肉。
チキンマックナゲットって、 美味しい部位だけをこんなに厳選して使っていたんですね…!
ちなみにチキンマックナゲットの原料は、ムネ肉、モモ肉と調味料に加えて、少量の鶏皮を加えてジューシー感をアップさせているそう。
そしてカットされたムネ肉とモモ肉は、金属検査を経て加熱処理場に運ばれ、ダイシングマシンへ。
一見すると普通のひき肉のように見えますが、これは肉の食感が残るくらいのダイスカットにしているそう。ひき肉にしてしまうと肉の食感が失われてしまうのだそうです。
そして鶏肉はミキシングされた後、整形されてチキンマックナゲットの形に。
ちなみにチキンマックナゲットの形状は、4種類あるって知ってました?
この工程は、なんと『TEMPURA』と呼ばれているそう。衣は天ぷら粉を参考に作られていて、この独自のこだわりがカリッとした食感を生み出しているそうです。
そして衣をまとったチキンマックナゲットは、フライヤーへダイブ。ちょっと高いところから落としているのは、あの衣の食感を作るうえで重要なのだとか。
またこのフライヤーは、常に油の鮮度を保つ最先端のものだそう。最近は古くなった揚げ油の危険性が指摘されていますが、ここまで油の鮮度に気を遣っているんですね。
この後さらに確実に中まで熱を通すために、オーブンでじっくりと焼かれます。
ちなみにオーブンでの加熱処理後に雑菌がつかないよう、このエリアは最も管理が厳しく、さらにオーブンの出口から急速冷凍機までの距離も、極力短くしているそうです。
オーブンの出口で、食品安全のためナゲットの中心温度をチェックする検査員。
ちなみにピンクの帽子は品質チェックのスタッフで、あちこちの工程で品質を細かくチェックしていました。
パッキングされたら、重量チェックと、再び金属探知機で異物混入をチェック。
ちなみに金属が検知されたパッケージは、自動的に鍵付きのボックスに放り込まれ、誤って出荷されない仕組みになっているそうです。
いやはや、チキンマックナゲットって、こんなにも衛生的でしっかりと管理された工程で作られていたんですね…!
見学の後、チキンマックナゲットを食べさせてもらったのですが…うまい!
味はいつものチキンマックナゲットの味そのものですが、製造工程を見た後で食べてみると、ダイシングによるしっかりとした肉の食感、厳選された赤身だけを使った溢れ出る鶏の旨味をよりリアルに実感。
大量生産とは言え、その作り方も材料も、高級レストランにも負けないくらいこだわっていたチキンマックナゲットに、ただただ驚かされるばかりでした。
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品質管理や衛生管理も徹底していた
また異物混入や衛生管理など、食の安全性も気になって見ていたのですが、こちらも徹底していました。
まず製造工程を見るに当たっては、4回もユニフォームをチェンジ。
工場では各製造エリアごとにユニフォームが定められていて、エリアごとに着替え、手洗い、消毒が徹底されていました。
また工場に設置された什器は、フロアを隅から隅まで掃除できるよう、全てキャスターを装備。また全ての什器は、一度使ったら必ず徹底的に洗浄されているそうです。
また工程で鶏肉を落としてしまったら、その鶏肉は確実に廃棄されるのか気になっていたのですが、この工場では鶏肉を扱うスタッフと清掃のスタッフはユニフォームの色で区別されていて、清掃担当ではないスタッフが床に落ちたものを触ることは固く禁じられているそう。
工場内では清掃担当者が四六時中清掃をしていて、床はとても衛生的に保たれていました。
また床に落ちた鶏肉は専用の鍵付きボックスに入れられ、厳重に管理。
床に落ちた鶏肉が人為的ミスで混入する可能性を探ってみましたが、これだけ徹底した体制では難しそうです。
また工場の各所では製品のチェックが繰り返し行われ、さらにラボでも詳細な検査を行う徹底ぶり。
最終的に私たちがチキンマックナゲットを手にするまでの間に行われる検査やチェックの数は、実に820項目にも及ぶそうです。
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鶏肉は安全なの?
しかし、いくら加工工程がしっかりしていても鶏そのものは安全なのでしょうか?農場管理責任者の、Nutthabordee(ナッタボディ)さんに聞いてみました。
カーギル・ミート・タイランド社では、鶏の飼育から一貫して管理していて、飼育環境は鶏の健康を考慮してストレスを与えない屋内の広いスペースで育てられているそうです。
これらは安全と品質に対して最も厳しいマクドナルドの基準を満たすほどの、高い基準の元で鶏を育てているそうですよ。
ちなみに飼育環境を直接見たかったのですが、外部の人間入ると雑菌などを持ち込む恐れがあるため、残念ながら見学はできませんでした。
カーギル・ミート・タイランド社で作られているチキンマックナゲットは、高品質で極めて安全だった
取材をする前は、一体どんな体制でチキンマックナゲットが作られているのかイメージがわかなかったのですが、こうして実際に見てみると、最先端の設備で安全と衛生にとことん配慮して作られていることがわかりました。
帰国後、改めて日本でチキンマックナゲットを食べてみると…うーん、やっぱり美味しい!
安全安心はもちろん、健康な鶏の厳選された部位だけを贅沢に使って作られていたチキンマックナゲット。これはもう、手軽に楽しめるとびきりのご馳走と言っても過言ではなさそうですよ。
カーギル・ミート・タイランド社の
宣伝用という感じもしますが (^_^;)