新宿高校 校長 戸田 弘美 新宿折々
4月7日(水) 入学式
晴れやかな気持ちで、第70回入学式当日を迎えました。春の風、春の香りを感じ、心が自然と弾みます。
開式の前に例年通り、音楽部がお祝いの コーラスを披露し、会場である体育館いっぱいに、清らかな声が響き渡りました。
管弦楽部によるエドガー「威風堂々」が格調高く演奏される中、新入生が拍手 を浴びて入場し、入学式が始まりました。
それでは例年どおり、当日の校長式辞を紹介させていただきます(冒頭の挨拶部分はここでは割愛いたします)。
さて、ただいま入学を許可いたしました、319名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの元気な姿を、まの当たりにし、保護者の皆様の愛情とご苦労に、深い敬意を払う次第でございます。
わが新宿高等学校は、大正11年に東京府立第六中学校として創立し、今年度で創立93周年を迎える、歴史と伝統ある都立高校です。
本校の校是は、初代、阿部宗孝校長が唱えた「全員指導者たれ」です。校是のもとで、リーダーの資質として大切な「自主・自律・人間尊重」の精神を養うことを教育目標にしています。
今日はまず、この「自主・自律・人間尊重」について話をしたいと思います。
私は、4年前の平成23年、本校に着任しました。着任当初、自主・自律・人間尊重とは何か、生徒の皆さんに、この教育目標をどのように伝えよ うかと考えました。また、生徒の皆さんに良く考えてもらいたいと思いました。そして、生徒手帳の教育目標 自主自律・人間尊重 と書かれている下に、教育 方針として以下のように書きました。読み上げます。
「自ら学び自ら考えて行動する精神 自分で目標を立てて、達成するよう努力する精神 互いの人格を尊重する、思いやりの精神と規範意識を育成する」 以上です。
あとで生徒手帳を開いて、ぜひ読んでみてください。私は、この言葉をいつも新宿生に繰り返し話しています。ただ、この表現が全てではありませ ん。皆さん一人一人が自分にとって自主・自律・人間尊重とは何かを、事あるごとに考えて下さい。そして行動に移してくれることを願っています。
さて、本校は進学指導特別推進校として、今年も卒業生は目覚しい大学進学実績をあげました。新2,3年生もこれに続いており、学校全体に活力 があります。本校は、学習面で皆さんに厳しい水準を要求します。受験に対応できるレベルの高い授業です。自学自習を毎日行って、皆さんもしっかりとついて きて下さい。
もちろん、大学進学だけが高校生活の目的ではありません。皆さんには一人一人、将来への夢があるはずです。自分の人生、どう生きるのか、何を 目指すのか、よく調べ、考え、かけがえのない自分の人生を大切にしてください。本校では計画的なキャリア教育を行い、皆さんを支援しています。
一つ、学校の様子を取り上げますと、先月は例年通り、大学進学が決まった卒業生を集めて合格速報会と題し、先輩の話を1,2年生が聞く会を行 いました。その中での卒業生たちの言葉をここで紹介します。卒業生の一人は「部活動をやっており、勉強時間が少なかった。日々の授業を受験勉強と考え、自 分は誰よりも授業を真剣に受けることを実行した。」と言っていました。そしてまた、別の卒業生は「勉強と、部活動、学校行事、どれも120%で、やり切っ た。」と話し、後輩を激励してくれました。
本校では「毎日が文武両道」を合言葉にしています。学習だけではなく、運動会、文化祭といった学校行事や部活動などに全力投球してください。自分自身を精一杯鍛え、これからの三年間で大きく成長してくれることを信じています。
さて、皆さんは入学後、2年生になると修学旅行で広島、京都方面に行きます。楽しみにしていて下さい。班別学習で、希望する生徒には山口県萩市を訪れるコースがあります。
萩、といえば吉田松陰です。吉田松陰は文政13年に生まれ、松下村塾の主催者として、明治維新に活躍した多くの逸材を育てました。
松陰が残した、学問をすることについての言葉がありますので、ここで紹介します。
学は 人たる所以を学ぶなり です。
学問とは、人間はいかにあるべきか、いかに生きるべきかを学ぶことである、という意味でしょうか。松陰は、野山獄に囚われの身であった時も、 囚人たちと互いに教えあい、学びあいました。松下村塾では、討論を主体とした双方向の教育を行い、考える力を重視していたと言われています。古い世にあっ て、教育のスタイルは斬新なものでした。高い志と、あくなき学ぶことへの情熱、そして新しい時代への夢があったからなのでしょう。
新入生の皆さんは新宿高校で、どんなことを学びたいですか、そして、何のために学びますか。これからの三年間、皆さんが「学ぶことの喜び」を思いきり実感してくれることを期待しています。(最後の挨拶は、ここでは省略いたします。式辞は以上です)
新入生代表による生徒宣誓は落ち着いて自分の言葉で語り、これからの高校生活への期待を感じました。式の最後に、音楽部によるアカペラの校歌 紹介がありました。本校の冬の学校行事の一つである合唱コンクールでは、昨年度から校歌の四部合唱を1年生課題曲とし、たいへん好評でした。新入生の皆さ んも、これから新宿生として一緒に校歌を歌うことを楽しみにして欲しいと思います。「希望は常に新しく」と校歌にあります。今日、この始まりの日に、新入 生の皆さんの胸に漲る意欲、希望を、これからの日々の努力で自己実現へと繋げてくれることを祈念しています。
入学許可 |
新入生代表宣誓 |
音楽部による校歌紹介 |
教職員紹介 |
管弦楽部による入退場時の演奏 |