窮状のハメネイ師(86)

▲ハメネイ師(86)

イスラエル軍の攻撃で最側近まで失い孤立するなか、窮地のイラン最高指導者ハメネイ師(86)は6/18、イラン国営テレビを通じ

「脅しには屈しない」

「米軍介入は取り返しのつかない被害を(米側に)もたらす」

と述べ、イラン国民に抵抗を呼びかけた

とのことですが、世界でも最高水準の兵器を持つイスラエル軍に対して、現状大ざっぱに言ってイラン側の被害はイスラエル側の10倍以上で、圧倒的にイラン側が不利

イランの人口(約8600万人)はイスラエルの9倍ですが、現代戦は頭数(あたまかず)よりも兵器の性能がものを言う世界

イランが数百発のミサイルを発射しても、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」に阻まれて、わずか数発が着弾する程度

最新鋭の戦車部隊に向かって、騎馬隊が突撃しているような時代錯誤感を覚えます

イランはすでに自国の制空権を失っており、これからイスラエルやアメリカはイラン上空に大型爆撃機を飛ばして、大量の爆弾の雨を降らせることも出来る

戦争は通常、次の3段階で進む(核兵器を使わない場合)

1)の攻撃:ミサイルを飛ばして敵の重要拠点(司令部、基地、弾薬庫など)を破壊。見た目が派手なので敵国民への心理的効果はあるが、ミサイル1発でビル1棟を破壊するのがやっとだから、「戦争のコスパ」が悪い。ミサイルは非常に高価なので、大量破壊には向かないが、ドローンの登場でこの「コスパ」も変化しつつある。この段階で戦争の勝敗が決することは少ない。イラン戦争は現状この段階だが、勝敗を決するため次の段階へ移りつつある

2)の攻撃:制空権を奪い、大型爆撃機の飛行コース(線)に爆弾の雨を降らせる。敵国の経済力(工業生産力)や電気水道などの生活インフラを破壊する。第二次大戦で日本は、この段階(B29の空襲)で戦闘力をほとんど奪われ、原爆でトドメを刺された。原爆が無ければ、次の段階(敵前上陸)へ進んだかもしれない

3)の攻撃:敵が陸で国境を接する隣国の場合、陸上部隊(陸軍)が侵攻して、敵の領土を実効支配する。この段階に入ると、最前線では戦死者が急増する。ガザ戦争は現状この段階。ウクライナ戦争は最初からこの段階だが、互いに制空権が奪えず、戦力が拮抗して膠着状態(塹壕戦)になっており、毎日数百人が戦死している。敵が日本や英国、台湾などのような島国だと、敵前上陸が必要になるので、軍事力によほどの差が無いと難しい

上記の3段階はあくまでも原則論で、「兵は詭道なり」(孫子)だから、この原則を踏まえつつ、いかに敵をダマすか(計略)が重要

イラン(ハメネイ師)は、まだ口先では威勢がいいけど、追い詰められて、裏ではアメリカに停戦の仲裁を頼んでいるとの情報もある

これが事実なら、味方のはずのロシアや中国ではなく、敵側のアメリカに頼るところに、ハメネイ師の追い詰められた苦境が感じられる(ロシアや中国は、頼りにならないということか?)

トランプは

「今さら遅い」 「無条件降伏あるのみ!」

「場合によっては、米軍もイランを攻撃する」

「ハメネイなんぞ、いつでも殺せるが、とりあえずまだ生かしといてやる」

と応じて歯牙にもかけない

国際社会はアフリカのサバンナのような弱肉強食の残酷な世界であることを、マザマザと見せつけてくれてます

日本では今でも泡沫政党の政治家が、「ミサイルよりコメを!」とか、トコトン平和ボケした牧歌的お笑い発言してますけどね

ハメネイ師が86歳、トランプが79歳、どっちもいい年で、頑固になりがち

イランはイスラム教原理主義の国で、イスラエルは強烈なユダヤ教の本家本元

アメリカも清教徒(ピューリタン)が創った国ですから、もともとキリスト教原理主義の傾向が強い

ガチガチ一神教原理主義の対立ですから、どっちも「我こそは正義!」「神に守られている」と固く信じてるので、妥協の余地は乏しい

ハメネイ師の言う「取り返しのつかない被害」とは何だろうか?

(たぶん、口先だけの脅し(強がり)だとは思うけどね)

ロシアや北朝鮮あたりからイランに流入した核爆弾を、輸送用コンテナに隠してイスラエルやアメリカの港に運び込み、爆発させるのが最も危険なシナリオだと思う

そこまでやれば第三次世界大戦(全面核戦争)のリスクが高まり、人類滅亡の危機だ

日米欧などの先進文明国連合(G7)に対して、何かと反抗している中露北朝鮮にとって、重要な仲間であるイランがツブレるのは避けたいハズだが、核爆弾まで渡すのは危険すぎるように思える

さりとて通常兵器の援助でイランが劣勢を挽回するのは無理だろう

イランがホルムズ海峡を閉鎖するという可能性は、昔から言われてきていて、重要な原油輸送ルートだから日本への影響も大きいのだが、完全に世界を敵に回すことになるし、原油大量輸入国で親イランの中国にも大きな痛手になる

イラン自身も原油輸出による外貨収入が激減する

もし本当にイランが機雷をばらまいてホルムズ海峡を閉鎖したら、世界最高水準の掃海(機雷除去)技術を持つ海上自衛隊の出番もあるかもしれない

事態は極めて切迫しており、今後1~2週間で、現代史を画するような大きな動きがありそうだ

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▲ホルムズ海峡、波高し

日本人のクルマのガソリンは、ここを通って来ている

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