音楽家、坂本龍一の言葉の至るところからは、「聴いたことのない音」を聴きたい、つくりだしたいと願った、新宿高校に通っていたころそのままのパッションが噴き出している。
60代も半ばに差しかかった坂本は、なぜ長年にわたってそのような姿勢を貫き、実際に「未知の音」を世に届け続けることができたのだろうか。
それは「根源的な問い」を忘れず、自らが「知らない」世界へと積極的に身と心を開いてきたからなのであろう。
どこまでも瑞々しく、エモーショナルな彼の哲学は、見えない明日へ次の一歩を踏み出そうとするぼくたちの心を、優しく、激しく、奮い立たせてくれる。
WIRED