ゆるキャラ「ねば~る君」 納豆の妖精
全国の自治体の魅力度を「地域ブランド」として、順位付けを行っている「ブランド総合研究所」(東京)が9月30日、今年の調査結果を発表した。
北海 道、京都府、沖縄県など上位の常連がブランド力を発揮した一方、最下位の47位は、3年連続で茨城県だった。
米大手IT「インテル」の社員から、茨城県のイ メージアップ請負人として広報監に 抜擢 された取出氏がこの結果に沈黙を破った。
拝啓、ブランド総合研究所様
2015年9月30日、「地域ブランド調査2015 47都道府県魅力度ランキング」の結果を拝見させて頂きました。
「47都道府県魅力度ランキング」のみを大々的に発表されておりますが、調査は発表されている「魅力度」以外に、認知度(39位)、情報接触度(41位)、居住意欲度(34位)などと多岐にわたっています【( )内は茨城県の順位】。
一般に公開されているのはイメージに特化した「魅力度」のみ。
愛着度、観光意欲度、産品の購入意欲度といった詳細は限定された公表にとどまっています。
前年度25位だった「ご当地キャラクター」の項目は大幅に上昇し、今年は4位に急浮上しています(これは茨城県非公認キャラクターの「ねば~る君」のおかげではないかと考えています)。
何を「魅力」と思うかは、人によって異なります。
様々な指標を広く示されたほうが、より良い調査結果と受け止められると思います。
みなさま、本当に申し訳ありません
「魅力度」で茨城県が低い評価となってしまった結果、茨城県を愛する多くの方々が気分を悪くされてしまったことに対し、県の広報監として本当に申し訳なく思っております。
でも、一方で良かったこともいくつかあるのです。
広告効果は数十億円以上
茨城県の魅力度が最下位になってしまったおかげで、テレビ、新聞などのメディアで茨城県の取り扱いは大幅に増えました。
きちんと検証することは難しいのですが、年間数十億円以上の広告換算額に相当するメディア露出があると感じています。
当初は、あまり好意的ではない取り上げ方もあったのですが、最近は「魅力度ランキング最下位の茨城県ですが、こんなに良い所がたくさんあります」と前向きに取り上げられていることが多く、茨城県の露出度と好感度の向上に役立っています。
最下位でなければ、このような露出はなかったと思います。
この点に関しましては、ブランド総合研究所様に感謝しなければなりません。
「なめんなよ!」 県民の意識に変化も
「平成26年度茨城県県政世論調査結果II 茨城県民の郷土愛」を見ますと、茨城県に対する「愛着」は2.7ポイント、「誇り」は10ポイント増加しました。
メディアで「茨城県が魅力度最下位」と取り上げられるたびに県民は県のキャッチコピーにもなった「なめんなよ!」と反骨精神がくすぐられたのではないでしょうか?
オススメのモノがあるのに…
シャイで内気な茨城県民は、アピールが苦手と言われております。
例えば、以前テレビ関係の方から聞いた話ですが、ある特産品を作られている地域に取材に行かれた時、地元の農家さんに「この辺りでオススメのものは?」と尋ねられると、地元の農家さんは「なんもねーよ」ってお返事されちゃうんだそうです。
テレビ関係の方は、「いや、その足元に特産品があるだろう!」ってツッコミを入れてしまいそうになるぐらいだそうです。
アピールが下手なのには理由があります
茨城県は農業出荷額が、あの食材王国の北海道に次いで全国2位とかなり多いことをご存じでしょうか。
日本最大の消費地である東京や関東周辺に隣接しているため、農産物などの商品は比較的簡単に売れる地の利があります。
だから、特別な宣伝をする必要がなかったのです。
このため、茨城県民はアピールが下手になってしまったのではないかと思っています。
誇張した物言いやパフォーマンスを好まず、生真面目な県民性ですから、全国に茨城県の本当の姿を知って頂く機会があまりなかったのかもしれません。
多くの観光客が訪れています
平成25年度観光入込客数をみてみますと、データを公開している42都道府県の中で、茨城県は堂々15位(3224万人回)と健闘しています。
「魅力がない」とランキングされてしまっている県とのことですが、「魅力」がない割には随分と多くの観光客が茨城県を訪れてくれていますね。
例えば、茨城県ひたちなか市にある国営ひたち海浜公園は今年のゴールデンウィーク期間中に過去最高の入園者数52万686人を記録しました。
私もGWに国営ひたち海浜公園に向かったのですが、朝早い時間に出発したにもかかわらず周辺がかなり渋滞しており、駐車場に車をとめることができずに断念して引き返してしまった程の大人気です。
日本一広い敷地に住んでいる
茨城県民は日本で一番広い敷地に住んでいて、住宅敷地面積(1住宅当たり)はなんと全国1位なんです。
広い家に住みたかったら茨城県で決まりです。 憧れの広い家に住めるのに、「魅力」ないのかな~。
実は裕福な茨城県民
県民所得をみてみると、なんと茨城県は全国4位。 ちょっとビックリじゃないですか?
実収入(勤労者世帯)を見てみても、全国5位と上位にランクインしています。
企業にも愛されています
過去10年間の企業立地面積(電気業を除く)は全国1位と圧倒的に工場立地が多く、なんと6割以上(311/550件)が県外からの企業の立地となっています。
企業がどんどん進出し、働く場所が増えているのに、魅力がないなんてことありませんよね。
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関東・東北豪雨の爪あと
今年9月、台風18号による「関東・東北豪雨」で、鬼怒川の 堤防が破堤し、常総市を中心に甚大な被害が発生しました。
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茨城県は9月10日に現地災害対策本部を設置。
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9月17日には常総市にある現地災害対策本部を常 総市役所隣に移転し、増員を図りました。
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いまも日々対応に追われています。
私は、9月17日付で常総市にある現地災害対策本部の広報班に配属になり、常総市と県庁を行き来し、休みなしで働いております。
このリポートを書いている10月中旬もまだガスなどのライフラインが回復していない地域もあり、まだまだ復旧作業は続いています。
だから、精一杯PRします
茨城県はインターネットテレビの「いばキラTV」というオウンドメディアを持っており、常総市の復興に役立つような、元気になるような情報発信を心がけています。
特設サイト「がんばっぺ常総 復興への道のり」を開設。
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ボランティアの方々の活動を紹介することにより、今後も継続した支援が続くように情報を発信しています。
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また、地元のお店の営業再開に合わせて取材を行い、徐々に元気を取り戻しつつある常総市の今を世界にアピールすることも始めました。
「いばらぎ」じゃなくて「いばらき」です!
著書「いばらぎじゃなくていばらき」で有名(?)な青木智也氏(イバラキング)が常総復興応援ソング「イバラッパー 常総魂」を作られたので、そのプロモーションビデオをいばキラTVで制作致しました。
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常総が早く元気になるように、広報として最大限のお手伝いを続けていこうと思っています。
もちろん、茨城県の魅力を多くの方に知って頂くための仕掛けもまさに今、準備しており、発表前にここでその内容を明かすわけにはいかないのですが、期待して待って頂きたいと思っております。
茨城県広報監 取出新吾(とりで・しんご)
千葉県八千代市生まれ(48歳)。
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青山学院大学、同大学院 で物理学を専攻した後、インテルに就職、茨城県に移り住む。
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エンジニア、営業、情報システム、家電量販店、東日本大震災支援、市場開発などの業務に携わ り、2013年4月から茨城県広報広聴課で広報ICTディレクターを兼務。
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現在はインテルを退社し、15年4月から現職。
「全国で47番目に有名な県」も、がんばってますよ (^_^;)