読書ノート

読書 ブッダ

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手塚治虫(→)がブッダの一生を描いた有名な作品

全14巻3000ページ以上、一気に読みましたが、重厚な読み応えでした

以前に一度読んだような気もするのですが(途中までかもしれない)、ほとんど内容を忘れていたので、新鮮な気分で読めました

仏教書は哲学っぽい本が多いのですが、本書は大河ドラマのようにブッダの一生を描いていて、子どもでもそれなりに楽しめるようになっています

前半は、若いブッダが悟りに至るまでに迷いと苦悩の日々

後半は、多くの教祖がそうであるように、世間の無理解と弾圧に遭いますが、それらに対してガンジーのように非暴力で対応し、信者を得て教団を大きくしていきます

世界を征服していこうとする男性的な一神教(ユダヤ・キリスト・イスラム教)に対して、自分を世界に溶け込ませ一体化しようとする女性的な仏教

私は仏教信者ではありませんが、聖徳太子以来1000年以上、仏教の教えは日本人の生活や思考、行動様式、文化などに深く浸み込んでいるので、気が付くと仏教の価値観で読んでいる自分がいたりします

(^_^;)

手塚治虫 ブッダ 全14巻 -_01

「ブッダが考えたこと」へ

 

読書 ブッダが考えたこと

ブッダが考えたこと 仏教のはじまりを読む (角川ソフィア文庫)_01

 

ブッダ(仏陀)は、本来は「目覚めた人」の意

言うまでも無く、仏教の創始者「お釈迦さま」であり、本名は「ゴータマ・シッダールタ」で、インドの地方豪族であったゴータマ族の王子、シッダールタさんということになっている

実在した人物であったことは、ほぼ間違いがないとされているが、生没年について正確なことは不明で、紀元前5~7世紀の人であろうと言われている

著者は、インド哲学の研究者で、お坊さんや仏教信者ではなく、あくまでもインド哲学の一つとして、バラモン教、ジャイナ教などとも比較しながら、かなり冷静に「哲学としての仏教」を扱っている

特にインド哲学の根幹である輪廻説(りんねせつ)の説明は、著者独自の見解も含まれていて、読みごたえがある

本書を読む前から感じていたことではあるが、仏教は哲学としてみると、非常に奥が深い

ブッダ本人の言葉に最も近い「スッタニパータ」などの原始仏典を見ても、認識論や存在論について、非常に高度な哲学を展開している

別にキリスト教を馬鹿にするつもりは無いが、原始仏典に比べると、聖書の哲学は子供じみている

宗教は、必ずしも哲学である必要は無いから、それはそれで構わない

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ブッダは、若い頃に人間の生老病死の苦について深く悩み、将来の王になる身分を捨てて出家し、苦行や瞑想を経て、菩提樹の下で悟りを得たとされている

重要なのは、この「悟りを得た」の具体的な内容だ!

何を、どのように考えて、どのような結論に至ったのか?

どのような結論ならば、「悟りを得た」と言えるのか?

この最も重要な点で、多くの仏教書の説明は、曖昧模糊としている

それもそのはずで、多くの仏教書の著者は、お坊さんや仏教信者で、教祖であるブッダの思索について、余り具体的に突っ込んで記述することを避けているきらいがある

教祖というものは、神秘的な雰囲気を帯びていた方が、信者にとっては信仰のしがいがあるということかもしれない

お坊さんや仏教信者は、特定の宗派(浄土真宗とか日蓮宗とか)に属しているから、その宗派の教え(教学)との兼ね合いもある

余り自由奔放に原始仏教について語ると、属している宗派内での、自分の立場が悪くなる恐れもある

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私は敬虔な仏教信者ではない

葬式や墓参り、あるいは旅や散歩でお寺に行くことはあるが、信仰心は平均的な日本人と余り変わらない(それ以下かもしれない)

私は敬虔な仏教信者ではないが、哲学者としてのブッダの思索(哲学)には大いに興味があるので、この点で従来の仏教書には、少々物足りないものを感じていた

かと言って、「スッタニパータ」などの原始仏典を読むと、ブッダが一般の衆生に向けて分かりやすく説明するために、非常に多くのたとえ話などが混じり、文章も冗長だ

そのために、哲学的な思索の焦点が、ややボケているようにも感じられる

そのものズバリ、ブッダは2700年くらい前に、何を考え、何を結論としたのか?

本書は、それに対する答えを、私が今までに読んだどの仏教書よりも、ストレートに説明しているように感じた

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【追記】

私は敬虔な仏教信者ではないが、海外旅行などで書類に「religion(宗教)」の欄があったら「Buddhist(仏教徒)」と記入している

「Muslim(イスラム教徒)」などと書くとテロリストと疑われそうだし、「Jewish(ユダヤ教徒)」では差別されそうだ

「No religion(無宗教)」が最悪で、キリスト教徒から、悪魔を見るような目で見られかねない

「Buddhist(仏教徒)」が一番無難なのだ

(^_^;)

 

読書 「がまん」するから老化する

「がまん」するから老化する (PHP新書)_01

著者は東大医学部出身の精神科医で、一般向け健康書をたくさん書いている、「売れっ子」健康作家

本業で長年、老人病院(本当に65歳未満は受診できない珍しい病院)で働いていた

間違った健康常識にとらわれた、下手な「がまん(節制)」やダイエットが、逆に老化を進めてしまうとして警告を発している

最近は肉が健康に良いという説が世の中に増えているが、この著者が最初に言い出したのかな?

日本人の寿命が劇的に延びて、しかも見た目も若返ったのは、高度成長期以降で、ちょうど日本人が肉を食べ始めた時期に一致する

それ以前、サザエさんの磯野波平氏のように、54歳は完全に老人だった

定年は55歳で、男の平均寿命は65歳くらいだった

いまどき54歳の人を老人扱いしたら、ギョっとされるだろう

アメリカ人のように、肉ばかり大量に食べていれば良くないが、肉と魚をバランスよく食べることは、非常に健康に良いと力説している

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実は肉と魚を両方、日常的にバランスよく食べている国は、世界でもそれほど多くはなく、日本以外では、フランス、イタリア、スペインくらいだそうだ

著者が絶対にダメ(完全に有害)!と断言しているのはタバコくらいで、いわゆる「飲む打つ買う」、酒、ギャンブル、恋愛や不倫、風俗、SEXなどは、がまんしないで適度にたしなんだ方が、アンチエイジングには良いとしている(家庭内の波乱は、医者なので専門外)

バイアグラは健康に良いので毎日飲め、とも言っている

ホンマかいな~?

(^_^;)

著者のHPへ

 

読書 天才たちのライフハック

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天才たちのエピソードを集めた本

内容は薄いが、読み易くて面白いので、つい最後まで読んでしまった

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左の表紙にも書いてあるが、アップル社の創設者であるスティーブ・ジョブズ(→)は、スマートなプレゼンからは想像しにくいが、非常に泣き虫だった

会議などで、自分の話が相手に伝わらないだけで、よく泣いていたそうだ

ナポレオン(↓)は超が付くほどの読書好きで、常に特製の図書館馬車に大量の本を積んで、戦場に向かっていたという

(^_^;)

 

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読書 右脳の冒険

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コリン・ウイルソンが、人間の意識の構造について書いた「フランケンシュタインの城」の続編(実践編)ともいうべき作品

人の意識に関する私の問題意識の原点は

「天国は人の心の中に存在する

 地獄もまた同様である」

という言葉に要約される

天国が人の心の中にあるか、西方浄土にあるか、宇宙のかなたにあるか、そんなことよりまず

「私は天国の住人になりたい!」

ということなのだ

すると、西方浄土や宇宙ではなく、自分の心(脳)の中に天国があるのなら、もしかすると天国の住人になるということは、自分の意志の力で可能なのではないか?という問題意識が生じる

本書は、この問題意識に対する解答を提供しようとしている

 

徒然草

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徒然草の中のお気に入り(13段)

 額に入れて壁に掛けています

(^_^;)

 

ひとり燈のもとに文をひろげて

見ぬ世の人を友とするぞ

こよなう慰むわざなる 

 

ひとり淋しく 明かりの下で本を広げて

昔の作者たちと 友情関係を育むことは

楽しくて 心が穏やかになる

 

読書 この人を見よ

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ニーチェが44歳で、発狂する直前に著した、自叙伝のような、一種の著作目録

このときのニーチェは理解者を失い、非常に孤独だったが、自分の思想の重要性は深く自負していたので、自分に注目しない世間に「私に注目せよ!」という叫びを発していて痛々しい

 1)噴出するような創造力

 2)同時代人に理解されない

 3)狂気と紙一重

という天才の3条件に見事に適合している

脳(おそらく右脳)から噴き出すような直観と情動を、知性(左脳)がかろうじて文章化したような作品群

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あの「ツァラトゥストラ」全4部を、各部10日程度で書き上げていることからも、その噴出の速さと激しさがうかがわれる

私はまだ「ツァラトゥストラ」と本書だけなのだが、激しく情動を揺さぶられるような読後感が残る

本書の読後に、手塚富雄「ニーチェの人と思想」(中公「世界の名著・ニーチェ」所収)を再読して彼の人生をたどり直してみたが、まさしく「天才はつらいよ」という悲壮感に満ちている

(^_^;)

 

 

読書 シッダールタ

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ブッダ(ゴータマ・シッダールタ)の伝記小説かと思ったら、そうではなく、ブッダも登場するが、主人公シッダールタとは別人物

若き日に人生に悩み、出家して恵まれた生活を捨てるところはブッダと共通だが、その後の展開は還俗して恋をしたりカネを儲けたりと激動する

しかしシッダールタの心は満たされず、再び全てを捨てて、川のほとりで渡し守となる

鴨長明の「発心集」には、大きな寺の高僧(玄賓僧都、げんぴんそうず)がある日突然、全てを捨てて貧しい渡し守になる話が出てくるが、それが連想される

書物や人からではなく、川の流れから学ぶという考え方も、方丈記の「ゆく川の流れは絶えずして・・・」を思い出させる

人生に大切なことは、所有することでも、知ることでもなく、体験することにあると考え、ブッダのような悟りを追体験しようとして、シッダールタは苦闘する

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文学作品として非常に完成度が高く、小説でありながら詩のように美しい文章は、ノーベル賞作家ヘッセの、詩人としての才能が輝いている

キリスト教徒であるヘッセが書いているので、輪廻転生や涅槃といった仏教思想に、原罪や愛といったキリスト教思想が混入しているが、これはこれで面白い

(^_^;)

「荒野のおおかみ」へ

 

読書 荒野のおおかみ

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自分は人間ではなく、荒野から出てきたおおかみだということを、心の底でいつも知っていたという男の告白の体裁をとった、ヘッセの内面的な自伝

コリン・ウイルソンの言う「アウトサイダー」の典型の、その生きづらい人生を克明に描写している

今では常識化しているが、ごく大雑把に言うと、人間は右脳と左脳が機能していて、右脳が情動(無意識)、左脳が理性(意識)を支配している

多くの人は、この2人の支配人の間で、何とかバランスをとって生きているが、特に脳が肥大化した人(いわゆる天才)にあっては、このバランスが崩れ、自意識が過剰化し、いわゆる精神の分裂状態を招きやすい

クレッチマーの気質分類(↓)に無理に当てはめると、右脳優勢が粘着型、左脳優勢が分裂型、ほぼ拮抗してるのが循環型かな?

右脳左脳論が流行するよりもずっと前、ウイルソンが「アウトサイダー」で文壇に華々しく登場するよりも前に、天才ヘッセは人の脳の複雑な多重構造に着目していた

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ヘッセに言わせれば、人の精神の分裂は2つだけに限られず、実は非常に多くの人格に多重分裂しており、その不安定な統合体が人間であるとしている

人間の意識の多重性や奥深さには、古来多くの文学者や哲学者が着目してきた

古くはブッダもこの点に着目し、非常に深い認識論を展開しているようだ

(^_^;)

 

▼クレッチマーの気質分類

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読書 アウトサイダー

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著者コリン・ウイルソンの略歴は、

1931年、イギリス、レスター生まれの評論家、小説家。労働者階級の家に生まれ、アカデミックな教育は受けなかった。さまざまな職につきながら独学、作家の道を志す。56年、『アウトサイダー』で衝撃的デビューを飾り・・・

とある

まともな学校教育をほとんど受けず、ほぼ独学にもかかわらず、25歳で本書を書いて全世界に衝撃を与えた

まさに天才の名にふさわしい人物が、過去の、特に19世紀の天才(アウトサイダー)たちに焦点をあて、その生態を明らかにしている

個人的には、特にニーチェとショーペンハウエルへの言及に興味がある

天才を対象にしている以上、それは脳の構造や機能の分析とならざるを得ず、まだ右脳の概念は登場していないが、その後の「フランケンシュタインの城」などへ続く意識のメカニズムの解明が為されている

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著者コリン・ウイルソンは非常に多くの本を書いているが、処女作から一貫して同じテーマを追求している

実は本書を最初に読んだのは20年くらい前なのだが、そのときは余りの難解さにうんざりして、5分の1くらい読んだところで読み進めるのを断念している

しかし、何か非常に重要なことを論じていることは間違いなさそうなので、その後、コリン・ウイルソンの本を10冊くらい読んだが、本書よりずっと分かりやすかった

そのおかげかどうか、今回は最後まで読み通すことが出来たが、果たしてどれほど理解できたかは自信がない

まだ何回も読む必要を感じる

(^_^;)