館山臨海教室

新宿高校 校長 戸田 弘美   新宿折々

 

○7月24日(木)~8月8日(金) 臨海教室(1年次生)
  第Ⅰ期  7月24日(木)~27日(日)  G・H組 (すべて、3泊4日)
  第Ⅱ期  7月28日(月)~31日(木)  E・F組
  第Ⅲ期  8月1日(金)~4日(月)  A・B組
  第Ⅳ期  8月5日(火)~8日(金)  C・D組

 

館山の海 なつかしいね (^_^;)

 

本校の臨海教室の開始はたいへん古く、大正11年に府立六中が開校した翌年である大正12年に遡ります。現在の臨海教室の地である千葉県館山 市塩見漁港にて同年7月25日、「塩見朝陽舎」落成式を挙行し、午後、遊泳を開始しました。この年、大正12年9月1日の関東大震災により、この朝陽舎は 倒壊しましたが、再建し、翌年の大正13年7月には前年と変わらず塩見海岸にて遊泳を実施しています。(本校50周年記念誌より)
 私が本校に着任した平成23年度を振り返りますと、平成23年3月に東日本大震災が起こりました。諸事情を考慮して平成23年度は臨海教室を中止にしました。(代替として、本校プールにて「45分間泳」を企画・実施しました。23新宿折々を、ぜひ、ご覧ください)。

 

 平成24年度、臨海教室の復活にあたり、安全面を何よりも優先事項とし、①事前の保護者会実施、②現地での津波等の災害に備えた避難訓練の実施、③大遠泳のコース変更 という3点を新規導入・改善しました。
 今年においても、この3点を継続・改善実施しましたので、まず記します。①6月21日(土)1年次生保護者会を開催し、来校していただいた館 山市役所の方から直接、館山の海に関する放射能の状況(継続調査で、海水の放射性物質は「不検出」)、防災対策について説明をいただきました。安全・安心 面において、保護者の皆様のご理解を得ました。館山市役所職員の方とは、平成23年大震災の後に校長として情報収集・現地理解のため訪問して以来、放射能 の測定結果等を定期的にご報告していただいています。②津波等の災害時に備えて、避難場所を選定してあります。今年度も各期の1日目に、避難場所まで全員 の生徒が徒歩(約8分程度)で避難する体験訓練を実施しました。③平成22年度までは大遠泳として、沖の島までのコースを行っていましたが、平成24年度 は塩見漁港の浜から一定の距離での周回コースに変更して実施しました。平成 25年度、塩見漁港の浜から、東隣の香漁港または大賀海岸(当日の潮の流れ等により事前に決定する)に泳ぎ着くコースに変更しました。今年度も同コースで す。6月の保護者会において、遠泳場所・コースについても説明し、事前に保護者の皆様のご理解をいただきました。

 

 私は、第Ⅰ期全日と第Ⅲ期2,3日目に引率しました(副校長が第Ⅱ、Ⅳ期、同様に引率)。各期、先生方は約14名で引率しました。その他、水泳部のOB,OG等が協力して生徒の指導を熱心に行ってくれました。
 さて、3泊4日の臨海教室が始まりました。1日目は、8:30に新宿高校をバスで出発して11時頃に館山寮に到着しました。館山寮は、寮のす ぐ前が海、まさにプライベートビーチといった最高の立地です。塩見漁港という浜は、別名「鏡が浦」という静かな海面です。館山寮ではテレビ、携帯、エアコ ンは一切禁止です。そのせいか、夕食後などに、庭にたたずんでいると、風が何とも言えず心地よく感じられます。また、海での生命の安全を徹底させるため、 生活規律がたいへん厳しいです。14:10、水着に着替えて、浜に集合。まず、「よろしくお願いします」と皆で浜に一礼。館山の海に入ると、水しぶきが上 がり、生徒とOB,OGの元気なかけ声が飛び交っていました。

 

 2日目の午前は、初の「沖出し」。足のつかないところまで、初めて泳ぎます。午後は、明日の大遠泳に備えた小遠泳です。天候が良ければ、ブイ の周りを回って戻ってきます。3日目の午前中は、いよいよ大遠泳。潮の状況を考慮して、Ⅰ期、Ⅱ期は大賀海岸へのコース、Ⅲ期は香海岸へのコースでした。 3列の隊列を組んで、伴泳するOB、OGに見守られ、救助船や運搬船、ボート等の支援体制のもとで、沖に出ました。きらめく海の上を生徒が列を組んで見事 に泳ぐ姿は、素晴らしかったです。絶え間なく生徒へ声をかけ続けながら伴泳してくれるOB,OGの姿には、感謝の気持ちでいっぱいになりました。「愛洋」 「養勇高礼」(臨海教室の精神)を胸に、「あいよー」「よーいこーら」と、先導する船に乗っている先生の声が隊列に響き渡り、呼応しました。皆の心が一つ になりました。大遠泳は約1時間の実施でした。到着した浜で休憩した後、海岸や海岸沿いの道路を歩いて塩見の浜に戻りました。Ⅳ期は、台風の影響で、残念 ながら大遠泳を行うことができませんでした。たいへん残念でした。この日のために練習を積んできた、期待を膨らませていた生徒たちを、がっかりさせてしま いました。しかし、天候ばかりは、悔しいことですが仕方がありません。大遠泳を目指してひたむきな努力を重ね、確かな泳力を身につけた生徒たちに、心から の拍手を送りたいと思います。

 

 臨海教室で生徒は、食事の配膳当番や、棟内の掃除等、海での活動以外の大切な「仕事」もたくさんありました。「言われたことだけではなくて自 分で動こう、考えて行動しよう」「大きな声であいさつしよう」といったことを、体験をとおして学び、鍛えられた3泊4日でした。スマホ、テレビ、エアコン がなくても、それ以上に充実感を味わった3泊4日だったのではないでしょうか。泳力の向上はもちろんのこと、生活規律面、精神面において、生徒を大きく成 長させてくれた臨海教室でした。

 

 
宿舎から浜へ船を運ぶ
いざ、沖出しへ
大遠泳
海に感謝の礼

 

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