世の中には幸福論と称するものが数多あるが、私はこれがベストだと思っている
客観的に優れた本かどうかより、これは私に合っているなぁという感じ
もう何度も読み返している座右の書で、今日もまた読み返してみた
ショーペンハウアーというと、悲観主義などと呼ばれることもあるが、別に暗い顔をして生きることを勧めている訳ではなく、
「朗らかさは人生最大の財産だ」
と言っている
彼の哲学が悲観主義と呼ばれるのは、
「幸福は幻想だが、苦痛は現実である」
という極めて冷めたリアリズムに基づき、幸福など追求するな、苦痛から逃れることだけを考えよと説いているためだろう
人間は、いろいろな目標(夢)を持つ
あの学校に入学出来たら、あの賞を受賞できたら、あの人と結婚出来たら、一戸建ての自宅を手に入れたら、社長になれたら、自分の会社を上場できたら、・・・
そして目標が実現した時に、自分がどれほど幸福になれるかという夢を心の中に描いて努力する
しかしいざ目標が実現してみると、幸福な気分になれたのは目標達成の直後だけで、やがて夢は色あせてくる
これは厳しい現実だが、こんなことを指摘したら夢を持つ若者が少なくなるから、彼の哲学が悲観主義と呼ばれるのも分かるし、あえて言えば「老人向きの哲学」なのかもしれない
ポジティブ・シンキングの成功哲学とは対極にある哲学だ
人間がなかなか幸福になれない原因に、自分の自由にならないものの存在がある
その最大のものは、運命と他人の2つだろう
この2つが、人間の幸福の邪魔をし、苦痛を生み出す原因となる
この2つにいかに対峙するかが、本書の主な内容になっている
彼の主著は有名な「意志と表象としての世界」で、彼の哲学はほぼこの1冊に尽きており、本書はその残りかすのようなものだと彼は言っているが、残りかすの方が読みやすいし役に立つような気がする
(^_^;)