著者は京大を出て、東レの海外営業に長く携わっていた人
本書から受ける印象は、商社マンのそれに近く、内容に余り深みは無いが、商売でユダヤ人と付き合った経験から学んだことや教訓が豊富に並べてある
確かに自国というものを持たず、2000年も異民族に迫害されながら身を小さくして生きて来たユダヤ人だけに、実にしぶといと言うか、抜け目が無いというか、とにかくトコトン合理的な知恵に満ちている
経済学の前提となる経済人仮説(人間は損得だけで動くとする仮説)は、ユダヤ人をモデルにしたのではないかとさえ思えてくる
それがややもすると、相手の無知につけこんで儲けようとするエゲつない姿勢や、選民意識による傲慢さに転化する場合もあり、これでは他民族から嫌われるだろうなぁという感じもする
いわゆるユダヤ・ジョークがふんだんに盛り込まれていて、ちょっと毒が強いが、これはこれで面白い
例えば、コーヒーにハエが入っていた場合、東アジア・ジョークでは
日本人:コーヒーを飲まずに静かに会計をし、店を出てその店には二度と行かない
韓国人:ハエが入っていたことに大声で文句を言い、謝罪と賠償をしつこく要求する
中国人:珍味珍味と言ってハエを食う
となっているのだが、ユダヤ・ジョークでは
中国人:珍味珍味と言ってハエを食う(中国人のこのイメージは世界共通か?)
フランス人:ハエを取り除いてコーヒーを飲む(フランス人は、あまり清潔好きではないと見られている)
ユダヤ人:ハエを中国人に、コーヒーをフランス人に売って儲ける
となっている
(^_^;)