著者はニューヨーク生まれのユダヤ人で、日本在住期間が長く、知日派として多くの著書がある
本書は石油ショックのころに書かれたので、日本人ビジネスマン向けに危機意識を煽る内容で、そのためにはユダヤ人の知恵に学べと諭している
実際、アメリカの政財界や学界など、著名ユダヤ人がキラ星のごとく並び、民族的な差別にもかかわらず社会的に成功しているが、その秘訣があるなら知りたくなる
本書では、その秘訣の一つを「疑問を提出する能力」に置いている
解答を覚えるのではなく、自分の置かれた状況に対して、適切な疑問を考えつくことが重要だと強調する
本書では主にユダヤ教の「タルムード」について説明し、ユダヤ人の知恵の源泉としている
タルムードは聖書の解説書のような存在だが、百科事典のような膨大な情報を含んでいる
その中では様々な疑問が提出され、過去の偉大なラビ(ユダヤ教の学者)たちが、様々な意見を提示している
一つの解答を示すのではなく、いろいろな意見を戦わせる、そのプロセスを記録したものがタルムードなのだそうだ
神については唯一絶対神を信じる民族が、問題の解答となると多様な考え方を尊ぶというのは、面白い逆説だと思う
(^_^;)
▲タルムードの全巻