宴席などで食べ過ぎ飲み過ぎになりがちな年末年始。
気になるのが尿酸値だ。基準値の7・0mg/dlを超えるのが高尿酸血症で、最近は20代や30代にも増えているという。
そのまま放っておくと、中高年になったときに痛風を発症するリスクが格段に高まる。
尿酸値と聞いてイメージされるのが“プリン体”だ。
プリン体は、日頃われわれが口にしている食品のうまみ成分だ。
プリン体から作られる尿酸は、活性酸素から身体を守る働きもある。
今は日本の成人男性の3割から4割が、尿酸値が基準値を超えた高尿酸血症。
そういう人は、タラコや明太子などの魚卵、あん肝やレバー、もつなどの臓物、魚の干物や塩漬けなどプリン体の多い食品を控えるように言われますが、最近はそうした食べ物の影響より、エネルギーの摂取過多の方が高尿酸血症に至る要因として大きいのではないかとみられている。
風が吹いても痛いから「痛風」
本当にそんなに痛いの? (^_^;)
高尿酸血症が要因で、中高年になると発症が増加するのが痛風だ。
「痛風は、高尿酸血症の成れの果て。高血圧や糖尿病を伴う場合もあるし、動脈硬化やCKD(慢性腎臓病)などの腎障害、尿管結石といった合併症にかかるリスクもはらんでいます。高尿酸血症そのものには症状がないので、それが予防や治療を遅らせる要因となっています」と警鐘を鳴らす。
「だから、会社の健康診断などで尿酸値が引っ掛かったら、甘く見ないでとにかく一度医師に相談してほしい。数値が高ければ薬で下げられるし、肥満気味なら食事や運動などで体重を絞る。甘いものやアルコール摂取が多い人はそれらを控えるなど、(医師が)食生活を改善するためのアドバイスをしてくれます。お酒を飲みながら夜更かしをするなど昼夜逆転的な生活をしていた人が、生活のリズムを規則正しく整え、しばらく飲酒を控えたことで、みるみる改善した例もたくさんあります」
以前から高尿酸血症対策として、医師や管理栄養士の間で注目されているのが乳製品やかんきつ類だ。
「乳製品がいいという理由やメカニズムはまだはっきり解明されていませんが、腎臓での尿酸の排出を促すのではないかという見方が有力です。牛乳やヨーグルトを毎日の生活に取り入れるのが効果的で、特にヨーグルトは、腸の中でプリン体に働きかける乳酸菌を使ったものもあるので、そういう製品を習慣的にとるといいでしょう。ルールが厳しいと人は続けることがいやになるので、原則だけ決めておき、状況に応じて生活に取り入れていけばいいと思う。自分で自分に合った方法を編み出すのが続けられる秘訣(ひけつ)です」と大和田氏はアドバイスする。
食生活が乱れやすい年末年始。無理なく自分に合った対策を見つけることが大切だ。
「PA-3乳酸菌」がプリン体吸収低減効果
尿酸値を下げる食品として医師や管理栄養士が注目している乳製品。
中でもプリン体に直接働きかけることで知られるのが「PA-3乳酸菌」を含むヨーグルトだ。
兵庫医科大学の森脇優司教授らと明治による共同研究グループは、「PA-3乳酸菌」が腸管からのプリン体の吸収を低減し、血液中における尿酸値の上昇を抑制するメカニズムを、ヒト試験において解明。
今年2月に行われた第50回日本痛風・核酸代謝学会でその研究成果を発表した。
試験は20歳以上の健常成人男性23人を対象に実施。「PA-3乳酸菌」入りのヨーグルトを試験日前に3日間摂取し、当日は試験食品とプリン体を同時に摂取して経時的に血清尿酸値を測定したところ、プリン体摂取後の尿酸値の上昇が、その他のヨーグルトを摂取した場合と比べて抑制されることが確認できた。
特に、プリン体摂取後30分と60分では、統計学的にも有意な抑制が認められた。
これまでのヒト試験でも「PA-3乳酸菌」入りヨーグルトの継続摂取で尿酸値が改善されることは確認されていたが、経時的変化を記録した今回の試験で、腸管からのプリン体の吸収を低減し血清尿酸値の上昇を抑制することが確認できた。