小田急電鉄は1日、都内で新ダイヤ発表の記者会見を行った。
2018年3月の代々木上原~登戸間の複々線化工事完成を受け、各駅停車から特急ロマンスカーまで大幅な増発を実施。
従来の通勤時間帯における「混んでいて遅い」イメージからの脱却を図る。
新ダイヤの改善ポイントについて、同社は「大増発で混雑緩和」「所要時間短縮」「乗り換えなしで都心へ」「座って快適通勤」の4点を挙げている。
便利になるのは大歓迎だけど
燃えないように走ってね (^_^;)
「大増発で混雑緩和」
列車の大増発は朝夕の通勤通学時間帯を中心に行われる。
平日朝は下北沢着8時前後の1時間で、現在の27本から9本増の36本になる。
さらに朝の通勤時間帯の特急ロマンスカーは新宿行が3本増の9本、東京メトロ千代田線直通列車は1本増の2本となる。
なお、朝の通勤特急ロマンスカーについては愛称が変更され、かねてより告知されていた「モーニングウェイ」「メトロモーニングウェイ」に統合される。
平日夕方から夜間にかけての下り列車は、快速急行を28本、千代田線からの直通列車を24本、通勤特急ロマンスカー「ホームウェイ」を1本、それぞれ増発する。
快速急行のうち、新宿駅から多摩線への直通列車が新たに設定され、これと交替する形で廃止となる多摩急行などを差し引いて、帰宅ラッシュ時は各方面で合計39本の増発となる。
「所要時間短縮」
「所要時間短縮」については、快速急行を平日朝のラッシュピーク時間帯に増発する。
快速急行は急行より通過駅が多く、乗車券・定期券のみで利用できる列車としては最速の種別。
町田駅から新宿駅まで、急行だと途中6駅に停車し、所要時間は49分かかる。
これを快速急行に置き換えると、途中停車駅は4駅、所要時間は37分となる。
町田駅は新宿駅からの通勤時間が40分以内となり、ベッドタウンとしての価値が上がりそうだ。
多摩線はこれまで、新宿駅への直通列車は各駅停車のみで、速達するためには新百合ヶ丘駅で急行などに乗り換える必要があった。
新ダイヤでは多摩線から新宿駅へ向かう通勤急行が新設される。
小田急多摩センター駅から新宿駅までの所要時間は最大14分の短縮となり、こちらも新宿駅からの通勤時間40分圏内の仲間入りとなる。
所要時間短縮効果は全線にわたり、新宿駅までの短縮時間は、経堂駅が7分、登戸駅が9分、新百合ヶ丘駅が10分、町田駅が12分、海老名駅・大和駅が11分。
海老名駅・大和駅からの通勤時間は51~52分で、どちらも60分圏内となる。千代田線直通列車も所要時間短縮の恩恵を受ける。
大手町駅までの短縮時間は、経堂駅が6分、登戸駅が7分、新百合ヶ丘駅が9分、町田駅が12分、小田急多摩センター駅が11分。小田急多摩センター駅から大手町駅まで、従来の67分から56分となり、通勤時間60分圏内に収まった。
「乗り換えなしで都心へ」
「乗り換えなしで都心へ」については、とくに朝の通勤時間帯が大きく改善され、多摩線・江ノ島線から新宿駅への直通列車が増発される。
多摩線から新宿駅へは通勤急行と急行を計13本新設。
江ノ島線から新宿駅へは現在の急行など10本が15本に増発される。
この中には相模大野駅から快速急行となる列車があり、時間短縮効果もある。
新宿~片瀬江ノ島間を結ぶ快速急行は上下合わせて83本となる。
千代田線直通列車も朝の通勤時間帯に11本から28本へ大幅に増発。
向ヶ丘遊園駅始発の各駅停車も設定され、複々線区間にある各駅停車のみ停車する駅も便利になる。
一方、多摩線から千代田線へ直通する多摩急行は廃止に。
多摩線の直通先は千代田線から新宿駅へと大きく振り替えられる形となった。
小田急電鉄によると、千代田線への直通利用者は多摩線内より複々線区間のほうが多いとのこと。実情に合わせた変更のようだ。
「座って快適通勤」
「座って快適通勤」については、「大増発で混雑緩和」の項でも触れた特急ロマンスカーが貢献する。
新宿駅または大手町駅に7時台に到着する特急ロマンスカーは、現在の2本から新ダイヤでは5本に。
8時台に到着する特急ロマンスカーも新たに2本追加された。
複線区間だけだと、限界まで増発するために各列車の運行速度をそろえる必要がある。
極端に速度の高い特急列車を挟むと、その前後の列車に影響する。
朝の特急ロマンスカー増発は、複々線化によって各駅停車の線路と通過列車の線路を分離した効果だろう。
各駅停車や急行なども、区間列車の増発で着席効果の拡充を図る。
小田急多摩センター駅始発列車が6本新設されるほか、向ヶ丘遊園駅始発列車が7本増の12本、成城学園前駅始発列車が6本増の8本。藤沢駅始発列車も5本増の13本。
どれも始発駅で座席が埋まりそうだけど、途中駅から乗車した場合も、始発駅に近いほど空いている列車を利用できる。
特急ロマンスカーの新型車両70000形の導入に期待大
特急ロマンスカー関連では新型車両70000形の導入が予定されており、これに合わせて特急ロマンスカーも新ダイヤに移行する。
前述の通り通勤時間帯に大変革するほか、新宿~小田原間ノンストップの「スーパーはこね」が2本増の4本に。
同区間の所要時間は5分短縮されて59分となり、悲願だった新宿~小田原間60分以内をついに達成する。
箱根から新宿方面の最終ロマンスカーとして、箱根湯本駅22時7分発の列車も設定。
現在より74分遅い発車となり、箱根で食事を楽しんでから帰宅できる。
江ノ島線では北千住駅と片瀬江ノ島駅を結ぶ「メトロえのしま」が下り(北千住発)2本・上り(片瀬江ノ島発)1本新設される。
70000形の投入により、本線系統に使っていたMSEに余裕ができたようだ。
「メトロえのしま」の北千住~片瀬江ノ島間の所要時間は最速で95分となる。
鉄道ファンとしては新型車両70000形の登場に期待大だ。
一方、代替廃車が見込まれる7000形の運行終了については未定とされている。
特急ロマンスカー増発の影響もあり、ただちに引退とはならないとのこと。
複々線区間の整備はおもに通勤時間帯の混雑解消が目的であった。
そのため、ダイヤ改正の内容も通勤列車の改善が主体となっている。
複々線区間の整備は構想から50年、着工から30年の大プロジェクトだったという。
今回の記者会見では「京王と東急に挟まれた小田急」という発言もあった。
具体的に他社から乗客を奪うといった説明はなかったけれど、多摩線に新宿方面の通勤急行を新設することは、多摩と新宿を結ぶ”ライバル”京王電鉄を意識したように見える。
江ノ島線に新設される快速急行も、中央林間駅から東急田園都市線への乗換えを防ぐ狙いがありそうだ。
複々線化の完成を最大戦力として、混雑緩和だけでなく乗客増による増収もしたたかに狙う。
戦略的なダイヤ改正といえるかもしれない。
小田急電鉄は11月1日、2018年3月のダイヤ改正を発表した。
複々線区間の完成による大規模改正とはいえ、4カ月前の詳細発表は異例だ。そこには「4月から小田急沿線で新生活を始めてほしい」という意図がある。
複々線を混雑緩和の手段だけではなく、増収に結び付ける戦略だ。
小田急電鉄の小田原線(本線)は1927年に開業した。
東京と、東海道最大の宿場町の小田原を鉄道で結べばもうかると考え、全区間複線電化で一挙に開業している。
期待通りの乗客が集まらず、過大な投資によって経営難となった時代もあった。しかし、複線電化は当時としては珍しく、単線より運行本数が多く所要時間も短いために、小田急沿線の住宅人気は高まった。
それから90年。現在も小田急電鉄の乗客数は増加傾向という。
しかし、当初は早いと評判だった小田急も、沿線の人気による乗客増に追い付かず、混雑と遅延が問題になっていた。
そこで小田急電鉄は打開策として複々線化を構想する。構想開始から50年、着工から30年。ついに代々木上原~登戸間の複々線が完成する。従来の「混雑」「遅い」というネガティブなイメージが解消されるだろう。
小田急電鉄の記者発表会で「新しい小田急」という文字を見て「そうきたか」と思った。記者発表会の題目は「新ダイヤ発表」である。しかし、式次第には「新しい小田急 新ダイヤの発表」とある。ダイヤ改正だけではなく、小田急電鉄を、いや、小田急グループ全体をリニューアルしようという意気込みを感じた。もっとも、16年末からポスターや車内の動画広告で「HELLO NEW ODAKYU !」と題した複々線化告知キャンペーンを実施している。日本語で書かれて初めて気づいたとは情けない。
沿線利用者にアピールする4ポイント
新しい小田急とは何か。その問いに答えるには、現在の小田急とは何かを認識する必要がある。鉄道ファンや沿線外の人々にとって、小田急のイメージはロマンスカーだ。ロマンスカーで行く箱根、江の島だ。ロマンスカーといえば先頭の展望席。だから、1996年に展望席を持たない30000形EXEが登場したとき、多くの人々が驚いた。
それはともかく、沿線に住まう人々、特に主要顧客である通勤、通学利用者にとって小田急は「混雑、遅い」だ。
最も混雑する時間と区間において混雑率は192%。急行とは名ばかりで、新宿に近づくにつれて前方の列車との間隔が詰まってノロノロ運転だ。住環境は良い。家族は満足している。しかし、その家族を支える通勤者はつらい思いをしていた。
小田急電鉄も「混雑、遅い」を十分認識していた。複々線化でその両方が解消される。「いままでの小田急とは違います」「生まれ変わります」という意味を込めて「新しい小田急」という言葉を使った。よほど大きな変革がなければ「新しい」は使えない。今回のダイヤ改正は「新しい」にふさわしい内容だ。その自信が小田急にある。
ダイヤ改正のポイントは4つ。「列車の増発による混雑緩和」「速達列車の増強による所要時間短縮」「直通列車の増強で乗り換え回数を減少」「始発駅、始発列車の増強による着席機会の増加」だ。どれも複々線区間があるからこそ実現する。
全長11.7キロにわたる複々線区間という、大手私鉄としては最も豪華な設備。その設備を最大限に活用した施策だ。これで「混雑、遅い」が「ゆったり、速い」に転じる。
しかし、小田急のもくろみはそれだけではない。現在、つらい思いをさせてしまっているお客さまに改善を約束しつつ、新規乗客の獲得も狙っている。その戦略性が最も目立つ部分が、多摩線と江ノ島線の施策だ。
小田急は現在、有料座席指定の特急ロマンスカーの他に、5つの列車種別を用意している。速達性の高い順に「快速急行」「急行」「多摩急行」「準急」そして「各駅停車」だ。18年のダイヤ改正で、新たに「通勤急行」「通勤準急」が加わり、「多摩急行」が廃止となる。
「通勤急行」は多摩線直通列車だけに設定されている。多摩線の主要駅に停まる。従来の「急行」「多摩急行」と同じだ。ただし、新百合ヶ丘~新宿間は急行より停車駅が少ない。急行停車駅の登戸と経堂は通過する。意図は明確だ。多摩線主要駅と新宿駅の所要時間を短くし、乗り換えを解消したい。
通勤急行と交代する形で「多摩急行」が廃止となった。「多摩急行」は多摩線内の主要駅に停車、新百合ヶ丘~代々木上原間は急行と同じ停車駅。ただし、新宿へは行かず、代々木上原から東京メトロ千代田線に直通する。
つまり、多摩線では何が起きたかというと、速達列車の到着地が千代田線から新宿駅に切り替わった。これは、多摩ニュータウン~新宿間のライバル、京王電鉄への挑戦状だ。
多摩線は新百合ヶ丘から分岐し、多摩ニュータウンの小田急永山、小田急多摩センターを経由する。2つの駅に小田急を冠した理由は、隣接して京王永山、京王多摩センターがあるからだ。つまり、京王電鉄と小田急は「多摩センター~新宿」間でライバル関係にある。
多摩センター~新宿間の勝負は京王電鉄の圧勝だった。所要時間は特急で約30分。運賃は340円(現金)。これに対して小田急は途中駅で新宿行きの急行に乗り換えても50分以上。運賃は370円(同)。20分以上も遅く、30円高い。しかも、京王電鉄は18年3月に20円の値下げを実施する。
新路線の建設費用を捻出するため20円を加算していたが、費用のめどがついたため加算運賃を廃止する。多摩センター~新宿間は320円になり、小田急より50円も安くなる。
現在の小田急のダイヤは、京王電鉄との勝負を諦めたように見える。京王電鉄はほとんどの列車が新宿など本線に直通する。しかし小田急は半分以上の列車が多摩線内の折り返し。新宿直通の列車は各駅停車ばかりで速達性に欠ける。優位な要素は東京メトロ千代田線と直通できることで、その優位性を示すために、千代田線直通の「多摩急行」「急行」を設定している。
千代田線直通の「多摩急行」を廃止し、新宿へ速達できる列車を増やした。京王線と真っ向勝負する姿勢をとった。小田急電鉄の強みは複々線化によるスピードアップだ。通勤急行で直通する形となるため、所要時間は最短で40分となる。まだまだ京王電鉄の特急には勝てない。しかし、京王線にも弱みがある。
京王はダイヤ上では小田急より早く着く。しかし、実際には新宿駅に近づくほど列車が渋滞している。京王電鉄の本線は複線のままだから、遅延が発生すれば所要時間は延びる。これに対し小田急は複々線だ。スピードアップし、所要時間短縮と定時性を確保すれば、京王電鉄と勝負できるともくろんだ。
もう1つの課題の運賃については、「定期券利用者の通勤定期は会社支給となるから利用者は運賃を気にせず便利な方を選ぶだろう」と小田急は語る。これは考えが浅い。小田急では社員の申告経路で定期代を出してくれるかもしれないけれど、多くの企業では「合理的な経路選択」を内規としている。あらかじめ総務部が料金をチェックしているため、運賃の安いルートの定期代しか支給されない。それを踏まえて「差額を払ってでも小田急に乗りたい」と、利用者に思わせる仕掛けが必要だ。
江ノ島線を強化する戦略
江ノ島線は、新宿直通列車が増便となる。小田原線で最も速達性の高い「快速急行」が江ノ島線に乗り入れる。複々線の完成でスピードも上がり、新宿までの所要時間が短縮される。これらの施策は東急電鉄を意識している。中央林間駅で東急電鉄の田園都市線に乗り換えてしまう乗客を、小田急線内に留めたい。
江ノ島線の大和駅から小田急本線に乗り継ぎ新宿に行く場合、所要時間は62分。運賃は460円。途中駅の中央林間で田園都市線に乗り換えて渋谷に出る場合は、所要時間は最短で52分。運賃は490円。通勤ラッシュ時の田園都市線は急行が走らないため、所要時間は63分になる。小田急と東急の所要時間と運賃が拮抗している。しかし、小田急電鉄の混雑と遅延に嫌気した乗客が東急田園都市線で渋谷に出るルートを選んでいる可能性は高い。中央林間駅は田園都市線の始発駅だから、小田急から乗り換えた人々は着席機会が多い。
小田急のダイヤ改正で、大和~新宿間は乗り換えなしの快速急行で最速52分になる。速達性で田園都市線経由と互角になった。ラッシュ時は田園都市線の急行がないため、10分も速くなった。乗り換えなしの直通メリットはある。藤沢始発列車を増発し、着席機会も増やしている。江ノ島線の強化については、乗客の新規獲得というより、「混雑、遅い」を理由に、東急へ逃げていった乗客を取り戻す戦略といえる。
ただし、東急田園都市線も混雑や遅延が問題となっている。停電や車両ボヤ火災による長時間運休も続いた。優雅な多摩田園都市生活も、殺伐とした通勤ラッシュになっている。小田急から田園都市線に乗り換えるメリットは小さくなっている。
異例の11月発表の理由
小田急電鉄は、17年春のダイヤ改正については17年2月3日、16年春のダイヤ改正は15年12月18日に報道発表していた。小田急電鉄に限らず、相互直通先にJRの路線が存在する場合は、JRグルーブのダイヤ改正に合わせてダイヤを変更する。
JRグループは春のダイヤ改正について、前年の12月に報道発表している。小田急電鉄も東京メトロ千代田線を介して、JR東日本の常磐線に直通しているため、本来は12月以降にダイヤ改正を発表する段取りだろう。今回は1カ月半も前倒しの発表となった。ダイヤ改正も内容だけで、改正日は伏せられた。改正日はおそらく決まっていると思うけれども、JRグループより先に発表するわけにはいかないという事情がありそうだ。
それでも11月1日に発表した理由について、小田急電鉄社長の星野晃司氏は「4月からの新生活から小田急を利用してほしいから」と答えた。ここに、小田急のしたたかさが表れている。前述のように、既存の小田急利用客に快適性をアピールするだけではなく、春の新生活に合わせて、これから新居を探す人々に「快適な小田急沿線」をアピールした形だ。つまり、沿線の人口増、すなわち鉄道の利用者増を狙うには、12月以降の発表では間に合わないと考えている。
小田急グループ全体で見ると、海老名駅周辺で大規模開発を行っている。その中には高層マンション計画もある。19年完成、20年1月に引き渡しとなる「リーフィアタワー海老名アクロスコート」は鉄筋コンクリート31階建て、総戸数304戸という大規模物件だ。18年1月には第1期の販売が始まる。沿線でこのような大規模プロジェクトを成功させるには、アクセス路線の小田急電鉄が「遅い、混んでいる」では困る。
複々線の完成と大規模なダイヤ改正、その発表時期。これら全ての要素が、鉄道だけではなく、小田急グループ全体の利益のために必要だった。鉄道自体の戦略も見事ながら、グループ全体の戦略を考慮したダイヤも見事だ。
◆杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。