与える影響が、高齢者と若年層によって異なる
運動が人々の健康や人生にいい影響を及ぼすのは周知の事実ですが、運動が細胞にどのような影響を与えており、運動と人々の年齢がどのように関係しているのかには未知の部分も多くあります。
そこで、アメリカのメイヨー・クリニックの研究者らが、若年者と高齢者の筋肉が、どのような運動によってどのような影響を受けるのかについて調査しました。
Enhanced Protein Translation Underlies Improved Metabolic and Physical Adaptations to Different Exercise Training Modes in Young and Old Humans: Cell Metabolism
http://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(17)30099-2
The Best Exercise for Aging Muscles – The New York Times
https://www.nytimes.com/2017/03/23/well/move/the-best-exercise-for-aging-muscles.html
被験者となったのは30歳・30歳未満・64歳以上、という3つのグループに分けられた「健康ではある座りがちな生活を送っている」男女72人で、被験者は血糖値や、筋肉中の遺伝子活性状態とミトコンドリアの状態などを測定された後に、ランダムに振り当てられた特定の運動療法を行いました。
この「ランダムに振り当てられた特定の運動療法」とは、あるグループは週に数回、激しいウェイトトレーニングを行い、別のグループはエアロバイクを使って高負荷と低負荷を交互に繰り返すインターバルトレーニングを週に3回行い、3つ目のグループは週に2~3回適度なエアロバイクと軽いリフティングを行うというもの。
なお、4つ目のグループは比較のため、一切運動を行いませんでした。
12週間後に再び血糖値などの測定を行ったところ、運動を行った人々はみな健康状態の改善を体感しており、血糖値もよくなっていたとのこと。
この時、当然のことながら激しいウェイトトレーニングを行ったグループが筋肉増量・強化を経験し、インターバルトレーニングを行ったグループが最も耐久力をアップさせていました。
興味深いのは、インターバルトレーニングが与える影響が、高齢者と若年層によって異なること。
インターバルトレーニングを行った若い被験者の筋肉細胞を調べたところ、274の遺伝子が活性しており、これは適度な運動を行ったグループの「170」、激しいウェイトトレーニングを行ったグループの「74」よりも大きな数字でした。
一方で、高齢グループの筋肉細胞を調べたところ、適度なエクササイズを行ったグループで「19」、激しいウェイトトレーニングを行ったグループで「33」の遺伝子が活性していたのに比べて、インターバルトレーニングを行ったグループは「400」もの遺伝子が活性していたとのこと。
インターバルトレーニングの影響は、若年者よりも高齢者に強く見られたわけです。
運動によって遺伝子が活性化すると、筋肉細胞中のミトコンドリアがエネルギーを生み出す能力に影響があると考えられています。
今回の実験でインターバルトレーニングを行ったグループは激しいペダリングを4分間行った後に3分間の休憩をはさみ、その後、再び激しいペダリングを行うということを繰り返し行いましたが、高齢の自転車乗りが健康に与える影響を語る通り、このような運動が筋肉に大きな影響を与えていたわけです。
メイヨー・クリニックのSreekumaran Nair医師は「年齢によって筋肉中の細胞の健康が損なわれているのであれば、運動によって修復されます。特に、激しい運動であれば」と語っており、高齢であるほど、若い人よりも筋肉を活性化する運動も存在することから「運動の利益を得るのに『遅すぎる』ということはありません」としています。
筋力が落ちると いろいろな病気や
ケガの原因になりますね (^_^;)