1月15日午前1時55分頃、長野県軽井沢町軽井沢の国道18号碓氷バイパスで、スキー客を乗せたツアーバスが道路脇の崖下に転落した。
県警や消防によると、バスには乗客39人、乗員2人の計 41人が乗車しており、このうち乗員2人を含む男性9人と女性5人の計14人が死亡したほか、27人が重軽傷を負った。
県警は自動車運転死傷行為処罰法違 反(過失運転致死傷)容疑で捜査本部を設置した。
国土交通省は午後、バスを運行していた「イーエスピー」(東京都羽村市)の特別監査に入った。
警察庁によると、1990年以降、死者10人以上が出たバス事故はない。
長野市で85年、スキー場に向かっていた大学生らを乗せたバスがダム湖に転落し25人が死亡した事故以来、最悪のバス事故になるという。
県警によると、死亡した乗員は東京都青梅市大門、土屋広運転手(65)と、同市梅郷、勝原恵造運転手(57)。
土屋運転手が運転していた。
現場は群馬・長野県境の入山峠から約1キロ長野側。
道路は計3車線で、群馬から長野方面に走っていたバス側が1車線だった。
バスは緩やかな左カーブの下りの坂道で対向車線にはみ出した後、ガードレールを突き破って道路右側約3メートルの崖下に転落。
立ち木にぶつかりながら横転したとみられる。
バスには18~38歳の乗客39人と運転手2人の計41人が乗車。
事故の衝撃で多くの人は車外に放り出された。死者は大半が即死状態だったとい う。
死傷者の多くがシートベルトを着用せず、着用指示のアナウンスもなかった。
現場はJR軽井沢駅から南に約2キロ離れた長野と群馬の県境付近で、緩やかな左 カーブの下り坂。
現場にタイヤ痕は片側1本しか残っておらず、県警はスピードを落とさずに左カーブに突入したか、急ハンドルを切った結果、車体の片側が浮 いて傾き、対向車線にはみ出しガードレールに激突したとみている。
「助けてくれ」
事故現場からの通報の背後では、悲鳴が響いていた。
バス転落事故には三つの広域消防から30台近い救急車などが出動し、負傷者の救助に当たった。
負傷者は周辺の病院に続々と搬送され、医師や看護師らを緊急招集して対応に当たる病院もあった。
佐久広域連合消防本部によると、午前2時すぎに乗客の男性から「車がひっくり返ったようだ」と119番があった。
電話の向こう側からは、助けを求める悲 鳴が聞こえた。
佐久医療センター(長野県佐久市)にはその直後に一報が入り、病院は医師や看護師らスタッフを緊急招集した。
男性6人が次々に搬送されたが 1人が死亡、5人が重傷などという。
くろさわ病院(同)には午前2時50分ごろに「大型バスが3メートル下に転落。20人以上けが。受け入れられるか」と連絡があり、男性4人を受け入れた。
4人は歩ける状態で意識ははっきりしていたという。
軽井沢町の軽井沢病院には午前3時すぎから、1時間の間に男性3人が相次いで搬送された。
うち20代と30代の2人の死亡が確認され、一人は顔の骨などを折る重傷を負っているという。
女性2人を受け入れた群馬県富岡市の公立富岡総合病院によると、2人は沖縄県の19歳と神奈川県の23歳で、いずれも女子大生。
骨盤を折るなど重傷だが、意識はある。
神奈川県の女性の家族とは連絡が取れたという。
ツアーを企画した旅行会社「キースツアー」の福田万吉社長(38)が東京都渋谷区の事務所前で報道陣の取材に応じ、 「運転手の勤務態勢に不備はなく、万全を期していた。法令違反や無理な運行をしたことはなかった」と述べた。
福田社長は「企画したツアーで事故を起こしてしまい、申し訳ない。乗客の家族や遺族には誠意をもって対応する」と謝罪した。
一方で、料金などツアーの詳細については「答えられる状況にない」と話すにとどめた。
民事責任は、誰が負うのか?
「事故の詳細が明らかになっていない段階なので、一般論としてお答えします。
まず、バスの運転手に過失がある場合、事故を起こしたことが民法上の不法行為(709条)にあたるとして、被害者や遺族に賠償責任を負う可能性があります。
今回の事故のように運転手が死亡している場合には、その責任を運転手の遺族が相続することになります。
また、運転手を雇っていたバス会社には、使用者の責任として、賠償責任を負う可能性があります(715条)。
バス会社の責任については、被用者(バス運転手)を選任したことや事業の監督に過失がなければ、免責されることが規定されています(715条1項ただし書き)。
ただし、裁判所は免責について、かなり厳格に考えているので、賠償責任を負う可能性が高いでしょう。
なお、バス会社が損害保険に加入している場合は、保険会社が被害者に対する補償をすることになるでしょう」
ツアー会社については、どうだろうか。
「参考になる裁判例があります。これは海外で起きたバスの転落事故の事例でした。
結果的に損害賠償責任を否定しましたが、旅行を主催した業者には、次のような義務があると示しました。
『旅 行業者には、主催旅行契約の相手方である旅行者に対し、主催旅行契約上の付随義務として、旅行者の生命、身体、財産等に関し、あらかじめ十分に調査・検討 し、専門業者としての合理的な判断をし、また、その契約内容の実施に関し、遭遇する危険を排除すべく合理的な措置をとるべき注意義務がある』(東京地裁平 成元年6月20日判決)。
今回のケースでも、ツアー会社にこうした注意義務の違反が認められるような事情があれば、ツアー会社にも賠償責任が生じる可能性はあると思います」
●刑事責任の可能性は?
刑事責任についてはどうだろうか。
「まず、運転手については、過失運転致死傷罪にあたる可能性があります。
ただし、今回は運転手が死亡してしまっているため、起訴されることはありません。
また、運転手が超過勤務などで疲労がたまっている状態であったのならば、過労運転の禁止(道交法66条)にも違反する可能性があります。
この場合は、運転を命じたバス会社が、刑事責任を問われる可能性があります(道交法75条、119条)」
バス添乗員の太田くんは 入院中で無事だったけど
添乗員さんって 命がけの仕事だなー ((((;゚д゚))))