校長挨拶 翔べ 知の森 新宿高校へ
―21世紀を担う「全員指導者たれ」の理念―
平成26年4月1日 校長 戸田 弘美
早いもので平成23年4月1日に着任し、今年度で4年目を迎えます。
進学校として、さらなる前進をめざし、教職員と共に文字どおり「突っ走ってきた」3年間でした。
特にここ数年、本校は着実に進学実績を伸ば してきました。
昨年度は、国公立大学合格者数は一昨年度と同数、早慶合格者数は一昨年度より増加し、躍進の勢いを継続しています。
下記のグラフおよび大学 合格者数実績のページをご覧ください。
現在、東京都教育委員会から指定されている「進学指導特別推進校」として8年目を迎えます。
「新宿システム」の具現 化を力強く進める中で、授業改革、土曜授業、補習・講習年約1700時間、勉強合宿等を計画的・組織的に行い、教職員の英知を結集しながら、「入学時の学 力を最も伸ばせる学校」を目指します。
本校は、大正11年4月、東京府立第六中学 校として開校し、お陰様で今年度で創立92周年を迎えました。一昨年に本校体育館にて90周年記念式典挙行の際は、本校生徒の歌声が会場内に大きく響き渡 り、式典後に多くの来賓の皆様から、お褒めの言葉を頂戴しました。元気な新宿生らしい姿、それは私にとっても誇らしく感じられました。校長式辞で、校歌の 「~新たに結ぶ日本の 若き世代はわれらの肩に」は、作詞の安藤一郎氏(六中時の教師)が生徒に社会貢献という使命を果たすことを願ったものであること や、初代、阿部宗孝校長が唱えた「大家族主義」の精神が、現在の「チーム新宿」に生き続けていることなどを話しました。節目の行事を経て、生徒、教職員、 保護者、朝陽同窓会が一体となった「チーム新宿」の活力、団結力は、ますます強固になっていると実感しております。
昨年度も、「進路は補欠なき団体戦」の合言 葉のもとで、生徒は仲間と共に励ましあい競い合いながら、活気ある学校生活を送りました。学習指導の特色は、習熟度別授業等を活用して、成績上位層だけで なく、成績の低い生徒の底上げを重視していることです。下位の生徒が伸びることで、集団のモチベーションが高まり、連鎖的に中上位層の生徒も成長します。 こうした本校の取組みが、昨年9月にニュース週刊誌によって名門都立高校の人気復活という記事で紹介され、反響がありました。また、放課後や長期休業日に は自習室を希望生徒に開放しています(平日、2年生は午後7時、3年生は午後8時まで)。毎日100名以上の生徒が残って、共に学ぶ姿は、静かな熱気に溢 れており、新宿ならではの光景です。
さて、本校の校是は「全員、指導者たれ」で す。私はリーダーである前に一人の人間であれ、と思っています。信頼できる人間でなければ、人はついて来ません。だからこそ指導者とは、人の痛みが分かる 人であり、困難な状況下においても地域や組織、仲間を励まし導くことができる力量を備えた人ではないでしょうか。東日本大震災から約三年が経ちますが、困 難な課題が山積している厳しい現状が今も、目の前にあります。一方で社会情勢はグローバル化し、刻々と大きく変化しています。社会性や、時事に応じた課題 解決能力を備えることも、指導者として大切な資質でしょう。校是の下で、本校では生活面においても生徒を鍛え育てることを重視し、丁寧な生活指導を実践し ています。私は、「進学校だからこそ、生活指導が大切」と考えています。規則の遵守に終始することなく、生徒の良識に訴え、考えさせることを大切にする生 活指導です。
ここ数年特に、挨拶、生活規律の確立、身だしなみ指導等に力を入れ、生活指導方針に対する生徒・保護者の理解や共感も高まり、成果をあげてい ます。人間として、自分を磨き、成長させることの重要性はもちろんですが、時間厳守等の自律的な生活習慣を身につけることは、学力向上や自己実現の達成に も繋がります。加えて、本校は運動会や文化祭といった学校行事や部活動がたいへん盛んです。昨年度は、「体力向上推進優秀校」として東京都教育委員会から 表彰をいただきました。学校行事や部活動等により、仲間と共に競い合い、励ましあうことをとおして、生徒は人間として大きく成長します。日々の学校生活の 中で「集中と切り替え」を常に重視して指導し、学習も、学校行事も、部活動も、けじめをつけながら全力投球することを奨励しています。生徒同士の切磋琢磨が、生徒の幅広い人間形成のために不可欠であると信じるからです。
大正11年の開校以来、本校が脈々と培って きた全人教育を継承し、時代が要請する心優しく逞しいリーダーを育てるべく、日々の教育活動で生徒、教職員に真摯に向き合い、心の通う学校経営を行ってま いります。今後も、本校ウェブサイト等を通して、本校の様々な教育活動について、皆様に発信してまいります。ウェブページの校長所感「新宿折々」共々、ぜ ひご覧くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
=『チーム新宿』だからできる技・5つのキーワード=
1.『チーム新宿』(=熱い教師・これに応える生徒・保護者の協力)
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「進学指導特別推進校」「進学重視型単位制高校」のメリットを生かし、熱い心を もつ教師がチームを組んで指導にあたっています。国語(古典分野)、英語、数学、化学では本格的な習熟度別学習(*定期考査ごとに成績で編成替)を実施し ます。1、2年次でしっかりした基礎力、応用力を身に付け、3年次の応用科目(=大学受験対応)や発展科目で総合力を完成させます。また年間1700時間 の講習は都立・私立を問わず質・量とも有数です。
2.『目線合わせ』(=8人の担任と進路指導部が320名の生徒を観る)
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8人の担任と進路指導部が学年320名の生徒の状況を共有し、指導にあたります。そのために学年主任と進路指導を中心とした教員間の「目線合わせ」を重視しています。
進学指導にレギュラー・補欠はありません。この発想こそ「チーム新宿」の命です。実力試験結果を進路指導部・学年・各教科が組織的に分析し、弱点補強指導を即座に行います。こうした指導により、「入学時よりも力を伸ばせる学校」として評判です。
4.『大学受験は学校行事だった』(=真の文武両道・仲間意識)
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生徒は1年次から「授業6時間→部活動2時間→自宅学習2~3時間(3年次は可能な限り)」を実践しています。90%が加入する部活動やバランスのとれた学校行事で培われた能力と仲間意識は受験勉強でも生かされ、友人同士、受験をがんばり抜いています。
「挨 拶」「時間厳守」「礼節」「人の話を聞く」「清掃」などの基本的生活習慣に加え、常識ある身なり(頭髪・服装)は自律的に実践できなくてはなりません。ま た学校生活全般で自分で考え・行動し・探求するという力をつけることが大切です。更に自分を他者に置き換えて考えるという想像力を働かせることはコミュニ ケーションの基本です。こうした日々の生活を通し、自らの生き方・あり方を深く考えることは、進路希望発見の原動力です。