母校卒業式

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母校卒業式が3月19日に行われました。

319名の卒業生が社会に、大学進学にと巣立って行きました。

新宿高校 校長 戸田 弘美   新宿折々

○3月15日(土) 卒業式

 前日の卒業式予行では、体育優良生徒、文化活動優良生徒等の表彰や、皆勤賞の表彰を行いました。3年間皆勤賞は15名であり、日々の努力と体調管理の成果です。一人一人に表彰状を授与することができました。
 卒業式当日は、青い空が晴れわたり、明るい日差しに春の光が心地よく感じられる、卒業式日和でした。当日の校長式辞を紹介させていただきます(冒頭の挨拶部分はここでは省略いたします)。
 ただいま卒業証書を授与しました、317名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、本校を卒業し、新しい世界へ旅立ちます。高校時代の3年間は、様々な学習やホームルーム活動、学校行事や、部活動に、全力をあげて取り組んできたことと思います。
  66回生の皆さんが本校に入学した頃を思い起こすと、入学の約1ヶ月前にあたる3月11日の記憶がよみがえります。東日本大震災が起こり、多くの尊い命が 犠牲になりました。余震や放射能といった大震災後の様々な影響を考え、一年次の夏季休業中に予定されていた臨海教室を中止としました。やむを得ない措置と はいえ、生徒の皆さんには残念な思いをさせたと思っています。
 臨海教室の代替行事として、45分間泳を8月初旬に本校プールで実施しました。実際の海での遠泳が約50分であることを考えると、プールでの この45分間の泳ぎはレベルの高いものでした。実際の45分間泳を私も見学しましたが、息をのむような緊張感がみなぎり、とても長く感じられました。泳ぎ きった生徒たちの顔は何とも晴れやかで嬉しそうでした。感無量で泣き出す生徒もいました。
 私は、新宿高校で最も心に残った学校行事はと言われたら、迷わず、この45分間泳をあげます。ここには企画、準備、指導してきた先生方の思い と、66回生の皆さんのひたむきな熱意が込められていました。66回生の皆さんは、辛抱することで大きく成長しました。45分間泳という手作りの行事は、 皆さんの忍耐力、想像力、努力により、大きな存在感をもつ行事となりました。東日本大震災の記憶と共に、いつまでも心に留めてください。
 さて、今日は皆さんが新宿高校から旅立つ日です。私は66回生の皆さんに、人の痛みが分かる人間であれ、というメッセージを送りたいと思います。
 人の痛みが分かる人間とは、優しく、思いやりがあるということです。皆さんの新宿高校で過ごした3年間は、どちらかというと頑張れ、頑張れと 自分に鞭打つことが多かったのではないでしょうか。強くあること、賢くなるための努力は、もちろん、これからも必要です。しかし、もっと大きく、人間とし て成長するためには、心を磨くことも必要なのです。私は日頃から新宿生の振る舞いに、優しさ、思いやりを感じる機会が多くあります。だからこそ、もっと良 さを伸ばして欲しいと思っていますし、伸ばすことができると信じています。そのためには何をしたら良いでしょうか。
 私は第一に、情操豊かになることだと思います。自らすすんで芸術に触れ、体験し、感じることや読書をすること等で感性を磨くことが重要です。皆さんが高校で学んできた学習の中には、心を育む内容がたくさん含まれていました。
 他にはどうでしょうか。私は日常生活において、心がけしだいで周りの人たちへの思いやりの気持ちを深めることができると思っています。ここでは、私が日頃、大切にしている二つの言葉を取り上げてみます。
 一つ目は「傾聴」です。相手の立場に立って話を聴くということです。聴くとは耳だけでなく、目や心も活用して、よく聴くことだと思います。相 手のことをよく理解しようとするためには、愛情や敬意がなければできません。多様な価値観を受け入れる柔軟性をもつことも必要でしょう。
 二つ目は「共感」です。相手の立場に立って感じたり理解したりすることです。そのとおりだと感じる「共感」に至らずとも、一緒に感じたり考え たりする「共感的理解」が大切です。相手の存在を肯定することや、想像力を発揮して相手の気持ちを思いやることが、共感することに繋がります。本校の教育 目標である「人間尊重」の精神と大きく重なると思います。これら二つの言葉「傾聴」「共感」を意識することを契機に、周りの人たちとの人間関係を深めて、 愛情や思いやりの心をこれからもさらに育んでください。
 さて、本校の校是は「全員、指導者たれ」です。私はリーダーである前に一人の人間であれ、と思っています。信頼できる人間でなければ、人はつ いて来ません。だからこそ指導者とは、人の痛みが分かる人間でなければいけないのです。そのうえで、困難な状況下においても地域や組織、仲間を励まし導く ことができる力量を備えた人であることが求められます。東日本大震災から三年が経ちました。しかし、困難な課題が山積している厳しい現状が今も、目の前に あります。
一方で社会情勢は急速にグローバル化し、刻々と大きく変化しています。時代の波に乗り遅れないよう、常に社会の変化に目を向け、課題解決意識を もって、これから始まる新しい道を歩んでください。皆さんが新宿高校を巣立ち、そして大きく飛躍することを心から楽しみにしています。結びに、本日ご多忙 の中、ご臨席を賜りました、ご来賓の皆様、保護者の皆様に心よりお礼を申し上げ、式辞とさせていただきます。(以上)
 今年度の卒業生は、私が校長として本校に着任するのと同じ平成23年度、新宿高校に入学しました。一年次生から成長をずっと見守ってきたせい か、卒業式での感慨もひとしおでした。入学当時は比較的、おとなしい印象が強い学年カラーでしたが、2年次生として運動会を統率した頃から、逞しく、頼も しく感じられる学年集団に成長してきました。旅立ちの日、卒業生に幸あれ、と澄み渡る青空に向かって祈りました。
卒業証書授与

 

答辞

 

卒業生退場

 

管弦楽部演奏

 

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