トイレが近くて良いこともある

こんにちは。予防医学研究者の石川善樹です。

今回は、「座りすぎると健康に悪い」という話をします。

私たちは起きている時間のほとんどを、椅子の上で過ごすようになりました。

実際私もこの瞬間、写真のようなだらしない格好で、本ブログを書いています…。

 ふた昔前なら、座ってばかりの人は少なかったので、あまり注目されていませんでした。
しかし、ようやく最近になって、なぜ座りすぎが健康に悪いのか、そのメカニズムが明らかになってきました。

「ずっと座っていると、脂肪燃焼が止まってしまうのです」

そう述べるのは、ハミルトン教授(ミズーリ大学コロンビア校)。

私たちの筋肉には、リポたんぱく質リパーゼ(LPL)と呼ばれる、脂肪燃焼に関わる酵素があります。筋肉を動かさなくなると、この酵素が働かなくなるのです。

一方で、

「座っていても、手作業やパソコンなどをしていれば、腕の筋肉を動かすのでは?」

と思うかもしれません。

しかしハミルトン教授によれば、私たちの筋肉の大部分は足や背中についているため、座って腕だけ動かしていても意味がないということです。

では、どうすればよいのでしょうか?

「足の筋肉を動かせば、また脂肪の燃焼が始まります。ダメなのは、何時間も座りっぱなしでいることです」

と、ハミルトン教授は述べています。

つまり、何時間も座り続けるのではなく、途中で立ち上がってちょっと散歩をすれば、足や背中の筋肉が動き出すので、脂肪燃焼効果が得られるようです。

 

少しだけ散歩の効果

それにしても、ちょっとの散歩が、どれだけの効果をもたらすのでしょうか?

別の研究によれば、30分ごとに立ち上がり2分間散歩することを続けたら、半年で7104キロカロリー消費できるそうです。体重にすると、1キロやせられる計算になります。

・・・・・・すごいですよね!

とはいえ、こんな簡単なことでも、実際に実践しようとすると、難しいものです。

そこで私が取り入れたのは、「座っている間はとにかくたくさん水を飲む」ということです。

そうすると、自然にトイレが近くなるので、30分に1回は立ち上がり、散歩することになりました。

さらに言えば、普段はどうしても水分が不足しがちだったので、体の調子も良くなってきたような気がします。

・・・・・・ぜひ、みなさんも、座りっぱなしを避けてみては、いかがでしょうか?

 

2015blog_ishikawa120px石川善樹(いしかわ よしき)

予防医学研究者・医学博士。(株)Campus for H共同創業者。

1981年 広島県生まれ。東京大学医学部卒業、ハーバード大学公衆衛生 大学院修了。

「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして研究し、常に「最新」かつ「最善」の健康情報を提供している。

専門分野は行動科学、ヘルスコ ミュニケーション、統計解析等。

著書に「友だちの数で寿命はきまる 人との『つながり』が最高の健康法」(マガジンハウス)。

 

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