1991年にアメリカの科学雑誌により創設されたイグノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」を対象にしたノーベル賞のパロディです。
歴代の受賞研究は「何を思ってこんな研究をしたのか?」を首をかしげたくなるものばかりですが、なんと日本人の研究者は2007年から2017年まで11年連続でイグノーベル賞を受賞しており、もはや常連国となっています。
2018年9月13日に行われた2018年のイグノーベル賞授賞式において、日本の研究者が医学教育賞を受賞して12年連続受賞の栄誉に輝きました。
Here are your 2018 Ig Nobel Prize winners | Ars Technica
イグノーベル賞の授賞式はハーバード大学のメモリアルホールで行われることになっており、毎年多くの聴衆が詰めかけます。
1991年から続くイグノーベル賞において、日本とイギリスは常連国。
その理由については諸説ありますが、「日本とイギリスの研究者は『イグノーベル賞を受賞したいかどうか』の打診を断りにくい」というものがあるそうで、日本とイギリスの研究者はジョーク的なものに寛容なのかもしれません。
なお、イグノーベル賞の受賞対象は研究者個人だけでなく、「たまごっち(1997年経済学賞)」や「バウリンガル(2002年平和賞)」といった商品も対象になっています。
東アジアに ノーベル賞が欲しくて死にそうな国があります
その国の大統領による 極めて大胆な最低賃金政策に
イグノーベル経済学賞 差し上げてはどーでしょー? (^_^;)
授賞式には歴代ノーベル賞受賞者が協力しており、2007年にノーベル経済学賞を受賞したエリック・マスキン氏や……
2001年にノーベル物理学賞を受賞したヴォルフガング・ケターレ氏
2017年のノーベル生理学・医学賞受賞者であるマイケル・ロスバッシュ氏
2016年のノーベル経済学賞を受賞したオリバー・ハート氏などが参加していました。
パーソナリティはイグノーベル賞の提唱者であるマーク・エイブラハムズ氏。
そして、栄えあるイグノーベル医学教育賞を受賞したのが、昭和伊南総合病院に勤務する堀内朗医師。
堀内氏は、「『座った姿勢で大腸内視鏡検査を行うと苦痛が少ない』ということを、実際に自分一人で椅子に座って大腸内視鏡検査を行って確かめた」という研究での受賞となりました。
大腸内視鏡検査に伴う不快感を軽減する方法を模索していた堀内氏は、「寝転がった姿勢ではなく、座った姿勢でやったら不快感が減るのではないか?」と考え、実際にイスに座って少し股を広げ、口径の小さな内視鏡を挿入してみたとのこと。
すると、「驚くほど容易に内視鏡が入った」そうです。
イグノーベル賞では、受賞者が60秒のウケ狙いのスピーチをすることが求められており……
スピーチが続く中、1人の少女が登場。少女は「ミス・スウィーティー・プー」という名の進行役であり、スピーチが長すぎると「もうやめて、私は退屈なの」と連呼してスピーチをやめさせようとしてきます。
なお、ミス・スウィーテー・プーは贈り物によって買収することも可能だそうで、過去には買収してスピーチ時間を延ばした受賞者もいた模様。
続いて、エリック・マスキン氏が「今回の受賞研究を実演しましょう」といってイスに座り、内視鏡を取り出しましたが……
◆医学賞:「腎臓結石をローラーコースターにのせて早く排出する方法」
◆人類学賞:「チンパンジーが動物園に来た人間のまねをする現象の収集」
◆生物学賞:「ワインの専門家はグラスに混入したハエの存在を嗅ぎ分けることができる」
◆化学賞:「人間の唾液には洗浄効果があることの実証」
◆文学賞:「多くの人々が複雑な製品を使う時に取扱説明書を読んでいないという発見」
◆栄養学賞:「人肉は他の肉よりもカロリーが低く栄養に優れていないという発見」
◆平和賞:「車の運転中に叫び声を出したり悪態をついたりする現象についての研究」
◆生殖医療賞:「切手を使って夜間にペニスが勃起するかどうかの測定手法」
◆経済学賞:「イヤな上司を呪いの人形で呪うことは会社の業績向上に効果的という発見」
いずれも思わず笑ってしまうと共に、「どんな内容なんだろう?」と興味が湧いてくるような研究ばかりとなっていました。