世界で4680万人が認知症を抱えて暮らしていると言われている。
英紙デイリーメールによると、英国では現在、85万人が認知症に苦しんでおり、うち3分の2がアルツハイマー病だという。
2017年の英国での死亡原因で一番多かったのが、アルツハイマー病だった。
アルツハイマー病の症状を抑える薬は存在するが、病気そのものを治療する薬は今のところ存在しない。
しかしまもなくこれが変わるかもしれないという。
英国の慈善研究機関アルツハイマーズ・リサーチUKがこのほど、アルツハイマー病の治療薬は3年以内、ワクチンは10年以内に入手可能になるだろうとの見解を明らかにしたのだ。
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デイリーメールによると、アルツハイマーズ・リサーチUKの最高科学責任者デイビッド・レイノルズ博士は記者会見で、アルツハイマー病向けの薬12種類が現在、臨床試験の最終段階にあると説明。
2021年までにはこれら「人生を変えるほどの薬」の全てにおいて、臨床試験が終了する見込みだと話した。
英紙テレグラフはこれら12種類の薬が、アルツハイマー病の進行を止めたり、緩めたり、病気そのものを治したりするものだと説明している。
今回アルツハイマーズ・リサーチUKが行った分析調査報告書の共著者でもある、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン認知症リサーチ・センターのジョナサン・ショット教授は記者会見で、「アルツハイマー病の治療薬は、『もし入手可能になれば』ではなくて、『いつ入手可能になるか』という状況」だと説明し、アルツハイマー病が治療可能になる期待を語った。
一方でテレフラフによるとワクチンも開発されており、現在は臨床試験のフェーズ1と2にある。
報告書によると、このワクチンを使えば、アルツハイマー病の70%が予防できる可能性がある。
そして将来的に、英国では50歳以上の人がアルツハイマー病のワクチン接種を受ける、という制度ができる可能性もあるようだ。
前述のデイリーメールによると、そのような制度ができた場合、年間94億ポンド(約1.4兆円)の経費が国民保健サービス(NHS)にかかってくる。
しかし例えばワクチンで発症を最低3年遅らせることができれば、127億ポンド(約1.9兆円)の医療費削減が可能になるのだという。
アルツハイマーズ・リサーチUKのヒラリー・エバンス最高経営責任者が記者会見で述べたデータによると、2025年までに認知症になる人は英国で100万人を超えると見られている(テレグラフ)。
一方、世界中のアルツハイマー病関連組織の統括団体である国際アルツハイマー病協会によると、現在、世界では3秒に1人がアルツハイマー病を発症している。
2015年の時点でアルツハイマー病を患っている人は世界で4680万人いたとされ、2017年には5000万人近くに増えたと推測されていた。
さらに2030年には7500万人、2050年には1億3150万人に達すると予測されている。
しかし治療薬やワクチンが使用可能になれば、こうした数字が大きく変わる可能性もあるということになる。
なお日本においては、内閣府が公表している2012年時点のデータによると、認知症高齢者数は462万人。
厚生労働省によると、認知症患者のうちアルツハイマー型が最多となっている。