なんとなくだるい時、身体の関節をポキッと鳴らすと、スッキリした気分になるという人は多い。
しかし、関節を強く曲げ伸ばしすると音が生じる理由 について、ハッキリしたことは今まで誰にも分からなかった。
ところが、ついにそのメカニズムが判明したという驚きのニュースが飛び込んできた!
早速詳細についてお伝えしよう。
ヒザがポキポキいうので
気持ちが悪かったけど
もう慣れました (^_^;)
■ずっと分からなかった! ポキポキの正体
人体の大きな謎のひとつだった「関節が鳴る理由」を解き明かし、今月15日にオンライン・ジャーナル「PLOS ONE」上で発表したのは、カナダ・アルバータ大学でリハビリ医学を教えるグレッグ・カウチャック博士の研究グループだ。
「指ポキはよく知られている現象ですよね。関節を鳴らすことが好きで、癖になっている人もいます。しかし、どうして音が鳴るのか、本当のところ今までよく分かっていなかったのです」(カウチャック博士)
そもそも、関節がポキッと鳴る理由については、数十年前からさまざまな説が唱えられてきたという。1947年、英セント・トーマス病院の医師たち がこの謎に挑んだ時、彼らは被験者の指にヒモを括りつけて関節が鳴るまで引っ張り、それをX線写真に収めた。すると、関節に約7kgの力が加わり5mmほ どの隙間ができた時に音が鳴ることが判明。また、一度鳴らした部位は、再び鳴らせるようになるまでに数十分が必要となることも分かった。医師たちは音が鳴 る理由について、関節が急に引き離された結果、滑液(関節の動きを滑らかにしている粘性のある液体)の圧力が低下し、気泡のような空洞部分が形成されるた めではないかと推測した。
それから24年後の1971年、英リーズ大学の研究者たちは、その仮説を検証しようと同様の実験を試みた。しかし彼らは、滑液に気泡が形成される ことで音が鳴るのではなく、関節腔内にあった空気が素早く弾けることで音が鳴るのではないか、という別の答えに辿り着いてしまう。しかし結局、どちらの説 も実証されたわけではなく、確実なことは分からずじまいとなっていたのだ。そして今回、カナダの研究グループが、長年の論争に決着をつけるべく現代のテク ノロジーをもって謎に挑んだというわけだ。
画像は「PLOS ONE」より
■現代のテクノロジーで捉えた! 関節内部の光景
カウチャック博士たちは、世界カイロプラクティック連合(WFC)研究委員長で、カイロプラクターであるジェローム・フライヤー教授の協力を得 て、彼の指を特注機器で引っ張る様子をMRIで撮影。ポキッと鳴った瞬間の関節内部で起きていることを、すべて映像として記録したのだ。
そこで判明したのは、関節が急激に引き離されると滑液の圧力が下がり、まるで炭酸飲料のようにガスの気泡が生じている事実だった。そして、下がっ た圧力を戻そうとする力によって、ある瞬間に滑液が一気に隙間へと流れ込み、ポキッという音を生じさせるとともに気泡が消えていたのだ。
今回のMRI撮影では、それ以外に音を生じさせそうな要素は確認されなかったとのこと。また、博士が実証した「関節が鳴るメカニズム」は、 1947年にロンドンの医師らが立てた仮説がおおむね正しかったことを示唆しているという。なお、この研究が一体何の役に立つのかという疑問について博士 は、
「その時々によって、関節を鳴らせたり、鳴らせなかったりすることがありますよね。もしかしたら、関節の健康度を計るために使えるかもしれませんよ。新しい視点というわけです」
と語っている。いずれにしても、またひとつ人体の謎が解明したことは紛れもない事実。次は、関節を鳴らすことの身体への影響や効果について、ぜひとも調査していただきたいものだ。
MRIで撮影された映像「YouTube」より
参考:「PLOS ONE」、「The Guardian」、ほか